塗装業の利益率とは?下がる原因と見える化の方法を解説!

塗装業の利益率とは?下がる原因と見える化の方法を解説!

更新日:2026年10月13日 | 約9分で読めます | 監修:井上恭介(株式会社イーテクノス 代表取締役)

月末に通帳残高を見てようやく今月の出来を知る、という塗装会社は少なくありません。この記事では塗装業の利益率が現場ごとに把握しづらい理由を、原価管理の構造から掘り下げて解説します。読み終える頃には、忙しい月ほど赤字に気づけない仕組みと、その対策が分かります。


目次

  1. 塗装業の利益率とはどう決まるのか
  2. いま塗装会社の現場で起きていること
  3. 利益率が見えなくなる本当の原因
  4. 工事別の原価管理を放置するとどうなるか
  5. 工事別の原価を見える化する対策の選択肢
  6. 工事別の原価管理を始める手順
  7. LINEの日報から粗利を把握する利用イメージ

塗装業の利益率とはどう決まるのか

粗利と利益率の基本的な考え方

塗装業における利益率は、工事で得た売上から材料費や労務費などの原価を引いた粗利を、売上で割って求めます。たとえば外壁塗装一式の請負金額から、塗料代や職人の人工代、足場代を差し引いた残りが粗利です。この粗利をどれだけ確保できているかが、会社の体力を左右します。

塗装工事の原価に含まれる項目

原価には塗料や下地処理材などの材料費、職人の人工代、足場や養生にかかる費用、産業廃棄物の処理費などが含まれます。外壁塗装の現場であれば、ケレン(錆や旧塗膜を落とす下地処理)や吹付の工程ごとに人工がかかり、天候による延期があればその分の人工も積み増しになります。これらを現場ごとに積み上げて初めて、正確な原価が見えてきます。

工事別の利益率と会社全体の利益率は別物

会社全体の決算書を見れば年間の利益率は分かりますが、それだけでは個々の工事のどこで利益が出て、どこで削られたのかが分かりません。工事別の利益率を把握して初めて、見積の精度や歩掛(作業1単位あたりの工数)の妥当性を検証できます。会社全体の数字だけを見ていると、黒字現場が赤字現場の損失を覆い隠してしまう事態が起こり得ます。

いま塗装会社の現場で起きていること

通帳残高で今月の出来を判断している実態

多くの塗装会社では、工事ごとの収支を都度計算するのではなく、月末に通帳の残高を見て「今月は良かった」「今月は厳しい」と感覚的に判断しています。入金と出金がまとまって動く月末になって初めて、会社の状態を知る形です。これでは、どの現場が利益を押し上げ、どの現場が足を引っ張ったのかまでは分かりません。

忙しい月ほど数字を見る余裕がなくなる

受注が重なり現場が複数同時に動く月ほど、現場監督も職人も段取りと人の手配に追われます。原価を集計する時間は後回しになり、気づけば工事が完了して次の現場に移っている、という流れが繰り返されます。皮肉なことに、本来いちばん原価を確認すべき忙しい月ほど、数字を見る余裕がなくなっていきます。

どんぶり勘定でも回ってしまう業界構造

塗装業は職人の経験と勘で工程が進み、見積もおおよその相場観で作られることが珍しくありません。それでも工事自体は完成し、代金も入金されるため、原価を数値化しなくても業務そのものは回ってしまいます。この「回ってしまう」ことが、原価管理を後回しにする最大の落とし穴になっています。

当社サービスのご紹介

Anga(アンガ)|LINEで送るだけの塗装業向け日報アプリ

職人はいつものLINEで日報を送るだけです。現場名の直しや人工の判定、出面台帳への記録はAIが行います。

  • LINEで日報を送るだけ(専用アプリのインストール不要)
  • 現場名の略称・全角数字をAIが正式な現場名に直す
  • 人工の自動判定(半日0.5/終日1.0)

Anga の詳細を見る

利益率が見えなくなる本当の原因

原因1:工事ごとに原価を集計する仕組みがない

多くの塗装会社では、材料の仕入れ伝票や職人への支払いが、会社全体の経費としてまとめて処理されています。どの現場にいくらの材料費がかかり、何人工の職人を投入したのかを、工事単位で紐づける仕組み自体が存在しないケースが多く見られます。仕組みがなければ、担当者がどれだけ注意していても現場別の原価は積み上がりません。

原因2:人工(にんく)の計算が現場任せ・自己申告になっている

人工の記録は、職人からの口頭報告や手書きのメモに頼っている会社が少なくありません。半日作業なのか終日作業なのか、応援に入った職人の人数は何人かといった情報が、現場監督の記憶や職人の自己申告に委ねられています。集計のタイミングで記憶があいまいになったり、申告にばらつきが出たりすることで、実際の労務費と帳簿上の人工がずれていきます。

原因3:出面(でづら)の記録と請求処理が月末にまとめてしか行われない

出面(現場への出勤状況を示す記録)は日々発生する情報ですが、多くの現場では月末にまとめて台帳へ転記しています。工事が完了してから数週間後にようやく記録を整理するため、ある現場の原価がいくらだったかを確認できるのは、次の現場がすでに始まったあとになりがちです。このタイムラグが、赤字に気づくタイミングを遅らせる直接の原因になります。

原因4:売上と入金のタイミングがずれて感覚が狂う

塗装工事は着工から完工、さらに請求から入金までに一定の期間が空きます。先月完了した現場の入金が今月になって通帳に反映されることも多く、どの入金がどの工事に対応するのかが感覚的に分かりにくくなります。結果として、通帳残高が増えていても、それが今動いている現場の成果なのか、過去の現場の清算なのか判別できないまま、経営判断が進んでしまいます。

工事別の原価管理を放置するとどうなるか

歩掛が崩れた現場に気づかないまま次の見積を出す

築30年マンションの外壁改修のように、下地処理に想定以上の手間がかかる現場では、歩掛が計画から崩れることがあります。この崩れを数値で把握できていないと、同じような想定で次の見積を作ってしまい、同じ原因でまた利益を削ることになります。

赤字現場の原因が分からず同じ失敗を繰り返す

赤字だったことは通帳残高や決算で分かっても、それが材料のロスなのか、人工の見込み違いなのか、追加工事の無償対応なのかが分からなければ、対策の打ちようがありません。原因が特定されないまま時間が経つと、同じ種類の失敗が別の現場でも繰り返されます。

忙しいのに手元に残らない状態が常態化する

受注が途切れず現場が埋まっているのに、なぜか資金繰りが楽にならないという状態は、工事別の原価が見えていない会社に起こりやすい症状です。忙しさと利益が比例しないまま時間が過ぎると、職人を増やしても粗利は増えず、会社の体力だけが消耗していきます。

当社サービスのご紹介

Anga(アンガ)|日報から現場ごとの数字が見える

送られた日報が出面台帳と労務費に自動でつながり、現場ごとの粗利を確認できます。

  • 出面台帳への自動記録・労務費の自動計算
  • 月末の出面集計
  • 現場ごとの粗利レポート(金額が見えるのは管理者だけ)
  • 職人の言い方を覚える学習機能
  • 送信から3分間は取り消せる猶予

Anga の詳細を見る

工事別の原価を見える化する対策の選択肢

エクセルで現場ごとに原価台帳を作る方法

現場名ごとにシートを分け、材料費・人工・外注費を手入力でまとめる方法です。費用をかけずに今すぐ始められる点が魅力で、塗装会社の規模を問わず取り組みやすい方法といえます。ただし入力作業がすべて手作業になるため、現場数が増えると担当者の負担が大きくなり、更新が後回しになりがちです。

