塗料在庫が崩れる真因は表でなく発注の勘

色番を紙に書いても在庫は合いません。塗装会社で色合わせ失敗が繰り返される理由を、発注の仕組みから分解します。


1. 3回に1回は塗り直している現実

2. 原因層1:発注が「勘」で完結している

3. 原因層2:色番の管理単位が人によって違う

4. なぜこの問題は何年も放置されるのか

5. 仕組みで断つという選択肢

3回に1回は塗り直している現実

外壁塗装の現場で、前回と同じ色番のはずなのに微妙に色が違う。そんな経験がある監督は少なくないはずです。

日塗工番号は合っているのに、艶が違う。希釈率が違う。同じ色番でもロットが違えば発色は微妙にずれます。それを知らずに「余ってた塗料だから」と使って、施主にクレームが入る。

塗り直しは歩掛(作業1単位あたりの工数)を丸ごと食います。1回の色合わせ失敗で、半日の人工が飛ぶことも珍しくありません。10現場あれば1〜2件はこの手のトラブルが起きている会社も多いのではないでしょうか。

原因層1:発注が「勘」で完結している

多くの塗装会社では、発注量を決めるのは監督の経験です。標準塗布量から逆算はしていても、余った塗料が何缶、どの現場のどの色番として倉庫に眠っているかは誰も把握していません。

記録が「現場終了」で止まる

発注の記録は現場が始まる前に作られます。ところが現場が終わった後、余った塗料が何色番で何リットル残ったかを記録する工程が、そもそも会社の仕組みに存在しません。

入口の記録はあっても、出口の記録がない。これが在庫と現実のズレを生む最初の層です。

原因層2:色番の管理単位が人によって違う

日塗工番号だけを控えている会社もあれば、メーカー名と艶(3分艶など)まで書く会社もあります。同じ会社の中でも、監督によって記録の粒度がバラバラなことは珍しくありません。

ベテランは色番だけで職人の癖まで思い出せます。クリマイと略しても頭の中でクリーンマイルドシリコンだと変換できる。ですが新人や別班の職人にはその略語が伝わりません。

結果、同じ缶を指して「これ使える」「いや別物」と現場で言い合いになる。管理表自体は存在していても、書式が揃っていないので在庫として機能していないのです。

なぜこの問題は何年も放置されるのか

在庫管理表を作ろうという話は、どの塗装会社でも一度は出ます。実際にExcelで管理表を作った会社も多いはずです。

ですが更新する人が固定されず、現場が忙しくなると誰も入力しなくなる。半年後には誰も見ない表になっている。これはよくあるパターンです。

根本の理由は、在庫管理が「誰か一人の善意」に依存する仕組みだからです。発注した人、余らせた人、次に使う人が別々で、情報を渡す担当が決まっていない。属人化した仕組みは、担当者が辞めた瞬間に崩壊します。

色番は合ってたのに、艶が違って施主に指摘された。あれは堪えた。

仕組みで断つという選択肢

精神論で「ちゃんと記録しよう」と号令をかけても、現場は変わりません。記録する場所と方法を、発注の流れそのものに組み込む必要があります。

発注のついでに記録が残る形に

理想は、発注した瞬間に色番・数量・現場名が自動で紐づき、余った分もそのまま在庫として残る仕組みです。別の帳票を後から作る手間をなくすことがポイントです。

私たちイーテクノスも塗装会社を経営していて、この問題に長年悩まされてきました。LINEで発注していた頃、聞き返しのやり取りだけで色番の行き違いを何度も防いだ経験があります。その経験から、発注そのものが在庫記録になるツールとしてAngaを作りました。

管理表を新しく作る前に、発注の流れをどう変えるかを先に考えてみてください。それだけで、余った塗料が「使える資産」に変わります。

よくある質問

Q. 塗料の在庫管理はExcelでも十分ですか

入力する人が固定されていて、更新を忘れない仕組みがあれば十分機能します。ただし多くの会社では更新担当が忙しくなると止まり、半年後には使われなくなるケースが多いです。発注のタイミングで自動的に記録が残る仕組みの方が長続きします。

Q. 色番が合っているのに塗り直しになるのはなぜですか

同じ日塗工番号でもメーカーやロットが違うと発色や艶にわずかな差が出るためです。特に3分艶などの艶指定や希釈率の違いは、色番だけの記録では見落とされやすく、現場での色合わせ失敗につながります。

Q. 余った塗料はどのくらいの期間保管して使い回せますか

塗料メーカーが定める保管期限内であれば使用可能ですが、缶の状態や保管環境によって劣化具合が変わります。色番だけでなく購入日や保管場所も記録しておくと、次の現場で使える塗料かどうかの判断が早くなります。

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