見積単価3年据え置きの塗装会社が改正建設業法で詰む理由

見積単価3年据え置きの塗装会社が改正建設業法で詰む理由

改正建設業法の施行後、元請けへの価格改定交渉には「工程別の実原価データ」が必須になります。しかし職種ごとの歩掛も発注履歴も手元にない会社は、感覚の値上げ要求として一蹴され、人件費上昇分を自社粗利で丸ごと吸収し続ける構造に固定されます。


「単価は3年前のまま」——感覚値上げ要求が元請けに刺さらない理由

夜21時、事務所のデスクに広げた見積書を眺めながら、「もう職人の日当が上がって採算が合わない」と感じている社長は少なくないはずです。

しかし元請けに値上げを申し入れると、たいてい同じ言葉が返ってきます。「根拠を出してください」という一言です。

ここで詰まるのが、歩掛(作業1単位あたりの工数)を工程ごとに記録していない会社です。外壁塗装の現場であれば、ケレン(下地の錆・旧塗膜除去)・下地処理・養生・吹付・仕上げと工程が分かれます。

それぞれに職人が何人工(にんく)かかり、材料をどれだけ使ったかのデータがなければ、「感覚の値上げ要求」になります。

元請けの担当者も決裁者に説明する義務があります。「塗装会社がそう言っているから」では社内を通せません。逆に言えば、工程別の実原価データを出せた会社だけが、テーブルに座れる交渉相手として認められます。

根拠を出せと言われても、記録がそもそもないんです

この3点を数字で示せるかどうかで、交渉の土俵が変わります。

  • ケレン1人工あたりの単価と施工面積の関係
  • 日塗工の色番(例:N-80)ごとの希釈率と標準塗布量から算出した材料費
  • 天候待ちや養生のやり直しが発生した際の追加工数

2025年12月施行の改正建設業法が塗装業の価格構造を固定する

2025年12月に施行される改正建設業法は、人手不足・長時間労働・資材高騰への対応を目的としています。労働者の賃金水準確保と労働条件改善が義務化され、請負代金の変更方法も明確化されます。

この改正で何が変わるかというと、「値上げ交渉の手続きが法令ベースに乗る」ということです。契約書への記載事項が厳格化され、著しく短い工期の禁止やリスク情報提供義務も新設されます。

一見、下請け保護に見えます。しかし実態は逆のリスクを持ちます。

手続きが明文化されると、根拠のない値上げ要求は法令の枠組みの外に置かれます。元請けは「改正法の変更協議手続きに則っていない」という一言で、交渉を形式的に終わらせることができます。

記録を持つ会社と持たない会社の格差が、法律によって半永久的に固定されるのです。

さらに2024年4月から残業上限規制が建設業に罰則付きで適用されています。月45時間・年360時間を超えると6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金となります。長時間労働で利益を補填する時代はすでに終わっています。

  • 残業上限規制で工期の組み方が変わる
  • 人件費上昇分を残業代圧縮で相殺できなくなる
  • 価格転嫁の仕組みを持たない会社は構造的に詰む

見積単価の固定期間(業界感覚値)

3年以上

値上げ交渉の根拠データを持たずに単価を据え置いている会社が多数存在する

残業上限規制の罰則(2024年4月〜)

懲役6ヶ月または罰金30万円

建設業に罰則付きで適用。月45時間・年360時間超が違反基準

改正建設業法の施行時期

2025年12月

労務費・請負代金変更方法の明確化が義務化。価格転嫁の仕組みを持たない会社が構造的に不利になる

【ビフォーアフター】実原価データがある会社とない会社の交渉の差

軽トラで現場から帰りながら、職人の出面(でづら:その日の稼働人数)をLINEで確認している監督は多いはずです。その情報が翌朝には消えていく会社と、工程別に蓄積される会社では、1年後に決定的な差が生まれます。

【ビフォー:記録がない会社の交渉】

築30年マンション改修の外壁塗装で、ケレンと下地処理に予定より1.5人工多くかかっても、それが見積に反映されません。次回も同じ単価で受注し、人件費上昇分は粗利から消えていきます。