原価管理システムを導入する方法

見積・発注・原価集計を一元化できるシステムを使う方法です。工事別の粗利が自動で集計されるため、月中でも現場の採算を確認しやすくなります。一方で初期設定の手間や月額費用が発生するため、現場数や管理したい粒度に見合うかどうかの見極めが欠かせません。

日報と出面管理を連動させる方法

職人が送る日報から人工や現場名を拾い、出面台帳に自動で反映させる方法です。現場監督が別途集計し直す手間が減り、月末の出面集計にかかる時間を圧縮できます。日報の入力が習慣化している職人が多い会社ほど効果を感じやすい方法です。

それぞれの向き不向きと注意点

主な選び方の目安は次のとおりです。

  • 現場数が少なく費用をかけたくない会社はエクセルから着手しやすい
  • 複数現場を抱え見積から原価まで一括管理したい会社はシステム導入が向いている
  • 日報の入力習慣がすでにある会社は日報連動型が定着しやすい

どの方法も、記録のルールを職人と共有できていなければ数字の精度が上がりません。仕組みを選ぶ前に、誰が何をいつ記録するかを決めておくことが結果を左右します。

方法 初期費用の目安 運用の手間 向いている会社
エクセルで原価台帳を作る 低い 入力・集計ともに手作業が多い 現場数が少なく小さく始めたい会社
原価管理システムを導入する 中〜高い 初期設定後は自動集計が中心 複数現場を抱え月中に採算を見たい会社
日報と出面管理を連動させる 低〜中程度 日報入力さえ定着すれば手間が少ない 職人がLINEなどで日報を送る習慣がある会社

工事別の原価管理を始める手順

まず1現場だけで試してみる

いきなり全現場に新しいルールを広げると、現場も事務所も混乱しやすくなります。たとえば〇〇邸の外壁塗装工事など、工期が読みやすい1件を選び、人工・材料費・外注費を試しに記録してみる進め方が無理がありません。うまくいけば次の現場に広げ、合わなければ記録項目を調整すれば済みます。

人工と経費の記録ルールを職人と共有する

人工の数え方や経費の計上基準が現場ごとにばらついていると、集計した数字を比較できません。半日は0.5人工、終日は1.0人工といった基準や、立て替え経費の扱いを事前に職人と現場監督で合わせておく必要があります。ルールを紙やLINEで共有しておくだけでも、入力の揺れはかなり減ります。

月中に粗利を確認するタイミングを作る

月末にまとめて確認する方法では、歩掛(作業1単位あたりの工数)が崩れていても気づいた時には手遅れです。工期の中間地点など、月中に一度は現場ごとの進捗と原価を照らし合わせる場を作っておきます。現場監督と事務方が短時間でも数字を見る習慣ができると、違和感に早く気づけます。

集計の手間を減らす仕組みに置き換える

記録のルールが固まってきたら、手集計の部分をできるだけ減らしていきます。日報からの自動集計やシステム連携に置き換えることで、現場が忙しい月でも記録が止まりにくくなります。手間の削減は精度を保つための前提であり、仕組み化の最終的な目的です。

LINEの日報から粗利を把握する利用イメージ

職人が普段どおりLINEで日報を送る1日の流れ

これは利用イメージです。たとえば職人の山田さんが、◯◯建設の現場で下地処理とケレン作業を終えた夕方、いつも使っているLINEで「◯◯邸 外壁 下地処理 終日」と日報を送ります。専用アプリを新しく覚える必要がなく、普段のやり取りの延長で入力が完了します。

現場名や人工が自動で整理される仕組み

送られた日報は、現場名の略称や全角数字が入っていてもAIが正式な現場名に直し、終日なら1.0人工、半日なら0.5人工として自動で判定されます。山田さんの言い回しのクセも学習機能が覚えていくため、入力の仕方を細かく統一しなくても記録が揃っていきます。送信から3分間は取り消せる猶予があるため、入力ミスに気づいたときもすぐ直せます。

月末に管理者が現場ごとの粗利を確認する場面

出面は自動で台帳に記録され、労務費も自動で計算されます。月末、管理者は現場ごとの粗利レポートを開き、◯◯邸の現場が想定どおりの歩掛で進んだか、別の現場で人工がかさんでいないかを確認します。金額が見えるのは管理者だけなので、職人には普段どおりの日報を送ってもらいながら、経営側だけが採算を把握できる状態が作れます。

当社サービスのご紹介

Anga Starter 月額2,000円(税込2,200円)・3ヶ月無料

いまご提供しているのは日報の Starter プランです。発注・見積・請求は上位プラン(近日公開)で対応予定です。

3ヶ月無料で試してみる

よくある質問

Q. 塗装業の利益率は何パーセントくらいが目安ですか

会社の規模や元請け・下請けの立場、工事内容によって大きく異なるため、業界共通の明確な目安はありません。自社の過去の工事を工事別に原価管理し、現場ごとの粗利率を蓄積して自社なりの基準を作ることが、実態に合った目安を持つ近道です。

Q. エクセルでの原価管理とシステム導入はどちらから始めるべきですか

現場数が少なく、まずは工事別に数字を残す習慣をつけたい段階であればエクセルから始めても十分です。現場数が増えて集計が追いつかなくなってきたタイミングで、日報連動やシステム導入への切り替えを検討する進め方が無理なく移行できます。

Q. 職人に原価管理への協力を依頼すると反発されませんか

いきなり細かい数字の入力を求めると負担に感じられやすくなります。普段使っているLINEでの日報など、すでにある習慣の延長で記録できる仕組みを選び、人工の数え方などルールを先に共有しておくと、協力を得やすくなります。

この記事の監修

井上恭介(株式会社イーテクノス 代表取締役)

あわせて読みたい


塗料使用量が不明で赤字現場を見逃す理由

塗料使用量が不明で赤字現場を見逃す理由

外壁塗装の見積もりは坪単価で出しているのに、実際に何缶使ったかは誰も記録していません。塗装業の利益率が現場ごとにバラつく本当の原因を、3層に分けて分解します。


1. 症状:利益率が高いはずの現場が、なぜか薄利で終わる

2. 本当の原因①:使用量の記録が「缶の数」でしか残らない

3. 本当の原因②:現場ごとの数字が、決算という1つの箱に溶ける

4. なぜ今まで放置されてきたのか

5. どうすれば断てるか:記録を「入力の手間」から「自動で残る数字」に変える

症状:利益率が高いはずの現場が、なぜか薄利で終わる

3階建ての戸建て、足場も良好、下地処理も楽勝。見積もり時点では「今期一番の優良案件」だったはずの現場が、終わってみれば粗利15%そこそこ。逆に難有りの築30年マンション改修が、想定より利益が残っていたりします。

多くの塗装会社では、この差がなぜ生まれたか誰も検証しません。理由は単純で、現場ごとの塗料使用量を記録していないからです。標準塗布量(1㎡あたりに必要な塗料量の目安)と実際の使用量を突き合わせる作業を、そもそもやっていない会社がほとんどです。

見積もりは「経験上このくらい」で出し、発注も「いつもの量+予備」で決める。この2つの勘が一致していれば利益は出ますが、ズレていても誰も気づけない仕組みになっています。

本当の原因①:使用量の記録が「缶の数」でしか残らない

現場监督に聞くと「何缶使ったかは把握している」と答える人が大半です。ただし、それは請求書や納品伝票の缶数であって、実際に壁に塗った量とは別物です。

希釈率(塗料を薄める割合)は職人によって微妙に違います。同じ規定の希釈率でも、夏場と冬場、下地の状態、職人の癖で塗り重ねの厚みが変わります。缶数は記録に残っても、それが「適正だったか」「余分に使ったか」を判定する基準がどこにもありません。

