塗装業の人手不足、社長の記憶依存が原因

塗装業の人手不足、社長の記憶依存が原因

雨予報一本で明日の段取りが総崩れになる。塗装業 人手不足対策の本丸は求人ではなく、手配の仕組みそのものにあります。構造から解きます。


1. 症状:欠勤も雨も『社長の記憶力』で吸収している

2. 本当の原因①:手配情報が『個人の頭』にしか存在しない

3. 本当の原因②:属人化が『辞めさせられない社長』を作る

4. なぜ今まで放置されてきたか:『毎日回っているから』後回しにされる

5. どうすれば断てるか:手配を『個人の頭』から『共有の仕組み』に移す

症状:欠勤も雨も『社長の記憶力』で吸収している

外壁塗装の現場が5件同時に動いている日、急に一人が休むと連絡が入ります。

社長の頭の中で「A現場のケレン(下地の錆や旧塗膜を削る作業)は明日でも間に合う、B現場の吹付は今日中にやらないと乾燥時間が足りない」と瞬時に並べ替えが始まります。

これが天候変更でも起きます。雨予報が急に前倒しになった朝、養生を外す判断、人工(1人が1日働く単位)の振り替え、資材の再手配が同時多発します。

全部、社長か現場監督の記憶と勘でさばいています。紙やホワイトボードの工程表はあっても、それを更新する頭は1つしかありません。

本当の原因①:手配情報が『個人の頭』にしか存在しない

多くの塗装会社では、誰がどの現場に何日入っているかという情報が、社長の頭とLINEの個別トーク、職人本人の記憶に分散しています。

共有された1枚の工程表として存在していません。だから欠勤や天候変更のたびに、社長が全員に個別連絡して再調整するしかなくなります。

情報が一元化されていないと何が起きるか

  • 急な欠勤時、誰が空いているか即答できず電話をかけまくる
  • 天候変更のたびに、社長不在だと現場が止まる
  • 新しく入った職人ほど「今日どこに行けばいいか」が分からず稼働率が下がる

仕組みが無いのではなく、仕組みが個人の脳に閉じ込められている状態です。

本当の原因②:属人化が『辞めさせられない社長』を作る

手配が社長の頭だけで回っていると、社長は現場に出づらくなります。

事務所にいて電話番をしないと、明日の段取りが誰にも分からないからです。休みも取りづらく、体調を崩しても代われる人がいません。

この状態が長く続くと、後継者や番頭格の社員が育ちません。手配のノウハウを渡す仕組みがないまま、社長だけが情報を抱え続けます。

実際、塗装工事業では2026年1月から4月にかけて倒産件数が前年同期より増えたという業界の動きがあります。職人不足や資材高騰に加え、経営基盤そのものが1人に依存している会社ほど、急な変化に耐えられず経営が傾きやすい構造です。

なぜ今まで放置されてきたか:『毎日回っているから』後回しにされる

手配の属人化は、多くの会社にとって「今日も何とか回った」という結果オーライで見過ごされてきました。

エクセルやホワイトボード、LINEグループでその場しのぎができてしまうため、根本的に仕組みを変える動機が生まれにくいのです。

しかし人手不足が進むほど、1人の欠勤や1回の天候変更が与える打撃は大きくなります。手配できる職人の絶対数が減っているからです。

国も人材確保等支援助成金など、採用や職場環境改善を後押しする制度を用意しています。ただし助成金は「人を増やす」支援であって、「今いる人をどう配置するか」という仕組みの問題は別に解く必要があります。採用だけでは、手配の属人化は治りません。

どうすれば断てるか:手配を『個人の頭』から『共有の仕組み』に移す

断ち方はシンプルです。誰がどの現場にいつ入るか、天候変更で何が動くかを、社長以外も見て動かせる状態にすることです。

工程表を紙やホワイトボードから、全員がスマホで見られる形に変えるだけでも、欠勤時の再調整は速くなります。誰が空いているか一目で分かれば、電話をかけまくる時間が減ります。

雨予報一本で朝から電話かけまくり。頭の中がパンクします。

私たちイーテクノスも塗装会社を経営していて、まさにこの手配の属人化に苦しんだ経験からAngaという現場管理サービスを作りました。職人の出面(現場ごとの出勤・稼働状況)と工程を一元管理し、天候変更や欠勤があってもLINEベースで現場に共有できる仕組みです。

手配の仕組みを個人依存から会社の資産に変えることは、後継者に会社を渡せる状態を作ることでもあります。事業承継やM&Aが進む業界の中で、中小企業庁や自治体の事業承継支援窓口も、経営基盤強化の相談先として使える選択肢です。

よくある質問

Q. 塗装業の人手不足対策は採用を増やすしかないのでしょうか

採用は対策の一つですが、今いる職人の手配を仕組み化する方が即効性があります。欠勤や天候変更のたびに社長が再調整する時間を減らせば、少ない人数でも稼働率が上がり、体感的な人手不足が和らぎます。

Q. 工程表を共有化すると職人から反発されませんか

最初は戸惑われることもありますが、自分の予定が事前に見えることは職人側にもメリットです。急な呼び出しが減り、予定が立てやすくなるため、定着率の改善につながったという声もよく聞きます。

