塗料在庫が自己申告で破綻する理由

塗料在庫が自己申告で破綻する理由

築28年マンション、外壁塗装480㎡、職人3人。原油高の中、自己申告の在庫管理が招いた欠品と過剰発注の実話から、塗料在庫管理の見直し方を考えます。


1. 月曜7時、シリコン塗料が2缶足りない

2. 「自己申告」が壊れる仕組み

3. 欠品の翌週、今度は過剰発注が起きた

4. 数字を「人の記憶」から外した結果

月曜7時、シリコン塗料が2缶足りない

現場は築28年、3階建てマンションの外壁塗装です。延床480㎡、工期14日、職人は3人。日曜の夕方に主任が「上塗り用のシリコン、残り3缶あります」とLINEで報告していました。

月曜朝、実際に倉庫から出したのは1缶。棚には空き缶が2つ転がっていました。前の現場で余った分を別の職人が使い切っていたのですが、誰も在庫表に反映していませんでした。

上塗りは2日間で8缶使う計算です。足りない分は塗料店に電話しましたが、原油高の影響で入荷が週2回に減っていて、その日の配達には乗りません。結局、午前中の3時間、職人3人が現場で待機することになりました。3人×3時間=9人工分、約3万円弱がそのまま空費です。

「自己申告」が壊れる仕組み

この会社では、塗料の残量は職人の目視と記憶に頼っていました。缶のラベルに残量を書く運用はあったものの、忙しい現場では後回しになります。

在庫がズレる3つのパターン

  • 使い切っていない缶を「残りわずか」と大まかに報告する
  • 別現場から借りた缶が在庫表に反映されない
  • 色番(日塗工)が近いものを混同して数える

この現場でも、ND色の外壁用と付帯部用の缶が倉庫で混ざっていて、担当者が数え間違えていました。原油高で1缶あたりの単価が上がっている時期に、この手のズレは在庫金額のブレとしてそのまま経営を直撃します。

欠品の翌週、今度は過剰発注が起きた

欠品を怖がった主任は、次の週の発注で「多めに頼んでおこう」と判断しました。本来必要な数は上塗り用8缶、下塗り用6缶の計14缶です。実際に発注したのは20缶。

工期が終わって余ったのは5缶。原油高で塗料価格が上がっている中、使い切れない在庫を倉庫に抱えることになりました。倉庫の保管スペースも埋まり、次の現場で別の色番を置く場所がなくなるという副作用も出ています。

欠品を恐れて多く発注し、余って資金を圧迫する。この往復を、この会社は過去1年で少なくとも4回繰り返していました。1回あたりの空費は3万円から5万円程度で、年間で見ると決して小さな額ではありません。

缶が足りないと分かった時の、あの3時間の待機が一番こたえます

数字を「人の記憶」から外した結果

この会社が変えたのは、報告のタイミングと記録の仕方でした。使った缶数をその日のうちに現場ごとに記録し、色番・希釈率とセットで残量を管理する形に変えています。

次の現場、築15年の戸建て2棟同時工事(外壁200㎡×2)では、上塗り分の発注を7缶に絞り、実際の使用量は6.5缶でした。欠品も過剰在庫も出ませんでした。発注書を作る手間も、以前は現場ごとに紙とLINEを見比べて20分かかっていたのが、記録が一元化されたことで5分程度に減っています。

改正建設業法の施行で、資材高騰分の価格転嫁や契約内容の明確化が求められる流れも出ています。在庫の数字が曖昧なままでは、原価がぼやけて価格交渉の材料も作れません。

記録を人に頼らない仕組みとして、私たちイーテクノスが自社の現場で困った経験から作ったのが在庫管理アプリ「Anga」です。現場ごとの使用量と残缶数をLINEで報告するだけで自動集計され、発注の判断が「記憶」から「数字」に変わります。欠品と過剰発注の両方を減らす選択肢のひとつとして、試してみる価値はあります。

よくある質問

Q. 塗料の在庫管理はどこまで細かくやるべきですか

色番・希釈率・用途(上塗り/下塗り)ごとに残量を記録するのが目安です。現場単位ではなく缶単位で追わないと、複数現場を行き来する塗料の移動で必ずズレが出ます。原油高の時期は特に金額インパクトが大きいため注意が必要です。