結果として、原価計算は「塗料代=発注した缶数×単価」という粗い数字になります。これは実際の原価ではなく、発注額でしかありません。

本当の原因②:現場ごとの数字が、決算という1つの箱に溶ける

月次でも粒度が粗すぎる

多くの塗装会社は、原価管理を「今月の材料費」「今月の外注費」という会社全体の集計で見ています。現場Aで余った塗料を現場Bで使い切っても、どちらの現場の原価だったかは記録上わかりません。

決算で初めて「今期は苦しかった」と気づく

個別の現場が赤字でも、他の現場の黒字に埋もれて見えなくなります。経営者が違和感に気づくのは、たいてい決算書を見たときです。その時点では、どの現場のどの工程で崩れたのか、もう検証のしようがありません。

これは経営者の能力の問題ではなく、現場単位でデータを取る仕組みが最初から存在しないという構造の問題です。

なぜ今まで放置されてきたのか

塗料使用量を現場ごとに記録する作業は、地味で手間がかかります。塗装工事1件ごとに「何㎡塗って、何リットル使ったか」を毎回入力するのは、紙の日報やExcelでは現実的に続きません。

現場が10件同時に動いていれば、日報だけで管理側の工数は膨らみます。職人に「使った量を正確に報告してくれ」と頼んでも、現場では養生や段取りに追われて後回しになります。

さらに、仮に記録が残っても、それを見積もり時の想定と自動で照合する仕組みがなければ、結局「見るだけ」で終わります。忙しい現場監督が、Excelを開いて過去の類似現場と比較する時間は、現実にはほぼ取れません。

精神論で「ちゃんと記録しよう」と言っても定着しないのは、記録すること自体に価値を感じられる仕組みがないからです。

どうすれば断てるか:記録を「入力の手間」から「自動で残る数字」に変える

断つべきは2点です。1つは、現場ごとの塗料使用量と面積を紐づけて記録する習慣。もう1つは、その記録を見積もり時の想定原価と自動で比較できる状態にすることです。

この2つが揃って初めて、「利益率が高いはずの現場でなぜ薄利だったか」を後から検証できます。逆に言えば、この仕組みさえあれば、次の見積もりの精度も上がっていきます。

缶数は覚えてても、どの現場でいくら儲かったかは決算まで分からんかった

私たちイーテクノスも、もともとは自社の塗装現場で同じ壁にぶつかっていました。現場ごとの実際原価が決算まで見えず、どの現場が本当に儲かっているのか把握できないまま数年が過ぎていたのです。

その経験から開発したのが、現場ごとの発注・使用量・原価をひとつの画面で管理できるAngaです。LINEでの発注をそのままデータ化し、現場別の粗利を自動で可視化する仕組みにしています。

勘で決めてきた塗料使用量を、数字で検証できる状態に変えたい会社には、こうしたツールも選択肢のひとつになります。

よくある質問

Q. 塗装業の利益率は平均でどのくらいを目安にすればいいですか?

会社の規模や元請・下請の立場で大きく変わるため一律の目安はありません。重要なのは平均値ではなく、現場ごとの粗利のバラつきを把握することです。バラつきの原因が塗料使用量にあるケースは少なくありません。

Q. 塗料使用量を現場ごとに記録する簡単な方法はありますか?

最初は発注時に「現場名・面積・使用予定量」をセットで残すだけでも効果があります。紙やExcelでも始められますが、現場数が増えると入力負担が大きくなるため、発注データが自動で現場別に蓄積されるツールを使う会社も増えています。

Q. 見積もり時の塗料使用量と実際の使用量がズレる主な原因は何ですか?

希釈率の違い、下地の劣化度合い、職人ごとの塗り重ねの癖、気温や湿度による乾燥速度の差が主な原因です。いずれも現場ごとに記録して初めて傾向が見えるため、記録の習慣がないと原因の特定自体ができません。

あわせて読みたい


塗料在庫が崩壊する3つの原因と発注の断ち方

塗料在庫が崩壊する3つの原因と発注の断ち方

棚に余った塗料は開けたら未使用でも中古扱いです。捨てるに捨てられず積み上がる理由は、根性論ではなく発注の仕組みそのものにあります。


1. 棚の奥に3分艶が2缶、なぜか誰も気づかない

2. 原因① 在庫が「数字」になっていない

3. 原因② 急な買い出しの方が「安く」見える

4. 原因③ 廃棄コストが「見えない経費」だから

5. 棚卸しをやめて、発注の入口を変える

棚の奥に3分艶が2缶、なぜか誰も気づかない

外壁塗装の現場が終わって余った塗料を、とりあえず棚に戻す。これ自体は珍しい判断ではありません。

問題はその後です。次の現場で同じ色番(日塗工の番号)が出た時、棚の在庫を確認するより先に、塗料屋に電話して新品を発注してしまう。

結果、棚には開封済みの半端な量が眠り続け、発注書には毎回フルセットの数量が並びます。半年後に棚を見ると、同じような色のシリコン塗料が3缶も4缶も出てくる。これが多くの塗装会社で起きている光景です。

原因① 在庫が「数字」になっていない

在庫管理と聞くと大掛かりなシステムを想像しがちですが、実態はもっと手前の話です。

そもそも「今、棚に何がどれだけあるか」が数字になっていません。目視と記憶だけが頼りです。現場が5件、10件と重なれば、誰の頭の中にも正確な残量は残りません。

記憶に頼る限り、精度は上がらない

人工(にんく)の割り振りや工程管理は日報で追えても、資材だけは「棚を見ればわかる」という前提で運用されがちです。見ればわかるはずの棚が、実は一番ブラックボックスになっています。

原因② 急な買い出しの方が「安く」見える

在庫を数値化するには、入庫と出庫を記録する手間がかかります。歩掛(作業1単位あたりの工数)を計算するのと同じで、最初は面倒に感じます。

一方、急な買い出しは「その場で解決する」という即効性があります。監督からすれば、棚の在庫を調べて数量を突き合わせるより、塗料屋に電話して届けてもらう方が早い。

この「今日の楽さ」が積み重なった結果が、月末の請求書に乗ってくる余分な発注です。一件あたりは数千円でも、現場が10件あれば月に数万円単位の無駄買いになっているケースは少なくありません。

原因③ 廃棄コストが「見えない経費」だから

余剰在庫を捨てる時、産廃費用は別枠で計上されることが多く、資材費の無駄として認識されにくい構造があります。

塗料は開封後の保管期限もあり、希釈率の調整が難しくなった缶は結局処分行きです。この処分費が「仕方ない出費」として毎年同じように発生し続けます。

誰も悪くないのに、誰も止められない。これが放置され続ける最大の理由です。担当者を責めても、仕組みが変わらなければ同じことが翌年も起きます。

棚卸しをやめて、発注の入口を変える

数値化を「棚卸し作業を増やすこと」だと捉えると、現場は必ず反発します。監督も職人も、事務作業を増やしたくて塗装業をやっているわけではありません。

断つべきは棚卸しの頻度ではなく、発注する瞬間の判断材料です。発注する時に「今どの現場にどの色番がいくつあるか」がその場で見えれば、電話する前に手元で答えが出ます。

私たちイーテクノスも、もともとは塗装会社として同じ悩みを抱えていました。現場ごとの在庫が決算まで見えず、余剰も欠品も後から気づく状態が続いていたのです。

棚に何本あるか聞かれて、見に行かないと答えられないのが当たり前でした。

そこで開発したのが、LINEで発注すれば在庫と紐づいて記録されるAngaです。特別なアプリを覚える必要はなく、普段のLINEのやり取りの延長で、棚の中身が数字として残っていきます。