Q. 人材確保等支援助成金は塗装会社でも使えますか

建設業でも要件を満たせば活用可能とされています。採用活動やキャリア形成支援、職場環境改善が対象です。詳細要件は年度ごとに変わるため、厚生労働省や商工会議所で最新情報を確認することをおすすめします。

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塗装発注ミスが消えない理由|紙vsExcelvsアプリ

塗装発注ミスが消えない理由|紙vsExcelvsアプリ

色番を口頭で伝えて、現場に届いたのは違う艶。塗装会社の発注ミスは仕組みの問題です。紙・Excel・専用アプリを比較して、なくならない理由を解きます。


1. 塗料屋の受注締め切りに間に合わなかった話

2. なぜ「口頭伝達」がミスの温床になるのか

3. 紙・Excel・専用アプリを同じ業務で比べてみる

4. Q&Aで解く、発注ミスをめぐる疑問

5. 仕組みを変える前に、まず自社の発注ルートを見てみる

塗料屋の受注締め切りに間に合わなかった話

閉店間際の塗料屋に、現場監督が電話をかけ込む場面を見たことがあります。

「明日の朝一で3分艶のシリコン、20缶」と伝えたはずが、翌朝届いたのは5分艶。聞き違いか、伝え間違いか、誰も分かりません。

結局その日は下地処理だけで職人を帰し、人工(にんく=作業員1人分の工数)を1日分無駄にしました。

この手の話は特別な失敗談ではありません。現場監督の記憶と勘に発注を頼っている塗装会社なら、程度の差はあれ誰もが経験しています。

なぜ「口頭伝達」がミスの温床になるのか

型番・数量・現場名。この3つを電話やLINEの音声で伝える時、情報は必ず劣化します。

聞き手が聞き返さなければ、話し手は「伝わった」と思い込みます。ここに構造的な欠陥があります。

記憶に頼ると起きること

  • 色番(日塗工・NDなど)の桁を1つ間違える
  • 希釈率や標準塗布量を考慮せず数量を発注
  • 発注した本人しか内容を把握していない
  • 現場が変わった瞬間に前回の指示と混同する

現場監督が10件の現場を掛け持ちしていれば、記憶違いが起きない方が不自然です。

紙・Excel・専用アプリを同じ業務で比べてみる

同じ「発注」という業務を、手段だけ変えて回すとどうなるか。手間・ミス率・共有のしやすさ・コストの4軸で比較しました。

紙は準備コストがゼロに見えて、実は転記の手間と紛失リスクを抱えています。Excelは慣れた人には速いですが、ファイルが個人のPCに閉じてしまいがちです。

専用アプリは初期の導入コストこそかかりますが、型番・数量を一度登録すれば使い回せるため、現場が増えるほど差が開きます。

手段 手間 ミス率 共有のしやすさ コスト
紙の発注書 記入・転記に時間がかかる 高い(読み間違い・転記漏れ) 現場でしか見られない 印刷代のみで安い
Excel 慣れれば速いが更新が属人化 中程度(バージョン違いが発生) メール添付や共有フォルダ頼み ほぼ無料だが管理コスト高い
専用アプリ 初回登録後は入力が速い 低い(型番・数量を選択式で管理) 事務所・現場でリアルタイム共有 月額費用はかかるが手戻りが減る

Q&Aで解く、発注ミスをめぐる疑問

検索で「塗装 発注 ミス」とたどり着いた方が、実際に知りたいことに答えます。

色番間違えて届いた缶、開けてみて初めて気づくんですよ

仕組みを変える前に、まず自社の発注ルートを見てみる

塗装工事業は今、職人不足と資材高騰、原油・ナフサ供給不安が重なり、経営体力の弱いところから淘汰が進んでいます。発注ミスによる材料の無駄や手戻りは、この状況では小さな痛手では済みません。

一方で、後継者問題を抱える会社ではM&Aや事業承継で経営基盤を強くする動きも進んでいます。事業承継の相談は中小企業庁の窓口や地域の商工会議所、各自治体の独自補助金制度も選択肢になります。

発注の仕組みを紙やExcelから専用アプリに切り替えるのも、同じ発想です。個人の記憶に依存した体制を、会社の仕組みに変える一歩です。

私たちイーテクノスも塗装会社を経営していて、色番の聞き間違いで現場を止めた経験があります。その反省から、現場監督が型番と数量をその場でスマホ入力し、事務所と即共有できるAngaという発注管理アプリを作りました。

記憶と勘に頼る発注から抜け出す方法の一つとして、選択肢に加えてみてください。

よくある質問

Q. 塗装の発注ミスが多い会社に共通する原因は何ですか

型番・数量・現場名を口頭や記憶だけで伝えていることが最大の原因です。伝達を担う人が変わったり、現場を掛け持ちしたりすると、記憶違いや聞き間違いが起きやすくなります。記録として残す仕組みがない限り、ミスは繰り返されます。

Q. Excelで発注管理をすればミスは減りますか

紙よりは改善しますが、ファイルが個人のPCに閉じていると共有が遅れます。誰が最新版を更新したか分からなくなるケースも多く、現場数が増えるほど管理が破綻しやすくなります。

Q. 発注管理アプリを導入する費用対効果はありますか

材料待ちで職人を1日待たせる人工の損失や、誤発注した塗料の在庫コストを考えると、月額費用より手戻りの削減額の方が大きくなるケースが多いです。まず自社の発注ミスの頻度を数えてみることをおすすめします。

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