Q. 職人の自己申告をやめて何を導入すればいいですか

紙の在庫表からLINE報告+自動集計への切り替えが現実的です。報告のハードルを下げつつ、その日のうちに記録する運用に変えるだけで、欠品・過剰発注の往復はかなり減らせます。

Q. 過剰発注と欠品、どちらの対策を先にすべきですか

多くの現場は欠品を恐れて過剰発注に振れる傾向があります。まず使用量の記録を正確にして、必要缶数の計算精度を上げることが先です。精度が上がれば欠品対策の在庫バッファも最小限で済みます。

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見積もり20万円差で負ける理由と脱却5手順

見積もり20万円差で負ける理由と脱却5手順

同じ坪数、同じ現場なのに他社より20万円高い。理由を聞かれて「相場です」としか言えなかった社長へ。見積書の中身を変える手順を、そのまま明日から使える形で並べます。


1. 相見積もりで負ける本当の理由は「安さ」じゃない

2. 手順1:過去の見積書を「根拠の量」で棚卸しする

3. 手順2:工程ごとに「なぜこの塗料か」を1行添える

4. 手順3:天候・下地リスクを契約書に明記する

5. 手順4:提出前に第三者目線でチェックする

6. 手順5:見積もりの根拠をデータで積み上げる

相見積もりで負ける本当の理由は「安さ」じゃない

元請から「A社が坪3,000円安いんですけど」と電話が来たとき、多くの社長がまず値引きを考えます。

でも実際に負けている理由は価格ではなく、見積書に「なぜその金額か」が書いていないことです。

ケレン(下地の錆や旧塗膜を削る作業)を何種で何時間やるのか。下塗り・中塗り・上塗りで何を使い、標準塗布量はいくつか。これが書いていない見積書は、読み手からすると全部「同じ商品」に見えます。

同じに見える商品は、安い方が勝ちます。当たり前です。

値引きで受注した現場ほど後で痛い

値引きで取った現場は、大抵どこかの工程を削って帳尻を合わせます。人工(にんく・作業員1人1日分の工数)を減らすか、希釈率を上げて塗料を薄く伸ばすか。

どちらも3年後のクレームになって返ってきます。値引き合戦から抜けるというのは、単価を上げる話ではなく、比較される土俵を変える話です。

手順1:過去の見積書を「根拠の量」で棚卸しする

まず今すぐできることから始めます。直近5件の見積書を机に並べてください。

それぞれに「使用塗料の商品名」「色番(日塗工番号)」「工程数」「面積あたりの塗布量」が書いてあるか、赤ペンでチェックします。

ここでつまずくのが、社長本人は現場をわかっているので「書かなくても伝わる」と思い込んでいる点です。元請の担当者は塗装の素人であることが大半で、専門用語を見た瞬間に「よくわからないから価格だけ見よう」となります。

棚卸しの結果、根拠が薄い見積書が多ければ、それが値引き合戦の原因だったとわかります。

手順2:工程ごとに「なぜこの塗料か」を1行添える

次に、新しく作る見積書には工程ごとに理由を1行加えます。

「中塗り・上塗り:クリーンマイルドシリコン(日本ペイント)/ND-100/艶3分 ※北面の紫外線劣化を考慮し低汚染タイプを選定」というように、選定理由まで書きます。