棚を見て考える前に、手元の画面で答えが出る。それだけで、急な買い出しも余剰廃棄も、少しずつ減らせます。

よくある質問

Q. 塗料の在庫管理はエクセルでも十分ですか

件数が少ないうちは十分ですが、現場が増えると入力が追いつかず更新が止まりがちです。発注のタイミングで自動的に記録が残る仕組みでないと、結局は目視確認に戻ってしまいます。

Q. 余った塗料はどこまで保管しておくべきですか

開封後は希釈済みの状態や保管環境で劣化が進むため、色番と開封日を記録し、次回同じ現場が半年以内に見込めない場合は早めの使い切りか処分判断をおすすめします。

Q. 在庫管理を始めるなら何から手をつければいいですか

棚卸しから始めるより、まず発注のたびに何をどれだけ使ったか記録する仕組みを作ることが近道です。発注の入口で数字が残れば、棚卸しの手間そのものが減っていきます。

あわせて読みたい


塗料在庫、二重発注と欠品が同時に起きる理由

塗料在庫、二重発注と欠品が同時に起きる理由

倉庫を見て「まだあるな」で発注する会社ほど、同じ色を二重発注し、別の現場で在庫切れを起こします。紙・Excel・専用アプリ、どれが自社に合うのか比較で答えます。


1. 倉庫を見て把握する会社が、なぜ同時に余剰と欠品を起こすのか

2. 紙・Excel・専用アプリで比較すると差がはっきり出る

3. 表だけでは見えない「共有のしやすさ」の差

4. どの手段を選んでも変わらない「運用ルール」の話

倉庫を見て把握する会社が、なぜ同時に余剰と欠品を起こすのか

外壁塗装を10件同時に回している会社の倉庫には、20kg缶が何十本と並びます。ND-4050の缶とND-4060の缶が隣り合っていれば、パッと見で区別できる人はそう多くありません。

見た目の量で「まだ足りる」と判断しても、それは合計量であって現場ごとの割り当てではありません。A現場向けに確保していた缶を、B現場の職人が知らずに使ってしまう。これが余剰発注と在庫切れが同時に起きる最大の理由です。

発注担当者は倉庫を見て発注し、現場監督は現場を見て「足りない」と騒ぐ。両者が見ている場所が違う時点で、感覚での在庫把握はもう機能していません。

紙・Excel・専用アプリで比較すると差がはっきり出る

同じ「在庫を把握する」という業務でも、手段によって手間もミス率もまるで違います。まずは表で全体像をつかんでください。

手段 手間 ミス率 共有のしやすさ コスト
紙の台帳 記入は簡単だが転記・集計に時間がかかる 高い(記入漏れ・書き間違いが起きやすい) 低い(台帳が1冊しかなく複数人が同時に見られない) ほぼゼロ円
Excel 入力は事務所での手作業が中心 中程度(入力遅延で実態とズレやすい) 中程度(ファイル共有は可能だが同時編集に弱い) ほぼゼロ円(ただし作成・保守の人工がかかる)
専用アプリ 現場からスマホで即時入力できる 低い(入力と同時に全員へ反映) 高い(事務所・現場・元請けで同じ数字を共有できる) 月額費用が発生

表だけでは見えない「共有のしやすさ」の差

紙の台帳が崩壊するタイミング

紙の台帳は、書く人が1人なら回ります。崩れるのは現場が増えて、複数人が同時に在庫を動かす瞬間です。

倉庫番の職人が休みの日に、別の職人が缶を持ち出すと、台帳への記入が翌日に持ち越されます。その1日のズレが、発注担当者の頭の中の在庫数を狂わせます。

Excelが「結局誰かの手作業」に戻る理由

Excelは紙より計算が楽になりますが、入力は結局人力です。現場から事務所に戻ってから入力する運用だと、リアルタイム性は紙とほぼ変わりません。

関数でアラートを組んでも、入力が漏れれば意味を持ちません。Excelは「集計を楽にする道具」であって「入力を楽にする道具」ではないという点が見落とされがちです。

専用アプリで変わるのは入力の手間そのもの

専用アプリの強みは、現場でスマホから缶数を打つだけで、事務所の画面にも同じ数字が反映される点です。倉庫番と発注担当者と現場監督が、同じ数字を同時に見られます。

希釈率や標準塗布量から使用量を逆算する機能があれば、感覚ではなく数量で在庫を語れるようになります。

どの手段を選んでも変わらない「運用ルール」の話

手段を変える前に、決めておくべきことがあります。誰が・いつ・どの単位で在庫数を更新するか、というルールです。

アプリを導入しても、現場から「あとで入れます」が続けば紙と同じ結果になります。逆に紙でも、毎日夕方に1人が必ず集計する運用なら、そこそこ機能します。

手段そのものより、更新の頻度と担当を固定できるかどうかが分かれ目です。私たちも自社の塗装現場で、色番を間違えて余分な缶を発注した経験があり、そこから在庫を数量で見える化する仕組みを作りました。

専用アプリのAngaは、現場からスマホで在庫を更新でき、色番ごとの残量が事務所からも見えます。倉庫を見なくても、画面を見れば今どの現場に何缶あるか分かる状態を目指して作ったツールです。

倉庫見て『まだあるな』って言った次の日に、現場から電話で足りませんって言われるんですよ

よくある質問

Q. 塗料の在庫管理はExcelだけでも十分ですか

現場が2〜3件で、入力担当が1人に固定できるなら十分に機能します。ただし現場が5件を超えて複数人が在庫を動かすようになると、入力漏れとズレが増え、Excelの集計機能を活かせなくなります。

Q. 在庫管理を始めるなら何から手をつければいいですか

まずは色番ごとに現在の在庫缶数を数え直すことから始めてください。感覚値をリセットして正確な数量を把握しないと、紙でもアプリでもその後の運用が最初からズレたまま進んでしまいます。

Q. 専用アプリは職人が使いこなせますか

入力項目を色番と缶数だけに絞ったアプリであれば、スマホ操作に慣れていない職人でも数分で覚えられます。操作項目が多いアプリほど現場で使われなくなるため、シンプルさを基準に選ぶことをおすすめします。

あわせて読みたい


塗装発注ミスが減らない理由|目分量3つの盲点

塗装発注ミスが減らない理由|目分量3つの盲点

色番違いと数量ミス、今月も現場で謝ったのは何回目でしょうか。目分量発注をやめられない塗装会社に共通する3つの構造を分解します。


1. 症状:止まるのはいつも同じパターン

2. 原因1層目:目分量が「正式な単位」になっている

3. 原因2層目:発注ルートに検算する人がいない

4. なぜ今まで放置されてきたか:直したところで見えない

5. どうすれば断てるか:計算と記録を分業させない

症状:止まるのはいつも同じパターン

外壁塗装の現場で塗料が届いたら色番が違う。数量が半端に足りず、追加発注で工程が半日飛ぶ。よくある話です。

しかも止まる現場には共通点があります。発注者が現場監督本人ではなく、職人からの伝聞だったケースです。「あと2缶くらい」「クリマイの3分艶で」という口頭の目分量が、そのまま電話で塗料屋に伝わり、そのまま発注書になっています。

現場が10件あれば、電話とメモの往復だけで月20時間は溶けている会社も珍しくありません。人手を増やしても解決しないのは、これが「人の問題」ではなく「情報が一度も数値化されないまま流れる仕組みの問題」だからです。

原因1層目:目分量が「正式な単位」になっている

塗料の必要量は本来、塗装面積と標準塗布量(材料が単位面積あたりどれだけ必要かの基準値)と希釈率から計算できます。ところが多くの現場では、この計算が誰の頭の中にも文書として残っていません。