元請けへの値上げ申し入れは「感覚」ベースになり、「他社は据え置きで出してくる」と一蹴されます。

【アフター:工程別データがある会社の交渉】

同じ現場で「ケレン工程:2人工×1.5日、材料費:エポキシ系プライマー○L(希釈率10%)、施工面積○㎡」という実績データを提示できます。

「過去3現場の平均と比較して人件費が○%上昇している」という数字で話せるため、元請けの担当者も社内決裁に使える資料になります。

データの有無は、交渉の姿勢の差ではなく構造の差です。どちらが正しい努力をしているかではなく、どちらが記録の仕組みを持っているかで結果が変わります。

Angaが塗装業専用である理由——職人の癖まで学習する発注AIの話

現場から戻った夜、色番の確認電話が1本入ってくるだけで30分が飛びます。「クリマイってどこのやつでしたっけ」という電話は、クリーンマイルドシリコンのことです。職人の言葉を解読する時間は、積み重なると月に数十時間になります。

Angaは、塗装会社経営者である株式会社イーテクノス・井上恭介が開発したAIアシスタントです。一般的なAIツールと違うのは、塗装業の業務フローに特化して設計されている点です。

具体的には次のような場面で機能します。

  • 工程別の歩掛記録を自動でテンプレート化し、発注履歴として蓄積する
  • 日塗工・ND・SRの色番と希釈率・標準塗布量をひも付けて材料費を算出する
  • 「クリマイ」「3分艶」など職人の略語・現場用語を学習して入力負荷を減らす
  • 過去の見積と実原価の差異をレポート化し、価格改定交渉の根拠データを生成する

「N80を間違えて発注した」「現場ごとの利益が最後まで見えなかった」という経営者の実体験が開発の起点になっています。

汎用AIに塗装の質問を入力しても出てこない、業界固有の知識と記録の仕組みがAngaの核心です。

2025年12月に向けて、実原価データを積み上げ始める会社とそうでない会社の差は、今この瞬間から広がっています。

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2025年12月施行の改正建設業法は、契約書への記載事項を厳格化します。「外壁塗装一式」の見積書を出し続けてきた会社が対応しようとした瞬間、工程を分解できないという致命的な矛盾に直面します。その構造と出口を、塗装業の現場視点で解説します。


改正建設業法 施行

2025年12月

契約書記載事項の厳格化・リスク情報提供義務が塗装業に直結

残業上限規制 適用開始

2024年4月

月45時間・年360時間。違反時は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金

一式見積書の限界

工程別原価ゼロ

価格転嫁・労務費交渉・法令対応のすべてが工程分解なしには成立しない

「一式」で逃げてきた見積書が、法改正の前で止まる

夜21時の事務所、デスクには「外壁塗装一式 ○○万円」と書かれた見積書が積まれています。

改正建設業法(2025年12月施行)は、塗装工事の契約書に記載すべき事項を明確化しました。著しく短い工期の禁止、リスク情報の提供義務、請負代金の変更方法の明示——これらはすべて「工程ごとの根拠」がなければ書けない内容です。

「外壁塗装一式」では、以下が一切見えません。

  • 下地処理(ケレン・ひび割れ補修)の工数
  • 養生の範囲と日数
  • 使用塗料の希釈率と標準塗布量
  • 工程ごとの人工(にんく)数と歩掛(ぶがかり:作業1単位あたりの工数)

天候リスクや下地状況の変化をリスク情報として契約書に明記するには、まず工程が分解されていなければなりません。「一式」では、どの工程に何が起きたかを説明できないのです。

対応しようとして初めて、ほとんどの塗装会社が気づきます。「うちは工程別に数字を持っていない」という事実に。

工程を分解できない会社は、価格転嫁も労務費交渉も永遠にできない

残業上限規制は2024年4月から建設業にも罰則付きで適用されています。月45時間・年360時間以内の残業上限は、長時間労働で工期を吸収してきた現場運営を根本から変えます。