ここでつまずくのは、理由を書こうとして長文になり、逆に読まれなくなるパターンです。1工程1行、40字前後に収めるのがコツです。

元請の担当者が社内で稟議を通すとき、この1行がそのままコピペで使える説明文になります。ここまでやると、あなたの見積書は「価格表」から「提案書」に変わります。

手順3:天候・下地リスクを契約書に明記する

2025年12月に施行された改正建設業法では、著しく短い工期の禁止と、天候や下地状況などのリスク情報を発注者に提供する義務が新しく定められました。

これは面倒な規制ではなく、むしろ見積もりの武器になります。

「雨天による工程順延の可能性」「既存下地の劣化度合いによる下地処理範囲の変動」を見積書の備考欄に明記すれば、価格の裏にある根拠がさらに具体的になります。

ここでつまずくのは、リスク項目を書きすぎて「言い訳が多い会社」に見えてしまうことです。3項目までに絞り、それぞれ1文で簡潔に書きます。

手順4:提出前に第三者目線でチェックする

見積書ができたら、現場を知らない事務員や家族に読んでもらいます。

「この工程、何のためにやるかわかる?」と聞いて、答えられなければ根拠の書き方が足りません。

ここでつまずくのは、社長自身が最終チェックをすると「自分は理解できるからOK」と判断してしまう点です。第三者の目を必ず一度通します。

職人の癖まで反映できているか

塗料名を正式名称で書いたつもりでも、現場では職人が略称で呼んでいることがあります。「クリマイ」で通っている塗料が正式には「クリーンマイルドシリコン」だったりします。

見積書と現場指示書で表記がずれていないか、ここも合わせて確認します。

手順5:見積もりの根拠をデータで積み上げる

ここまでの手順を紙とExcelでやろうとすると、現場が10件あれば見積書の作成だけで月20時間は飛びます。過去の工程データを毎回手打ちで探す時間が一番のロスです。

加えて、改正建設業法で労働者の待遇改善が必須になり、人件費は今後も上がっていきます。値引きで受注する体質のままだと、上がった人件費を価格に転嫁できず、経営を圧迫します。

倒産件数が前年より増えている今の状況では、見積もりの精度と速さの両立が事業継続に直結します。

私たちイーテクノスも塗装会社を経営していて、まさにこの「根拠を書く手間」に苦しんできました。代表の井上が自社の現場で困った経験から、工程・塗料・色番の根拠をテンプレ化して見積書に自動反映できるソフト「Anga」を作りました。

値引き合戦から抜ける5つの手順は、道具があれば毎回のことなので手間が減ります。まずは今使っている見積書1枚をAngaに読み込ませて、根拠の抜けをチェックするところから試せます。

同じ坪数なのに他社より高いと言われて、何も言い返せなかった夜がある

よくある質問

Q. 見積書に工程や塗料の根拠を書くと、逆に手間が増えて見積もり作成が遅くならないか心配です

最初の数枚は時間がかかりますが、工程と塗料の組み合わせはパターン化できるため、テンプレートを作れば2回目以降は選ぶだけで済みます。手作業なら過去見積もりのコピペ、ソフトを使うなら登録データからの自動反映で時間を大幅に減らせます。

Q. 元請が価格だけしか見ていない場合、根拠を書いても意味がないのでは

担当者個人が価格だけで見ていても、社内稟議では根拠が必要になる場面が必ずあります。根拠が書かれた見積書は稟議書にそのまま転用でき、元請担当者にとって手間が省ける資料になるため、結果的に選ばれやすくなります。

Q. 塗装工事見積もりソフトを導入する目安のタイミングはいつですか

月の見積もり作成件数が5件を超えたあたりから、手作業での根拠記載に時間がかかり始めます。相見積もりで負ける回数が増えたと感じたタイミングも、見積もりの中身を見直す良い機会です。

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見積もり値引き地獄、3層構造が原因

見積もり値引き地獄、3層構造が原因

見積もりのたびに前回の数字を思い出しながら電卓を叩いていませんか。過去データがないと値上げの根拠が示せず、結局は元請の言い値に近づいていきます。


1. 症状:気づけば「言い値」に近づいている

2. 本当の原因は1つではない — 3層構造で見る

3. なぜこの構造が今まで放置されてきたか

4. どうすれば値引き地獄を断てるか

5. データを残す仕組みを、現場の負担なく作る

症状:気づけば「言い値」に近づいている

塗装工事の見積もり相談を受けていると、驚くほど多くの会社が同じ悩みを口にします。

去年と同じ現場規模なのに、見積書を開くたびにゼロから単価を拾い直している。エクセルのテンプレートはあっても、中身の数字は毎回頭の中の記憶頼りです。

塗料の希釈率や標準塗布量、下地処理にかかる人工は現場ごとに微妙に違います。だから「前もこれくらいだったはず」という感覚だけで積算してしまう。

結果、元請から「他社はもっと安い」と言われたときに、根拠を示せません。過去の実績データが手元にないので、反論する材料がないのです。値引き交渉は毎回、感覚と勢いの勝負になります。