職人の経験値が唯一の基準になっているため、「大体1.5缶」が発注書では「2缶」になり、現場では「1缶で足りた」という食い違いが起きます。計算式がないから、誰が発注しても同じ数字にたどり着けないのです。

原因2層目:発注ルートに検算する人がいない

電話発注は「聞き返し」で成立している

電話でのやり取りは、聞いた側が復唱して初めて成立します。復唱を省略すれば、色番の桁1つ、缶数の1つが簡単に抜け落ちます。

メモは誰のためのメモか

メモ書きは書いた本人しか読めない前提で作られています。現場監督が変わった瞬間、そのメモは意味を失います。

つまり発注のフローに、第三者が数字を確認する工程が最初から組み込まれていません。ミスを防ぐ仕組みではなく、ミスが起きて当然の仕組みで発注が回っています。

なぜ今まで放置されてきたか:直したところで見えない

発注ミスによる手戻りは、工程表には「遅延」としか残りません。原因が色番なのか数量なのか、担当者の記憶が頼りで、翌月には忘れられています。

しかも塗装会社の経営は今、発注の精度どころではない外圧にもさらされています。職人不足と資材高騰に加え、中東情勢による原油・ナフサ供給不安が塗料価格そのものを押し上げていて、2026年に入ってからは倒産件数も前年同期比で増加している状況です。目の前の現場を回すだけで手一杯という会社が、発注フローの見直しを後回しにするのは自然な流れとも言えます。

ただ、後回しにした分だけ、色番違いの塗料はしっかり在庫として積み上がっていきます。

また色番違いか。誰が電話で伝えたか、もう覚えてない。

どうすれば断てるか:計算と記録を分業させない

断つために必要なのは根性ではなく、計算・記録・確認を1つの流れに乗せる仕組みです。面積から数量を自動で出し、色番と缶数がその場でテキストとして残り、発注者以外も同じ画面を見られる。この3つが揃えば、目分量が入り込む隙間がなくなります。

私たちイーテクノスも、もともとは塗装会社を経営する中で同じ壁にぶつかりました。職人ごとの言い回しの癖まで拾って計算する仕組みが必要だと痛感し、自社の現場で使うために作ったのがAngaです。LINEで数量を伝えるだけで、面積計算から発注書作成まで一本化できます。

電話とメモを完全になくす必要はありません。ただ、最後の検算だけは人の記憶に頼らない仕組みに置き換える。それだけで、色番違いの塗料が倉庫に積み上がる未来は防げます。

よくある質問

Q. 塗装の発注ミスはなぜ減らないのですか

目分量の数量が計算式として文書化されず、電話やメモという検算されない経路で発注に流れているためです。人を注意深くしても、数字を確認する工程自体がフローに存在しなければミスは繰り返されます。

Q. 色番違いの発注ミスを防ぐ具体的な方法はありますか

発注時に色番・缶数・現場名をテキストで記録し、発注者以外も同じ内容を見られる状態にすることです。復唱や検算の工程を仕組みに組み込むことで、聞き間違いや書き間違いを減らせます。

Q. 発注管理システムを導入する余裕がない場合はどうすればいいですか

まずは電話発注でも必ず数量と色番を復唱し、その内容をメモではなくチャットなど残る形式で共有するだけでも効果があります。仕組み化の第一歩は、記録を個人の頭からデータに移すことです。

あわせて読みたい


塗装業の丼勘定給料が利益率を下げる理由

塗装業の丼勘定給料が利益率を下げる理由

繁忙期なのに利益が残らない。原価管理をせず現場終了後に人件費を決める丼勘定が、その正体です。手順で直す方法を解説します。


1. まず自社の丼勘定っぷりを数字で確認する

2. 現場ごとの人件費を先に決めてから職人に伝える

3. 現場終了後にズレを確認し、次の見積に反映する

4. 仕組み化まで持ち込む、その先の選択肢

まず自社の丼勘定っぷりを数字で確認する

外壁塗装の現場が10件同時に動いている会社で、各現場の人件費が「だいたいこれくらい」で決まっているなら、それは丼勘定です。

手順は3つです。まず直近3ヶ月の完了現場を10件選びます。次に見積時に想定した人工(作業員1人の1日分の稼働)と、実際にかかった人工を並べます。最後に差分が2人工以上ある現場を赤マーカーで囲みます。

ここでつまずく

ここでよくある失敗は、日報が「今日も現場A、順調」しか書かれておらず、実際に何人工かかったか誰も記録していないケースです。日報の形式を変えない限り、この確認作業自体が始まりません。

塗装工事業の倒産が2026年に入って増えているという業界の動きもあります。職人不足や資材高騰に加え、原価が見えない会社ほど、繁忙期に人を増やしても利益が薄いまま倒産リスクに近づきます。

現場ごとの人件費を先に決めてから職人に伝える

丼勘定を止める第一歩は、現場に人を出す前に人件費の上限を決めることです。

  • 見積書の人工数から、現場ごとの「使える人件費の上限」を算出します。
  • 職人ごとの歩掛(作業1単位あたりの工数)を過去現場から拾い、その現場で何人工かかりそうか予測します。
  • 上限と予測が近い場合は、現場監督が事前に「この現場は3人工で仕上げてほしい」と職人に伝えます。

ここでつまずく

新人の現場監督が、この上限を職人に伝えず「とりあえず終わったら教えてください」で現場に送り出すと、丼勘定に戻ります。数字を先に渡すことが肝です。

ベテラン職人ほど「今までのやり方でいい」と抵抗することもあります。ここは監督が数字の根拠(見積書の人工数)を見せて説明するしかありません。

現場終了後にズレを確認し、次の見積に反映する

現場が終わったら、丼勘定に戻らないための確認作業が要ります。

  • 予測人工と実際の人工を突き合わせます。
  • ズレた原因を1行で書きます(下地処理が想定より荒れていた、雨で1日流れた、など)。
  • 同じ現場タイプ(築30年マンション改修、木造2階建てなど)の次回見積に、このズレを反映します。

ここでつまずく

ここでの典型的な失敗は、ズレの原因を「まあいろいろあって」で済ませてしまうことです。原因を1行でも書かないと、次の見積が永遠に同じ精度のまま丼勘定に戻ります。

2025年12月に施行された改正建設業法では、著しく短い工期の禁止や、天候・下地状況などのリスク情報を契約段階で明記する義務が加わりました。原価管理をせず口約束で工期と人件費を決めてきた会社ほど、この対応に苦労することになります。

現場が終わってから給料計算じゃ、いつまでも儲かってる気がしねえんだよな

仕組み化まで持ち込む、その先の選択肢

3つの手順を1〜2ヶ月続けると、現場ごとの利益率が見えてきます。ここまでは紙とExcelでも可能です。

ただ現場が10件を超えると、突き合わせ作業だけで毎月20時間近く飛ぶ会社も出てきます。改正建設業法で賃金水準の確保と労働条件改善が必須になった今、人件費上昇分を価格に転嫁する仕組みも同時に整える必要があります。

私たちイーテクノスは塗装会社を経営しながら、この丼勘定の突き合わせ作業に何年も苦しみました。その経験から、現場ごとの人件費と実績をLINEから記録し、原価を自動で見える形にするAngaを作りました。

手順を仕組みに落とし込む段になったら、こうしたツールも選択肢の一つです。

よくある質問

Q. 塗装業の利益率はどれくらいが目安ですか

会社の規模や元請・下請の立ち位置で差がありますが、人件費と資材費を現場ごとに正確に把握できていない会社ほど、繁忙期でも利益率が伸びない傾向があります。まずは自社の現場別の人工ズレを数値化することが出発点です。

