塗装現場の赤字を即特定|利益を見える化する4つの方法
外壁塗装の現場が月10件を超えたあたりから、「どの現場で儲かって、どこで損をしたか」が分からなくなります。見積もりは通った。職人も動いた。なのに月末に手元が薄い。その原因は、現場単位の原価が「感覚」のままになっているからです。この記事では、塗装会社が現場ごとの利益を構造的に把握する方法を解説します。
Q. なぜ現場ごとの利益が「感覚」になるのか?
夜21時の事務所で、請求書と出面(でづら:職人の出勤記録)を見比べながら電卓を叩く。この作業を毎月末に繰り返している会社は少なくありません。
原因は、原価の構成要素が現場をまたいで混在しているからです。塗装工事の原価は大きく3層に分かれます。
- 材料費:塗料・シーラー・マスカー・コーキング材など
- 労務費:職人1人工(にんく:1日1人分の作業単位)×人数×稼働日数
- 経費:足場・産廃・養生(ようじょう:汚染防止のための養生シート等)・段取り移動
この3層を現場コードで紐づけて記録している会社は、体感でも3割に満たないと思います。多くは「材料はまとめて発注」「出面は親方任せ」「足場は別台帳」と、データがバラバラに存在します。
結果として、築30年マンション改修の現場で足場代が予算オーバーしていても、月末まで誰も気づかない状態になります。
見える化の第一歩は、この3層を「現場単位で記録する仕組み」を作ることです。日報に現場コードを入力する習慣をつけるだけで、データの粒度は大きく変わります。
Q. 歩掛・人工の管理はどこから始めればよいか?
現場帰りの軽トラで、親方が「今日は3人で外壁ケレン(けれん:旧塗膜や錆の除去作業)が終わった」とLINEを送ってくる。しかし事務所側は、その情報を見積もりの歩掛(ぶがかり:作業1単位あたりの工数)と照合できていません。
歩掛管理を始めるには、次の順序が現実的です。
- Step1:見積書に「工種別の予定人工数」を明記する(例:下地処理2人工・中塗り1.5人工)
- Step2:日報に「工種名+実績人工数」を記録させる
- Step3:月次で予定と実績を突き合わせる
最初から完璧を目指す必要はありません。まず外壁塗装の現場1件だけで試してみてください。「見積もりでは下地処理に2人工を想定したが、実際は3.5人工かかっていた」という事実が見えるだけで、次回の見積もり精度は上がります。
人工単価は会社ごとに異なりますが、1人工あたりの労務費と材料消費量を紐づけておくと、現場完了時に「想定利益率と実績利益率の差」を自動で計算できるようになります。この差分の積み重ねが、会社の体力を削っている原因です。
Q. AngaはなぜAIなのに「塗装専用」なのか?
色番(いろばん)の確認電話が1日に何度も入る。「N80で合ってますか?」「日塗工の25-70Bってどれですか?」。事務所の電話口でカタログをめくる時間が、1件あたり平均15分は飛びます。
Angaは、株式会社イーテクノス代表・井上恭介氏が自ら塗装会社を経営した経験をもとに開発したAIアシスタントです。汎用のAIツールと根本的に異なるのは、「塗装業の現場で何が起きているか」を起点に設計されている点です。
具体的には、以下のような塗装業固有の文脈を扱えます。
- 職人の略称学習:「クリマイ」→「クリーンマイルドシリコン」と自動補完
- 色番管理:日塗工・ND・SRコードを会話で検索・照合
- 希釈率(きしゃくりつ)・標準塗布量を塗料品番から即時参照
- 現場コード別に材料発注・出面・工程を一元管理
「N80を間違えて発注してしまった」「吹付(ふきつけ)仕上げの見積もりを刷毛塗り単価で出していた」。こうした現場特有のミスを防ぐために、塗装の文脈に特化した学習がなされています。汎用AIでは、こうした業界固有の誤りを検知すること自体が難しいです。
Q. 利益の見える化で、現場管理は実際に変わるか?
LINEに溜まる日報を毎晩スクロールしながら、どの現場がどこまで進んでいるか確認する。この作業が現場監督の「夜の仕事」になっている会社は多いと思います。
利益の見える化が定着すると、管理の重心が「後追い」から「先読み」に変わります。
現場が10件動いていれば、発注書と出面の照合だけで月20時間は消えます。それが現場コード単位で自動集計されれば、月次の原価確認が30分で終わります。その時間を、見積もりの精度改善や新規顧客対応に使えます。
見切り(みきり:塗り分けラインの処理)の手間が多い現場、養生の段取りに時間がかかる現場、吹付後の手直しが多い現場。こうした「利益を削る要因」は、現場ごとのデータが蓄積されて初めて見えてきます。
感覚で「あの現場は大変だった」と思っていたものが、数字として「ケレン工程で予定の1.8倍の人工がかかっていた」と可視化されると、次の同種案件の見積もりに直接反映できます。
利益の見える化は、単なる管理コストの削減ではありません。現場の経験を、会社の資産に変える仕組みです。
どの現場が黒字か、月末まで正直わからなかった