本当の原因は1つではない — 3層構造で見る

第1層:見積もりが「案件」ではなく「紙」で管理されている

多くの塗装会社では、見積書はプロジェクトごとのファイルとして保存されます。過去の見積もりを横断的に検索して、「築25年・鉄部塗装・3階建て」のような条件で類似案件を引っ張り出す仕組みがありません。だから毎回、記憶と勘で単価を再構築するしかないのです。

第2層:歩掛の記録が現場監督の頭の中にしかない

ケレン(下地処理の削り作業)や養生にどれだけ人工がかかったか、実際の記録が残っていない会社がほとんどです。現場監督が独立したり退職したりすると、その歩掛の勘所ごと会社から消えてしまいます。

第3層:値上げ交渉の「言い方」ではなく「材料」が足りない

価格交渉が苦手なのではありません。交渉に使える過去実績、原価推移、資材高騰分のエビデンスが手元にないだけです。感覚で「上げてほしい」と言っても、元請からすれば根拠のない値上げ要求にしか見えません。

なぜこの構造が今まで放置されてきたか

理由は単純です。忙しすぎて、データを蓄積する仕組みを作る時間がなかったからです。

現場が10件動いていれば、見積もり作成と発注書だけで担当者の稼働は簡単に月20時間を超えます。その中で「過去データベースを整備しよう」という優先順位は、どうしても後回しになります。

さらに、塗装業界は零細・中小事業者が多く、システム投資に回せる予算も限られています。実際、2026年に入ってから塗装工事業の倒産件数は前年同期より増えている状況です。職人不足や資材高騰、原油価格の不安定さが重なり、経営体力そのものが削られています。

そんな中で「見積もりの仕組み化」に手をつける余裕がある会社は、むしろ少数派でした。目の前の現場を回すことで精一杯だったのです。

どうすれば値引き地獄を断てるか

仕組みの問題は、仕組みでしか解決できません。精神論で「強気に交渉しよう」と言っても、根拠がなければ元請は動きません。

断つべきポイントは3つあります。

  • 過去の見積もりを条件検索できる状態にする(築年数・構造・塗料グレードなどで横断検索)
  • 現場ごとの歩掛と実際にかかった人工を記録として残す
  • 資材高騰分・人件費上昇分を数字で提示できる状態にしておく

2025年12月に施行された改正建設業法では、請負代金の変更方法の明確化と、契約内容の強化が求められるようになりました。労働者の待遇改善が必須になった以上、人件費上昇分を価格に転嫁する仕組みを持つ会社と、持たない会社の差は今後さらに開きます。

過去データを蓄積できていれば、値上げ交渉の場で「前回はこの単価で、資材費がこれだけ上がったので」と具体的に示せます。感覚ではなく数字で語れる会社が、交渉のテーブルで主導権を握ります。

データを残す仕組みを、現場の負担なく作る

私たちイーテクノスも、もともとは塗装会社として現場を回してきました。見積もりのたびに過去のファイルを漁って、記憶を頼りに単価を拾い直す苦しさは、代表の井上自身が痛感してきたことです。

去年の見積もり、どこ行ったっけって毎回探すところから始まるんですよ

その経験から、現場でその場で使える見積もり・原価管理のツールとしてAngaを作りました。過去の見積もりを条件で呼び出せて、現場ごとの歩掛データも蓄積されていく仕組みです。

値引き交渉の場で「うちの実績ではこうです」と即座に示せる状態を作っておく。それが、言い値を飲まされ続ける構造を断つ、いちばん現実的な一歩だと考えています。

よくある質問

Q. 塗装工事の見積もりソフトを導入すれば、値引き交渉は本当に楽になりますか

ソフト自体が交渉するわけではありませんが、過去の見積もりや歩掛データを根拠として提示できるようになります。感覚ではなく数字で説明できる状態を作ることが、値引き圧力への実質的な対抗策になります。

Q. エクセルでの見積もり管理と専用ソフトは何が違いますか

エクセルは案件ごとにファイルが分散し、条件検索がほぼできません。専用ソフトは築年数や構造、塗料グレードなどで過去案件を横断検索でき、類似現場の実績をすぐに引き出せる点が大きく異なります。