人件費が上がる。資材が高騰する。それでも元請や施主に値上げを交渉できない——その理由は、見積書に根拠がないからです。

値上げ交渉に必要なのは次の3点です。

  • 塗装工1人あたりの日当と工期日数(人工の可視化)
  • 使用塗料の数量と単価(色番・グレード・希釈率まで明記)
  • 工程別の工数変化(下地が悪化した場合のケレン追加など)

「クリーンマイルドシリコンが1缶○円上がった」と言っても、見積書に「塗装一式」としか書いていなければ交渉の土台がありません。元請は「それ、どこの話ですか」と動かない。

改正法では労働者の賃金水準確保と労働条件改善が必須化されました。外注職人への支払いを適正化するにも、工程別の歩掛データがなければ原価の根拠を説明できません。

結果、価格転嫁できないまま利益が削られ続ける構造が固定化されます。

ビフォーアフター——工程分解した見積書は何が変わるか

築30年マンション改修の現場を例に、ビフォーとアフターを比べます。

ビフォー:一式見積書

外壁塗装一式 280万円

アフター:工程分解見積書

  • 足場仮設・養生:45万円(4日・職人2名)
  • ケレン・下地補修:38万円(2日・職人3名)
  • 下塗り(微弾性フィラー):32万円(標準塗布量0.8kg/㎡・希釈率10%)
  • 中塗り(クリーンマイルドシリコン N80):41万円
  • 上塗り(同・3分艶):41万円
  • 見切り・細部塗装:28万円
  • 諸経費・処分費:15万円

アフターの見積書には、リスク情報の記載も可能になります。「下地の劣化状況によりケレン工程が増加する場合、1人工あたり○円の追加が発生する」と契約段階で明示できます。

これが改正法が求める「リスク情報提供義務」への正しい対応です。

経営視点でも変わります。工程別に原価が見えれば、どの工程で利益が出ていないかが分かります。「外壁1件の粗利がいくらか」が初めて計算できる状態になります。

現場帰りの軽トラの中で「あの現場、結局いくら残ったんだろう」と思い続けることがなくなります。

「一式で出してたら、値上げの説明ができんかった」

Angaが塗装業の工程分解に特化している理由

Angaは、株式会社イーテクノスの井上恭介が塗装会社経営者として開発したAIアシスタントです。「なぜ塗装業専用なのか」——その答えは開発の原点にあります。

汎用AIは「ケレン」を説明できません。「3分艶」の使いどころを知りません。「色番N80を間違えてNDで発注してしまった」という経験を持っていません。

Angaが解決しようとしているのは、次の問題です。

  • 「外壁1式」でしか見積書を作れないため、工程別原価が存在しない
  • 職人の通称(「クリマイ」=クリーンマイルドシリコン)を理解するAIがない
  • 現場ごとの利益が見えないまま、なんとなく次の仕事を取り続けている

Angaを使うと、見積書作成の段階から工程を分解した形式で出力できます。工程ごとの人工・歩掛・材料数量が揃った状態で見積書が完成します。

改正建設業法への対応も、価格転嫁の交渉も、労務費の根拠提示も——すべては「工程が分解された見積書」から始まります。

一式見積書を出し続けている限り、法律が変わっても、相場が上がっても、対応する土台が存在しません。Angaはその土台を作るところから、塗装業の経営を支えます。

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2025年12月、改正建設業法が施行されます。「人件費を上げろ」と法律に言われても、職種別・工程別の歩掛かりデータを自社で持っていなければ、元請けとの交渉テーブルで根拠を示せません。コスト増をそのまま粗利で被り続ける前に、今できることを整理します。


残業上限(原則)

月45時間

2024年4月から建設業に罰則付きで適用された残業上限の原則値

残業上限(特別条項)

年720時間

特別な事情がある場合でも超えられない年間上限。違反で懲役・罰金あり

改正建設業法施行

2025年12月

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法律が「値上げしろ」と言っても、根拠がなければ交渉は始まらない