Q. 丼勘定をやめると職人のモチベーションは下がりませんか

人件費の上限を事前に伝えるだけでは下がりません。むしろ早く終わらせた分を評価する仕組みを合わせて作ると、職人側にも動機が生まれます。数字を隠さず見せる姿勢が信頼につながります。

Q. 原価管理を始めるのに何から手をつければいいですか

まず直近の完了現場10件で、見積時の想定人工と実際の人工を突き合わせる作業から始めてください。この差分を可視化するだけで、丼勘定の実態と改善ポイントが見えてきます。

あわせて読みたい


月末請求書待ちが赤字現場を生む理由

月末請求書待ちが赤字現場を生む理由

月末に請求書が揃って、初めてその現場が赤字だったと分かる。この順番を変えない限り、赤字現場は止められません。現場ごとに都度原価を見る手順を、明日から使える粒度で解説します。


1. なぜ「月末に分かる」が手遅れなのか

2. 手順1:現場ごとに「原価の箱」を作る

3. 手順2:発注・出面のたびに「その日」入力する

4. 手順3:現場が7割終わった時点で一度見る

5. 手順4:赤字傾向が見えたら、次の受注前に止める

6. 手順5:月1回、全現場を並べて振り返る

なぜ「月末に分かる」が手遅れなのか

外壁塗装の現場が同時に8件動いていると想像してください。塗料の使用量、下請けの人工(1日あたりの作業量)、資材の追加発注。これらの請求書が事務所に揃うのは早くて現場完了の2〜3週間後です。

つまり赤字が確定するのは、その現場がもう終わった後です。次の現場の見積りは、赤字の原因が分からないまま同じ歩掛(作業1単位あたりの工数)で組まれます。赤字現場を止められないのではなく、止める判断をする材料が届く頃には現場が終わっているのです。

塗装工事業の倒産は2026年1月〜4月で前年同期より増えています。職人不足と資材高騰、原油・ナフサ供給不安が重なり、どんぶり勘定の会社ほど利益が薄い現場を積み重ねて資金が持たなくなっています。原価管理は経理の作業ではなく、会社を続けるための手順です。

手順1:現場ごとに「原価の箱」を作る

最初にやることは、案件番号や現場名で原価を分ける箱を作ることです。塗料代、シンナー・希釈材、足場代、養生材、下請け人工、自社人工、諸経費の7項目で十分です。

Excelでもノートでも構いません。ここでつまずくのは、複数現場の資材をまとめて1回で発注してしまい、後からどの現場にいくら使ったか分からなくなるパターンです。まとめ買いする場合は、発注メモに現場名と数量の割合を必ず書いておきます。

手順2:発注・出面のたびに「その日」入力する

月末にまとめて入力するのをやめて、発注した日、職人が現場に入った日にその都度入力します。塗料屋に電話した直後、現場監督が出面(誰が何日入ったか)を確認した直後がタイミングです。

つまずきやすい入力ミス

色番(日塗工・N80など)の読み違いや数量の書き間違いは、後から見返しても気づきにくいものです。発注した本人がその場で入力すれば、値段と数量の記憶が新しいうちに正確な数字が残ります。

入力を後回しにする会社の多くは「まとめて入れた方が早い」と考えますが、実際は1件ずつ思い出す作業のほうが時間がかかります。

手順3:現場が7割終わった時点で一度見る

完成を待たず、進捗7割の時点で使った原価と請求予定額を並べます。ここで見積り時の予算と実際のズレが初めて見えます。

雨で3日工程が流れて、下請けを別日程で入れ直した現場は、この時点で人工が予算超えしていることが多いです。7割で気づけば、残り3割の工程で仕上げ品質を落とさずコストを抑える判断ができます。月末に気づいても、もう打つ手がありません。

手順4:赤字傾向が見えたら、次の受注前に止める

7割時点で赤字傾向の現場が出たら、その原因を次の見積りに反映するまで新規受注の見積り条件を変えません。これが「赤字現場を止める」の実態です。止めるのは現場ではなく、同じ条件での受注です。

2025年12月施行の改正建設業法では、請負代金の変更方法の明確化と、著しく短い工期の禁止が新たに規定されています。人件費が上がっている前提で価格転嫁の仕組みを契約書に落とし込んでおくことが、これからの受注条件になります。

労働条件改善で人件費が上がる以上、従来の歩掛のままの見積りは赤字の温床になります。原価管理で気づいたズレを、契約書の記載事項にまで反映させる会社が、法改正後も生き残ります。

手順5:月1回、全現場を並べて振り返る

月末は集計の場ではなく、振り返りの場に変えます。7割時点で見た現場の実績と、完成後の最終原価を並べて、どの項目でズレたかを確認します。

ここでのつまずきは、赤字の原因を「資材高騰のせい」で終わらせてしまうことです。同じ現場条件でも、発注のタイミングや職人の割り付け次第でズレは縮められます。原因を項目単位まで分解して初めて、次の見積りに反映できます。

この手順を紙とExcelでやろうとすると、入力する人の手間が結局月末に集中してしまいます。私たちイーテクノスも塗装会社を経営していて、現場ごとの利益が決算まで見えない状態に長く苦しみました。その経験から、LINEで発注や出面を送るだけで現場ごとの原価が都度分かるツール「Anga」を作りました。

手順2の「その日入力」を仕組み化したいなら、まず7日間無料で試してみてください。

完成してから儲かったか分かるんじゃ、次の見積り直せないんだよな

よくある質問

Q. 塗装業の原価管理は何から始めればいいですか

現場ごとに原価を分ける箱を作ることから始めます。塗料代・足場代・人工などの項目を決め、発注や出面のたびにその日入力する習慣をつければ、月末集計に頼らず現場の途中で赤字傾向に気づけます。

Q. どんぶり勘定から脱却するのに大がかりなシステムが必要ですか

最初はExcelやノートでも構いません。重要なのは入力のタイミングを月末からその日に変えることです。仕組みが定着してから、LINEなど普段使う手段で入力できるツールに移行すると負担が減ります。

Q. 改正建設業法は原価管理にどう関係しますか

2025年12月施行の改正で請負代金の変更方法明確化や工期に関する規定が強化されました。原価のズレを見積り条件や契約書に反映する仕組みがないと、価格転嫁ができず人件費上昇分を吸収できません。

あわせて読みたい


塗料在庫が自己申告で破綻する理由

塗料在庫が自己申告で破綻する理由

築28年マンション、外壁塗装480㎡、職人3人。原油高の中、自己申告の在庫管理が招いた欠品と過剰発注の実話から、塗料在庫管理の見直し方を考えます。


1. 月曜7時、シリコン塗料が2缶足りない

2. 「自己申告」が壊れる仕組み

3. 欠品の翌週、今度は過剰発注が起きた

4. 数字を「人の記憶」から外した結果

月曜7時、シリコン塗料が2缶足りない

現場は築28年、3階建てマンションの外壁塗装です。延床480㎡、工期14日、職人は3人。日曜の夕方に主任が「上塗り用のシリコン、残り3缶あります」とLINEで報告していました。

月曜朝、実際に倉庫から出したのは1缶。棚には空き缶が2つ転がっていました。前の現場で余った分を別の職人が使い切っていたのですが、誰も在庫表に反映していませんでした。

上塗りは2日間で8缶使う計算です。足りない分は塗料店に電話しましたが、原油高の影響で入荷が週2回に減っていて、その日の配達には乗りません。結局、午前中の3時間、職人3人が現場で待機することになりました。3人×3時間=9人工分、約3万円弱がそのまま空費です。