Q. 小規模な塗装会社でも見積もりソフトの導入効果はありますか

むしろ小規模会社ほど効果が出やすい傾向があります。担当者の頭の中にしかない歩掛の勘所をデータ化しておくことで、退職や独立があっても会社にノウハウが残り続けます。

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148戸で価格転嫁失敗、契約書に根拠なし

148戸で価格転嫁失敗、契約書に根拠なし

築28年マンション、外壁塗装148戸、工期42日。値上げ交渉に負けた原因は、契約書に価格転嫁の根拠を書かなかったことでした。改正建設業法対応の落とし穴を1現場で追います。


1. シリコン18缶が予定より4缶足りなくなった日

2. 値上げ交渉で「根拠がない」と突き返された朝礼

3. 契約書を書き直してから起きた変化

4. 契約書だけでは防げない部分もある

シリコン18缶が予定より4缶足りなくなった日

埼玉県内、築28年の分譲マンション改修工事。延床面積は約4,200平米、外壁塗装と鉄部塗装を含む148戸規模の現場でした。工期42日、人工は延べ260人工の見込みで契約しています。

発注していたのはクリーンマイルドシリコンを18缶。ところが下地の劣化が想定より進んでおり、下地処理(表面を整えて塗料の密着を良くする工程)に手間がかかり、希釈率を調整しながら塗り重ねた結果、4缶が急遽追加になりました。

この4缶を仕入れた時点で、すでに塗料メーカーの値上げが2回目に入っていました。契約時の見積単価から1缶あたり800円ほど上がっていて、18缶分の元の見積では吸収できない差額が出ています。

現場監督は「次の見積で反映すればいい」と判断し、この工事では追加請求をしませんでした。よくある判断です。ですが、この現場が終わった2か月後、まったく別の工事で管理組合との価格交渉が難航することになります。

値上げ交渉で「根拠がない」と突き返された朝礼

次の現場は同じ管理会社が窓口の別マンションでした。資材高騰分を今度こそ反映しようと、前回より単価を1缶900円上乗せした見積を提出しています。

ところが管理会社の担当者から返ってきたのは「前回の契約書には価格変動の記載がなかったのに、なぜ今回だけ上乗せするのか」という指摘でした。

2025年12月に施行された改正建設業法では、請負代金の変更方法を契約書に明確化することが求められています。天候や下地状況といった塗装特有のリスクも、契約段階で明記する義務が新設されました。

前回の契約書には資材価格の変動条項も、リスク情報の記載もありません。つまり「次の見積で反映する」という口約束は、契約書という証拠がなければ交渉のテーブルにすら乗らないということです。

結局この交渉は、上乗せ分の半分しか通りませんでした。人件費上昇分と合わせると、この現場だけで数十万円規模の逆ざやが発生しています。

契約書を書き直してから起きた変化

この一件のあと、現場監督と社長は契約書のひな形を見直しました。

追加した3つの条項

  • 資材価格が○%変動した場合の単価改定ルール
  • 下地劣化など着工後に判明するリスクの取り扱い
  • 工期変更時の請負代金の再協議条項

次の現場、築19年の戸建て10棟をまとめた外壁塗装案件では、この新しい契約書を使いました。工期は1棟あたり5日、缶数は1棟平均で下塗り2缶・上塗り3缶の計5缶です。

工事の途中で下塗り材が値上がりしましたが、契約書に改定ルールが書いてあったため、元請への追加請求はメールでの通知1本で完了しています。以前なら口頭交渉に1週間はかかっていたところです。

改正建設業法は罰則を恐れて対応するものではなく、値上げ交渉のときに自社を守る盾になるという実感が、この現場で初めて持てました。

契約書だけでは防げない部分もある

契約書を整えても、資材高騰そのものは止まりません。2026年に入ってからは塗装工事業の倒産件数が前年より増えている状況も報告されていて、職人不足と資材高騰、原油・ナフサ供給の不安が中小・零細事業者を圧迫し続けています。

後継者がいない会社ではM&Aや事業承継で経営基盤を強化する動きも進んでいます。中小企業庁や各自治体には事業承継の相談窓口や補助金制度があり、地域の商工会議所が窓口になっているケースが多いので、契約書対応と並行して確認しておく価値はあります。

