元請け転換3ヶ月で赤字続出——塗装会社が陥る原価管理5つの穴

粗利率が紙の上で改善しても、現場では赤字が続く。元請け転換した塗装会社が最初の3ヶ月に必ず直面する原価管理の盲点を5つに絞って整理します。どこで利益が消えているのか、現場目線で解説します。


【穴1〜2位】「人工計算の甘さ」と「段取りコストの未計上」

夜21時の事務所。見積書の合計を電卓で叩き直しても、数字が合わない夜が続きます。

元請け転換直後に最も多い失敗が、人工(にんく)計算の甘さです。下請け時代は元請けから工程と人数を指定されていたため、自社で歩掛(作業1単位あたりの工数)を積み上げた経験が少ない会社がほとんどです。

  • 穴①:人工計算が「ベテラン職人基準」になっている

    外壁塗装の現場で、中塗り・上塗りを1日で仕上げる想定を立てても、実際は下地処理(ケレン・シーリング打ち替え)に時間を取られて工期が延びます。築30年マンション改修では、ケレン(旧塗膜除去)だけで想定の1.5倍かかることも珍しくありません。

  • 穴②:段取りコストをゼロで見積もっている

    足場の養生・吹付前のマスキング・色番(日塗工N80など)確認の現地往復——こうした段取りに、現場1件あたり職人0.5〜1人工は軽く消えます。見積書に「段取り費」の行がない会社は、この分がそのまま粗利を削ります。

下請け時代は元請けが吸収していたコストが、転換後は丸ごと自社負担になります。「工事原価=材料費+人件費」という単純な足し算のままでは、現場10件こなすうちに確実に3〜4件は赤字に転落します。

まず自社の歩掛データを工種別に整理することが、原価管理の最初の一歩です。

【穴3〜4位】「塗料ロスの無視」と「追加工事の取りこぼし」

現場帰りの軽トラの助手席に、使い残しの塗料缶が積まれたまま翌朝の現場に向かう——この光景が原価悪化のサインです。

  • 穴③:希釈率・標準塗布量から逆算した発注をしていない

    塗料メーカーの標準塗布量(例:0.12〜0.15kg/㎡)をもとに缶数を計算しても、現場では希釈率の調整や塗り残し補修で実際の消費量は増えます。外壁の凹凸が多い物件や、3分艶(半艶仕上げ)など粘度調整が難しい仕様では、ロスが見積もり比で15〜20%膨らむことがあります。このロス分を原価に含めず、材料費を「カタログ値×面積」で出している会社は要注意です。

  • 穴④:現場で発生した追加工事を口頭処理で終わらせている

    築古物件の外壁塗装で下地処理中にモルタル浮きが出た、見切り(塗り分けの境界線)の範囲が当初より広かった——こうした追加は現場判断で職人が対応しがちです。元請けとして追加費用を請求しないまま工事を終えると、その分だけ粗利が下がります。

中東情勢の影響で塗料原料の価格が高騰している現状(2026年にかけて継続見込み)では、ロス管理の精度が直接利益に響きます。追加工事は口頭でなく、当日中に写真付きで記録し、変更契約に落とし込む運用が必須です。

【穴5位】「現場ごとの粗利が見えていない」という根本問題

月次の試算表を見ると黒字なのに、資金が手元に残らない——元請け転換後3ヶ月の経営者から最も多く聞く悩みです。

  • 穴⑤:工事単位で原価集計をしていない

    月次で売上と仕入を合算して「粗利率20%」と出しても、それは全現場の平均値です。実際には粗利35%の現場と粗利5%の現場が混在しており、どの案件が利益を食っているかが見えません。

下請けから元請けに転換した株式会社大橋美装は、新規営業と現場ごとの診断書作成(現状報告書)を組み合わせて、粗利益率を3倍に向上させた事例として知られています。単に受注を増やすのではなく、「どの現場でいくら残るか」を案件単位で把握したことが改善の起点でした。

工事台帳を現場ごとに作り、完工後に実原価(人工・材料・外注費)を入力して粗利を確認する——この作業を3ヶ月続けるだけで、自社の「赤字が出やすい工種」と「利益が出やすい工種」が見えてきます。

紙やExcelで管理している会社は、入力漏れと集計ミスが避けられません。現場ごとの粗利を正確に追うには、工事管理ツールへの移行が現実的な解決策です。

なぜAngaは塗装業の原価管理に特化できるのか

塗装業の現場では「クリマイ」(クリーンマイルドシリコン)「ND色」「SR色」など、業界外には通じない略語や色番が飛び交います。汎用の工事管理ツールに職人がこうした言葉で入力しても、システムが読み取れず結局LINEと紙に戻る——そのループを断ち切るために開発されたのがAngaです。

開発者は株式会社イーテクノスの井上恭介氏。塗装会社を自ら経営した経験から、「色番N80を間違えて発注した」「現場ごとの利益が月末まで見えない」「職人の略語をシステムが理解しない」という三重苦を肌で知っています。

Angaが塗装業に特化している主な理由は以下のとおりです。

  • 歩掛・人工・塗布量を工種別に設定でき、見積書と原価を連動して管理できます
  • 職人が使う略語・通称を学習し、現場入力の手間を減らします
  • 現場ごとの粗利を完工後すぐに確認でき、「紙の上の粗利率」と「現場の実粗利」のギャップを可視化します
  • 追加工事の記録を写真付きで残し、変更契約への連携をスムーズにします

株式会社結建装がDX推進により営業利益率を5.5%改善した事例が示すように、デジタルツール導入による業務効率化は利益向上に直結します。ただし「塗装業の言語」を理解していないツールでは、現場への定着が難しいのも事実です。

Angaは塗装業の匂いを知っている人間が設計した、塗装会社のための原価管理ツールです。

0.5〜1人工/件
外壁塗装1現場あたり段取りで消える人工数の目安

15〜20%増
凹凸外壁・粘度調整が必要な仕様でのカタログ値比ロス目安

3倍
元請け転換+工事管理DX導入により粗利益率が3倍に向上した事例(株式会社大橋美装)

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