2025年12月施行の改正建設業法は、塗装業の経営構造を直撃します。

労働者の賃金水準確保と労働条件改善が義務化され、請負代金の変更方法も明確化されます。つまり「人件費が上がったから単価を上げてほしい」と元請けに言える法的な根拠が、制度として整備されるわけです。

ただし、根拠を示すのは自分自身です。

夜21時の事務所で、手書きの日報を積み上げながら原価を逆算している社長を想像してください。外壁塗装の現場で職人が1人工(にんく・作業員1人の1日分の労働量)あたり何㎡塗れているか、ケレン(旧塗膜や錆の除去作業)と養生で何時間かかっているか——その数字が手元にないまま「単価を10%上げたい」と言っても、元請けは首を縦に振りません。

改正法が用意しているのは「交渉できる席」です。その席で話せるかどうかは、自社の歩掛かり(作業1単位あたりの工数)データを持っているかどうかで決まります。

  • 職種別:塗装工・左官補助・シーリング専門工、それぞれの1人工単価と生産量
  • 工程別:下地処理・中塗り・上塗り・吹付・見切りごとの所要時間
  • 現場別:築年数・素材・塗装仕様(3分艶/5分艶、色番ND・SR系など)による補正係数

この3軸のデータが揃って初めて、「今の単価では赤字になる」と数字で示せます。

残業規制の施行後、「気合でカバー」は罰則付きで終わった

2024年4月1日から、建設業にも残業上限規制が罰則付きで適用されています。月45時間・年360時間以内が原則で、違反した場合は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。

塗装現場では天候による工期ズレが日常的に発生します。雨で2日飛んだ翌週に突貫で取り返す——これが残業規制の施行後は「違法」になりました。

現場帰りの軽トラの中で「今週また60時間超えそうだ」とつぶやいている監督は、今すぐ工期管理の仕組みを変える必要があります。

残業を使えない分、1人工あたりの生産量を正確に把握して工程を組まなければ、工期は守れません。逆に言えば、歩掛かりデータが精緻であるほど、天候リスクを折り込んだ現実的な工程表が作れます。

  • 「晴れ前提」の工程表をやめ、雨天ロスを標準で2〜3日込みにする
  • 職人の段取り時間(資材搬入・養生設置・後片付け)を工数に正式に計上する
  • 吹付作業は風速条件を工程表に明記し、代替工程を事前に用意する

これらを実現するには、過去現場の実績データが不可欠です。感覚値ではなく、現場ごとに記録された数字が、次の現場の精度を上げます。

Angaが塗装業に特化している理由——開発者が塗装屋だったから

Angaは、株式会社イーテクノスの代表・井上恭介が開発しました。井上は塗装会社の経営者であり、「なぜ自社の現場ごとの利益が見えないのか」という問いから開発を始めています。

汎用の工務店向けソフトでは、塗装業固有の単位が扱えません。㎡単価に職人の癖が反映されず、色番(日塗工・ND・SR系)の確認ミスで塗料を誤発注した経験を持つ人間でなければ、何が「使いにくい」かを言語化できないからです。

LINEに溜まる職人からの日報を、事務所のパソコンで翌朝まとめて転記している会社が今もあります。その転記作業の間に、現場ごとの原価は「なんとなく」になっていきます。

Angaが解決しようとしているのは、まさにこの「なんとなく」です。

  • 職人の呼称(「クリマイ」→クリーンマイルドシリコン、「ND-70」→日塗工色番)をそのまま入力できる学習機能
  • 出面(でめん・職人の出勤日数と作業時間の記録)を現場別・工程別に自動集計
  • 歩掛かりの実績値を蓄積し、次の見積時に標準値として参照できる仕組み