私たちイーテクノスも塗装会社を経営していて、この「次回に先送り」で痛い目を見た経験があります。契約書の条項整備と合わせて、日々の発注・原価管理を都度記録に残す仕組みがないと、価格転嫁の根拠自体が曖昧になりがちです。

Angaは現場ごとの発注・出面・原価をLINEで簡単に記録できるツールとして、そうした記録づくりの手間を減らす目的で作りました。契約書という盾と、日々の記録という証拠、両方があって初めて交渉の土台ができます。

次でいいやって流した見積が、半年後に自分の首を絞めてきました

よくある質問

Q. 改正建設業法対応で契約書はどこを直せばいいですか

最低限、資材価格変動時の単価改定ルール、着工後に判明するリスクの取り扱い、工期変更時の代金再協議条項の3点は追記が必要です。特に塗装業は下地劣化など着工前に見えないリスクが多いため、リスク情報提供義務への対応が重要になります。

Q. 資材高騰分はどのタイミングで請求すればいいですか

契約書に価格変動条項がない場合、着工後の追加請求は交渉が難航しやすいです。理想は見積提示時点で改定ルールを明記し、価格が実際に動いた時点で速やかに書面かメールで通知することです。先送りは根拠を失う原因になります。

Q. 改正建設業法は零細の塗装店にも関係ありますか

関係します。労働者の賃金水準確保や長時間労働の是正、契約書記載事項の厳格化は事業規模に関わらず対象です。人件費上昇への価格転嫁の仕組みを整えていないと、経営を圧迫する要因になりやすい状況です。

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資材高騰なのに旧単価で見積る塗装会社の末路

資材高騰なのに旧単価で見積る塗装会社の末路

シーラーが1缶800円上がっても、去年の見積のまま出す。その積み重ねで粗利が消えていく手順のズレを、発注前・発注時・確認の3段階で洗い出します。


1. 塗料屋の値上げ通知を放置した3ヶ月後に起きたこと

2. 手順1:発注前にやる「原価の棚卸し」

3. 手順2:見積を出すときの「価格転嫁」の入れ方

4. 手順3:現場ごとの利益を「決算前」に確認する仕組み

5. 確認作業を「人力」から離すという選択肢

塗料屋の値上げ通知を放置した3ヶ月後に起きたこと

取引先の塗料店から「来月からシリコン系1缶2,200円アップ」のFAXが届いても、多くの現場監督はそれを見積の根拠に反映しません。

理由は単純です。過去の見積テンプレートをコピーして使い回しているからです。

ある会社では、この通知を放置したまま半年で12件受注しました。決算で粗利率を見たら、去年より4ポイント下がっていました。原因を追うと、資材費の値上げ分がそのまま会社の持ち出しになっていたことが分かりました。

2026年に入って塗装工事業の倒産件数が前年同期より増えている背景には、こうした「値上げを知っていたのに見積に載せなかった」ケースが少なくありません。職人不足と資材高騰、原油・ナフサ供給不安が同時に重なり、原価管理の甘さがそのまま資金繰りを直撃しています。

値上げのFAX、見積に反映するの忘れてたわ。半年分まとめて損してた。

手順1:発注前にやる「原価の棚卸し」

まず塗料単価を今月の数字に更新する

見積書のテンプレートに入っている塗料単価は、いつの数字ですか。3ヶ月前、半年前のまま固まっている会社がほとんどです。

手順はシンプルです。

  • 主要塗料(下塗り・中塗り・上塗り)の現在単価を塗料店に確認する
  • 希釈率と標準塗布量から1㎡あたりの実コストを再計算する
  • 見積テンプレートの単価欄を上書きする

ここでつまずくのが、「前回と同じ現場だから単価も同じだろう」という思い込みです。同じ塗料でも仕入れ時期が違えば単価は変わります。月初に一度、単価だけ確認する習慣がない会社は、ここで確実に原価を見誤ります。

手順2:見積を出すときの「価格転嫁」の入れ方

資材費が上がった分を、そのまま元請けや施主にぶつけると角が立つと思っていませんか。

実はやり方があります。

  • 見積書の内訳に「材料費(○月時点単価)」と明記する
  • 資材高騰分を別項目で切り出す(本体価格に埋め込まない)
  • 「単価改定のお知らせ」を一枚添付する