「自己申告」が壊れる仕組み

この会社では、塗料の残量は職人の目視と記憶に頼っていました。缶のラベルに残量を書く運用はあったものの、忙しい現場では後回しになります。

在庫がズレる3つのパターン

  • 使い切っていない缶を「残りわずか」と大まかに報告する
  • 別現場から借りた缶が在庫表に反映されない
  • 色番(日塗工)が近いものを混同して数える

この現場でも、ND色の外壁用と付帯部用の缶が倉庫で混ざっていて、担当者が数え間違えていました。原油高で1缶あたりの単価が上がっている時期に、この手のズレは在庫金額のブレとしてそのまま経営を直撃します。

欠品の翌週、今度は過剰発注が起きた

欠品を怖がった主任は、次の週の発注で「多めに頼んでおこう」と判断しました。本来必要な数は上塗り用8缶、下塗り用6缶の計14缶です。実際に発注したのは20缶。

工期が終わって余ったのは5缶。原油高で塗料価格が上がっている中、使い切れない在庫を倉庫に抱えることになりました。倉庫の保管スペースも埋まり、次の現場で別の色番を置く場所がなくなるという副作用も出ています。

欠品を恐れて多く発注し、余って資金を圧迫する。この往復を、この会社は過去1年で少なくとも4回繰り返していました。1回あたりの空費は3万円から5万円程度で、年間で見ると決して小さな額ではありません。

缶が足りないと分かった時の、あの3時間の待機が一番こたえます

数字を「人の記憶」から外した結果

この会社が変えたのは、報告のタイミングと記録の仕方でした。使った缶数をその日のうちに現場ごとに記録し、色番・希釈率とセットで残量を管理する形に変えています。

次の現場、築15年の戸建て2棟同時工事(外壁200㎡×2)では、上塗り分の発注を7缶に絞り、実際の使用量は6.5缶でした。欠品も過剰在庫も出ませんでした。発注書を作る手間も、以前は現場ごとに紙とLINEを見比べて20分かかっていたのが、記録が一元化されたことで5分程度に減っています。

改正建設業法の施行で、資材高騰分の価格転嫁や契約内容の明確化が求められる流れも出ています。在庫の数字が曖昧なままでは、原価がぼやけて価格交渉の材料も作れません。

記録を人に頼らない仕組みとして、私たちイーテクノスが自社の現場で困った経験から作ったのが在庫管理アプリ「Anga」です。現場ごとの使用量と残缶数をLINEで報告するだけで自動集計され、発注の判断が「記憶」から「数字」に変わります。欠品と過剰発注の両方を減らす選択肢のひとつとして、試してみる価値はあります。

よくある質問

Q. 塗料の在庫管理はどこまで細かくやるべきですか

色番・希釈率・用途(上塗り/下塗り)ごとに残量を記録するのが目安です。現場単位ではなく缶単位で追わないと、複数現場を行き来する塗料の移動で必ずズレが出ます。原油高の時期は特に金額インパクトが大きいため注意が必要です。

Q. 職人の自己申告をやめて何を導入すればいいですか

紙の在庫表からLINE報告+自動集計への切り替えが現実的です。報告のハードルを下げつつ、その日のうちに記録する運用に変えるだけで、欠品・過剰発注の往復はかなり減らせます。

Q. 過剰発注と欠品、どちらの対策を先にすべきですか

多くの現場は欠品を恐れて過剰発注に振れる傾向があります。まず使用量の記録を正確にして、必要缶数の計算精度を上げることが先です。精度が上がれば欠品対策の在庫バッファも最小限で済みます。

あわせて読みたい


塗装業の人手不足|求人費倍増でも辞める会社の共通点

塗装業の人手不足|求人費倍増でも辞める会社の共通点

求人広告を増やしても職人が辞め続けるのはなぜか。給料と休日を数字で出せない会社ほど若手に選ばれず、人手不足が悪化する構造を分解します。


1. 求人広告費を倍にしても応募が減る理由

2. 本当の原因は「数字を出せない」ではなく「数字を持っていない」

3. なぜこの問題は何年も放置され続けたのか

4. 数字を出せる会社に変えるための3つの断ち方

5. 記録を仕組み化した先にある選択肢

求人広告費を倍にしても応募が減る理由

求人媒体の担当者に「掲載枠を増やしましょう」と言われるままに予算を積んだ経験がある社長は多いはずです。

ですが応募数はほとんど変わらないか、むしろ減っていくケースが目立ちます。

理由は単純です。今の若手は求人票の「アットホームな職場です」「頑張り次第で稼げます」を信用していません。

見ているのは月収の実数、休日の実数、残業の実数です。これを出せない求人票は、内容以前に読まれずに終わります。

広告費を増やす行為は、壊れた蛇口の下にバケツを増やす行為に近いです。水漏れそのものは直っていません。

本当の原因は「数字を出せない」ではなく「数字を持っていない」

多くの塗装会社が抱える問題は、数字を隠しているのではなく、そもそも数字を計算できる状態にないことです。

原因1:現場ごとの人工と歩掛が個人の頭の中にある

見積書には金額が書かれていても、その現場に何人工(1人が1日働く単位)かかったか、歩掛(作業1単位あたりの工数)がどうだったかは、社長や職人の感覚に残るだけです。

年間の総人工を集計していない会社では、平均残業時間も、現場ごとの実質時給も出せません。求人票に書ける数字がそもそも存在しないのです。

原因2:休日は「決めていない」ではなく「天候で崩れる」

塗装は雨で工程が流れる仕事です。晴れの日に詰め込んで、雨の日にまとめて休む運用が当たり前になっている会社ほど、月の休日数が読者に説明できません。

本人たちは「そこそこ休めている」と思っていても、平均を数値化すると年間休日が90日を切っているケースも珍しくありません。数字にしていないから、悪化に気づくのも遅れます。

原因3:見えている数字が「会社全体の売上」だけ

決算書には売上と粗利は載っていますが、それは会社全体の数字です。どの現場が儲かって、どの現場が赤字だったかは決算のタイミングまで分からない会社が大半です。

現場別の利益が見えなければ、給料の根拠となる人件費配分も説明できません。

なぜこの問題は何年も放置され続けたのか

塗装会社の多くは、忙しい時期ほど数字を整理する余裕がなくなります。雨で工程がずれた翌週は現場が渋滞し、事務作業は後回しになります。

「今期は忙しかったから」「来期落ち着いたら集計しよう」という言い訳が毎年繰り返され、集計の仕組み自体が一度も作られないまま10年が過ぎる会社を、何社も見てきました。

さらに構造的な問題として、2025年12月施行の改正建設業法があります。労働者の待遇改善が求められ、人件費上昇への対応と、請負代金の変更方法の明確化が経営に直結する要件になりました。

従来の「長時間労働でなんとか回す」現場運営は、この改正で通用しにくくなります。価格転嫁の仕組みと同時に、労働条件を数字で示せる体制を作らないと、法対応そのものが後手に回ります。

加えて2026年に入り、塗装工事業の倒産が前年同期比で増えているという業界動向もあります。資材高騰と職人不足に加え、原油・ナフサ供給不安が中小・零細事業者を圧迫している状況です。体力のない会社ほど、数字の整備を後回しにする余裕がなくなっています。

数字を出せる会社に変えるための3つの断ち方

精神論で「情報公開を頑張ろう」と決めても、翌月には元に戻ります。仕組みとして断つ必要があるのは次の3点です。

  • 現場ごとの人工・工期・利益を、現場が終わった時点で自動的に記録する仕組みを持つ
  • 月間・年間の休日実績を天候要因も含めて集計し、求人票に転用できる形にしておく
  • 求人票の数字は「平均」ではなく「直近12ヶ月の実数」で更新する