「塗装業に特化した」というのは機能の話ではなく、設計思想の話です。誰が・何に困って・どう動くかを知っている人間が作ったツールだからこそ、現場に刺さります。

施行前に自社データを積み上げれば、交渉の土俵が変わる

2025年12月の施行まで、残り時間はあまりありません。ただし、今から動けば間に合います。

歩掛かりデータは、1現場分の記録から始まります。築30年マンション改修の外壁塗装であれば、工程ごとに以下を記録するだけでデータになります。

  • ケレン:対象面積・使用工具・所要人工数
  • 下地処理(フィラー・シーラー塗布):㎡あたりの標準塗布量・希釈率・塗布時間
  • 中塗り・上塗り:色番・艶区分・ローラー塗りか吹付か・天候条件
  • 養生・見切り:テープの種類・範囲・設置と撤去の合計時間

これを10現場分積み上げれば、自社の「標準歩掛かり」ができます。その数字が、改正法施行後の価格転嫁交渉における唯一の根拠になります。

根拠の数字がなければ、交渉じゃなくてお願いになってしまう

「前回と同じ単価で」と言われたとき、「弊社の実績データでは、この仕様の外壁塗装は1㎡あたり〇人工かかっており、現行の労務費では赤字になります」と返せるかどうか——交渉の結果はここで分かれます。

データを持っている会社は値上げを飲んでもらえます。持っていない会社はコスト増を粗利で被り続けます。施行前に自社データを持つこと、それが今できる最大の経営判断です。

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「3週間でできるよな?」——その一言で受けた外壁塗装が、2025年12月以降は法的リスクに変わります。著しく短い工期の禁止が明文化される今、契約書と原価計算を見直さない元請けが最初の一件で詰む理由を、塗装業の現場から解説します。


残業上限(通常)
月45時間・年360時間
2024年4月から建設業に罰則付きで適用された残業上限規制の基準値

違反時の罰則
懲役6ヶ月または罰金30万円
残業上限規制違反に科される罰則。「知らなかった」では免れない

出面集計の体感工数
月15〜20時間
現場10件規模で出面集計・請求処理に消える時間の目安(塗装会社の感覚値)

「3週間でいけるよな」が法的リスクになる日

夜21時の事務所。デスクには下地処理の写真と、元請けからLINEで届いた一言が並んでいます。「工期、もう少し縮められる?上が言ってて」——これまで何度も飲み込んできたその言葉が、2025年12月以降は会社を追い詰める導火線になります。

改正建設業法では、著しく短い工期での契約締結が明文で禁止されます。これは元請けが口頭で圧縮を求めた場合も、それを受けた下請けが契約書に短縮後の工期を記載した瞬間、双方にリスクが生まれることを意味します。

塗装工事は天候と下地状態に工期が直結します。例えば築30年のマンション改修で、ケレン(旧塗膜除去)を入れた全面塗り替えを想定しましょう。外壁の劣化が想定以上であれば、下地処理だけで当初見込みの1.5倍かかることは珍しくありません。

それでも「工期内に終わらせる」と契約書に書いた以上、職人を無理に入れるか品質を下げるしかなくなります。

今回の法改正が怖いのは、「口頭で言っただけ」が通らなくなる点です。契約書に記載された工期が現実と乖離していれば、それ自体が違反の根拠になりえます。元請けとして下請けに圧力をかけた事実が残れば、発注者責任も問われます。

  • 天候不良による乾燥待ちは計算外になっていないか
  • ケレン・養生・段取りの工数が歩掛(作業1単位あたりの工数)に反映されているか
  • 下地処理の追加が発生した際の変更手続きを契約書に書いているか

これらを今すぐ点検する必要があります。

残業規制と人件費上昇が原価を静かに壊している

2024年4月、建設業への残業上限規制が罰則付きで適用されました。月45時間・年360時間以内が義務となり、違反すれば6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。これは「知らなかった」では済まない話です。

現場で何が起きているかというと、職人の実働時間に上限が生まれた分、同じ仕事をこなすために人工(ひとく:1人1日分の作業量の単位)を積み増す必要が出てきています。つまり工期を圧縮したまま原価計算を変えなければ、利益が蒸発します。

さらに改正建設業法では、労働者の賃金水準確保と労働条件の改善が必須化されます。長時間労働に依存した現場運営が制度的に封じられる中、人件費の上昇を見積もりに転嫁する仕組みがなければ、受ければ受けるほど赤字に近づきます。

塗装会社あるあるで言えば、現場が10件動いていれば出面(でづら:職人の出勤管理)の集計と請求処理だけで月15〜20時間は消えます。その時間を使って原価を見直す余裕がない、というのが実態です。

価格転嫁を「元請けに嫌われる」と後回しにしてきた会社は、今年中に見積もり単価の再設定と、契約書への請負代金変更条項の明記を済ませる必要があります。法改正はその「先送り」を許さない方向に動いています。

  • 1人工あたりの単価を最後に見直したのはいつか
  • 残業前提で組んでいた工期は今も生きていないか
  • 材料費高騰と人件費上昇を見積もりに反映できているか

工期の根拠を出せと言われて、初めて自分が感覚で受けてたと気づいた

Angaが塗装業のために作られた理由

Angaを開発したのは、塗装会社を経営する株式会社イーテクノスの井上恭介氏です。汎用のAI発注ツールではなく、「塗装業の現場でしか生まれない問題」を解くために作られています。

例えば、色番の誤発注。N80(日塗工標準色の明るいグレー系)とND-012を聞き間違えて発注した経験がある人なら分かりますが、色番ひとつのミスで工期と材料費が一気に飛びます。

Angaは職人や事務担当が入力した略称——「クリマイ」をクリーンマイルドシリコンと認識するなど——を学習し、発注ミスの温床になる「なんとなく伝わっていた言語」を正確な情報に変換します。

もうひとつ、現場ごとの利益が見えないという問題があります。売上は立っているのに、どの現場で利益が出てどこで消えているか分からない。外壁塗装の現場と屋根塗装込みの現場で粗利率が全然違うのに、どんぶり勘定のまま次の見積もりを作る——これを繰り返すと、法改正後の価格転嫁交渉で根拠を示せなくなります。

Angaは現場単位の原価と利益を可視化し、「この工期でこの単価なら利益が出るか」を見積もり段階で確認できる設計になっています。

  • 色番・希釈率・標準塗布量を正確に記録・引用できる
  • 職人の言い回しを学習して発注ミスを減らす
  • 現場ごとの粗利を可視化して価格転嫁の根拠を作る

法改正で「契約書の精度」が問われる時代に、見積もりと原価の精度を同時に上げる仕組みです。

今年中にやるべき3つの準備

2025年12月の施行まで、やるべきことは3つに絞れます。順番に整理します。

① 工期の根拠を数字で説明できる状態にする

吹付・ローラー・刷毛塗りの別、養生の範囲、下地処理の程度——これらを歩掛で分解し、「なぜこの工期か」を契約書に書ける状態にします。元請けに圧縮を求められたとき、根拠なしに「無理です」と言うのと、歩掛の内訳を示して「これを削ると品質がここまで落ちます」と言うのでは交渉力が全く違います。

② 契約書にリスク条項を入れる

天候不良・下地劣化の追加発見・色番変更など、塗装工事特有の不確定要素を「工期変更・代金変更の条件」として明記します。改正法はリスク情報の提供義務も定めており、これを契約書に落とし込まない会社は最初のトラブルで丸裸になります。

③ 現場単位の原価を把握する習慣をつける

現場帰りの軽トラで「今日の出面は3人工、材料はクリーンマイルドシリコンを2缶追加」という情報が蓄積されないまま月が終わる——この状態では価格転嫁の交渉もできません。DXを活用して現場ごとの原価を見える化した会社が、利益率を大幅改善した事例は業界内で実際に出ています。

法改正は「ルールが変わる」だけではありません。これまで口頭と慣習で回していた受発注の構造そのものを、数字と文書で組み直す機会です。

準備した会社と先送りした会社の差は、2026年以降に数字で出てきます。

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