これらは特別な設備投資ではなく、日々の記録の取り方を変えるだけで実現できます。ただ紙の帳票や口頭の申告に依存している限り、記録は必ず抜け漏れます。

国や自治体の支援策も知っておくと選択肢が広がります。厚生労働省の人材確保等支援助成金は、採用や職場環境改善に使える制度で、建設業でも要件を満たせば活用できます。事業承継やM&Aで基盤強化を検討する場合は、商工会議所の相談窓口や専門家派遣制度も利用可能です。

対応 従来のやり方 仕組み化した場合
人工の記録 職人の口頭申告・記憶頼み 現場ごとに日々記録し集計
休日実績 天候で崩れた分は把握せず 年間実績を数値化して開示
求人票の数字 感覚的な表現で記載 直近12ヶ月の実数で更新

記録を仕組み化した先にある選択肢

現場の記録を職人のLINE報告や紙の日報に頼っている会社では、集計そのものが月末の作業になり、結局は後回しにされます。

休日、実は何日あるか聞かれて答えられなかった。数えたことがなかった。

私たちイーテクノスも塗装会社を経営してきた中で、同じ悩みを抱えていました。現場ごとの人工や利益が決算まで見えず、求人票に書ける数字が最終的に一つも残っていなかった経験があります。

そこから自社の現場で使うために作ったのが、塗装業向け業務管理ツールのAngaです。LINEでの発注・報告をそのまま記録に変換し、現場別の人工と利益を日々の運用の中で残せるようにしています。

求人広告費を増やす前に、まず社内に「出せる数字」があるかどうかを確認する。そこから始める会社が、結果的に若手に選ばれる求人票を書けるようになります。

よくある質問

Q. 求人広告を増やしても応募が来ないのはなぜですか

求人票に書かれている待遇が具体的な数字でないため、若手から信用されていない可能性が高いです。月収や休日の実数を直近12ヶ月分で示せる会社ほど応募が集まりやすくなります。

Q. 現場ごとの利益を把握するには何から始めればいいですか

まずは現場ごとの人工と工期を終了時点で記録する運用を作ることです。紙やLINE任せだと抜け漏れが起きやすいため、記録を自動的に残せる仕組みを併用すると集計の手間が減ります。

Q. 改正建設業法は塗装会社の何に影響しますか

2025年12月施行の改正で、労働者の待遇改善や請負代金の変更方法の明確化が求められます。長時間労働に依存した運営が難しくなり、人件費上昇分を価格に反映する仕組み作りが急務になります。

あわせて読みたい


塗料の二重発注が消えない理由、電話発注の設計ミス

塗料の二重発注が消えない理由、電話発注の設計ミス

職人からの電話一本で発注する塗装会社ほど、なぜ毎回同じ色番を二重発注するのか。原因は職人の不注意ではなく、発注という業務そのものの設計にあります。


1. 症状:現場が増えるほど発注ミスも増える

2. 本当の原因①:発注が「人の記憶」に依存している

3. 本当の原因②:発注記録と原価が別々の場所にある

4. なぜ今まで放置されてきたのか

5. どうすれば発注ミスを断てるのか

症状:現場が増えるほど発注ミスも増える

外壁塗装の現場が3件重なると、必ずどこかで塗料が足りなくなるか、逆に余ります。

築30年マンション改修で使う日塗工の色番を、職人が電話口で「いつもの色」と伝えて、塗料屋が別ロットを用意してしまう。希釈率の指示が抜けて、現場で職人が判断して薄めすぎる。こうした話は塗装会社なら一度は経験があるはずです。

現場が10件あれば、発注のやり取りだけで月に相当な時間が消えます。しかも同じ塗料を2回頼んでしまい、余った1缶が倉庫の隅に積み上がる。これが「発注ミス」という言葉の実態です。

本当の原因①:発注が「人の記憶」に依存している

口頭発注の会社では、発注の正しさが職人個人の記憶力に依存しています。

色番、希釈率、標準塗布量、必要缶数。これらは本来、現場ごとに図面と見積から機械的に決まる数字です。ところが電話一本で伝えると、聞いた側の解釈が入ります。「クリーンマイルドシリコン」を職人が「クリマイ」と略して伝え、聞いた事務員が別の商品と混同する、というのはよくある食い違いです。

人の記憶と伝聞に頼る仕組みは、現場数が少ないうちは何とか回ります。ですが現場が増えた瞬間、必ず破綻します。仕組みの問題であって、職人の注意力の問題ではありません。

本当の原因②:発注記録と原価が別々の場所にある

多くの塗装会社では、発注は電話かLINE、記録は紙の伝票かノート、原価計算はエクセルか決算時、とバラバラの場所に存在しています。

この分断があるせいで、二重発注が起きても誰も気づけません。気づくのは決算のタイミングで、なぜかその現場だけ材料費が突出している、というときです。原因を遡ろうにも、発注の記録が電話の記憶頼みなので、検証すらできません。

なぜ元請も気づけないのか

元請は工程と仕上がりしか見ていません。発注書という紙一枚が現場ごとの原価をズラしていても、外からは見えないのです。

なぜ今まで放置されてきたのか

理由は単純で、発注の仕組みを変えるコストより、今のやり方を続けるコストのほうが「見えにくい」からです。

二重発注で余った塗料代は、月次の損益では埋もれてしまいます。人手不足の現場で、発注システムの導入や運用ルールの整備に時間を割く余裕もありません。

ですがここに来て状況が変わりつつあります。2025年12月施行の改正建設業法では、契約内容の明確化や請負代金の変更方法の整理が求められるようになりました。人件費上昇への価格転嫁も含めて、どんぶり勘定の発注管理では立ち行かなくなる会社が増えていくはずです。実際、塗装工事業では2026年に入ってからの倒産件数が前年同期より増えており、資材高騰と職人不足に加えて、こうした管理の甘さが経営を圧迫している面もあります。

どうすれば発注ミスを断てるのか

発注ミスを個人の注意力で止めようとする限り、現場が増えれば必ず再発します。断つには、発注の記録と現場・原価を同じ場所で紐づける仕組みが要ります。

電話で色番聞き返しても、結局違う缶が届いたことあるよ

色番、希釈率、必要缶数を現場ごとに固定して残せば、職人の記憶に頼らず誰が発注しても同じ結果になります。二重発注も、記録を見た瞬間に気づけます。

私たちイーテクノスも、もともと塗装会社を経営する中で同じ問題に何度もぶつかりました。電話で聞き返しても発注ミスが減らず、現場ごとの利益が決算まで見えないという状態です。そこで自社の現場で使うために作ったのが、LINEで発注しながら現場・原価まで一本化できる「Anga」です。特別なアプリを覚える必要がなく、普段のLINEのやり取りがそのまま発注記録と原価管理につながります。

よくある質問

Q. 塗装の発注ミスはなぜ職人に注意しても減らないのですか

注意力の問題ではなく、発注の正しさが個人の記憶や伝聞に依存する仕組みそのものに原因があるためです。色番や希釈率を現場ごとに記録として固定しない限り、担当者が変わるたびに同じミスが再発します。

Q. 二重発注が起きているかどうか、どう気づけばいいですか

発注の記録と現場ごとの原価が同じ場所で紐づいていれば、余った缶数や重複した発注がすぐ見えます。逆に電話やノートだけで管理していると、決算時まで気づけないことがほとんどです。

Q. 改正建設業法は塗装会社の発注管理にも関係ありますか

直接は契約や工期、価格転嫁の明確化が主眼ですが、どんぶり勘定の原価管理では請負代金の変更根拠を示しにくくなります。発注記録を整えることは契約対応の土台にもなります。

あわせて読みたい