ここでつまずくのが、値上げ分を材料費に混ぜ込んで総額だけ上げてしまうパターンです。元請けから見ると「何が上がったか分からない値上げ」に見え、値切り交渉の材料にされます。内訳を分けるだけで、交渉の土俵が変わります。

2025年12月施行の改正建設業法では、請負代金の変更方法の明確化と契約内容の強化が求められています。契約書に価格転嫁の根拠を残す仕組みは、今後は努力目標ではなく実務上の必須項目になります。

手順3:現場ごとの利益を「決算前」に確認する仕組み

多くの塗装会社が抱える最大の弱点は、現場ごとの利益が決算まで見えないことです。

  • 現場が完了するたびに実際にかかった材料費・人工を記録する
  • 見積時の想定原価と実績原価を突き合わせる
  • 差異が5%を超えた現場は理由を書き出す

ここでつまずくのが、「忙しいから決算期にまとめてやろう」という先送りです。10現場分をまとめてやろうとすると、どの現場でどれだけ資材費が上振れしたか記憶が飛んでいて、結局ざっくりした数字しか出せません。

1現場終わるごとに5分でいいので数字を残す。これができている会社とできていない会社で、粗利率の差は如実に出ます。

改正建設業法では長時間労働に依存した運営も難しくなります。労働者の待遇改善で人件費が上がる分、原価管理の精度を上げないと利益はさらに薄くなります。

確認作業を「人力」から離すという選択肢

ここまでの手順を紙とExcelでやろうとすると、現場が10件あれば単価更新と原価突き合わせだけで月15〜20時間は飛びます。しかも属人化しやすく、担当者が辞めると仕組みごと消えます。

私たちイーテクノスも、塗装会社を経営する中で同じ壁にぶつかりました。現場ごとの利益が決算まで見えず、資材の値上げ分をどこで見積に反映したか追えなくなった経験から、原価と見積を1つの画面で管理できるツールAngaを作りました。

単価更新も現場別の実績原価も、LINEで送るだけで記録が残る仕組みにしています。

手順を覚えるより先に、まず今月の塗料単価を1回だけ見直してみてください。それだけで来月の見積の精度は変わります。

よくある質問

Q. 塗装業の原価管理は何から手をつければいいですか

まず塗料単価の見直しから始めてください。見積テンプレートの単価が古いままだと、どれだけ丁寧に工数計算をしても原価はズレます。単価更新→原価再計算→現場ごとの実績記録という順番で、小さく回すのが確実です。

Q. 資材高騰分を見積に反映すると元請けに嫌がられませんか

内訳を分けずに総額だけ上げると値切られやすくなります。材料費を別項目にして単価改定のお知らせを添付すると、根拠が明確になり交渉しやすくなります。改正建設業法でも価格転嫁の仕組みが求められています。

Q. 現場ごとの利益を把握する簡単な方法はありますか

現場が終わるたびに実際の材料費と人工を5分で記録する習慣をつけることです。決算期にまとめて計算しようとすると数字の記憶が飛びます。Angaのようなツールを使えばLINE送信だけで記録が残り、突き合わせが楽になります。

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塗料在庫が崩壊する理由|余剰と欠品の同時発生構造

塗料在庫が崩壊する理由|余剰と欠品の同時発生構造

倉庫にシーラーが10缶眠っているのに、明日の現場でND-90が足りない。この矛盾は監督の腕の問題ではなく、発注の仕組みが壊れているだけです。


1. シーラーは余り、艶消しトップだけ切れる朝

2. 症状の奥にある3つの原因

3. なぜこの問題は今まで放置されてきたか

4. 仕組みで断つには何を変えるか

シーラーは余り、艶消しトップだけ切れる朝

塗料メーカーの営業所が閉店間際、駆け込みで1斗缶を買い足す監督の姿はもう珍しくありません。

倉庫を覗くと下塗り材はケース単位で余っているのに、当日仕上げに使う色番だけが足りない。よくある光景です。

在庫は積み上がっているのに欠品も起きる。これは矛盾ではなく、発注の判断基準がバラバラだから起きる当然の結果です。

症状の奥にある3つの原因

原因1:発注が「人」に紐づいている

塗料の数量は、現場監督が過去の記憶と勘で決めています。築何年のマンション改修で何缶使ったか、頭の中にしかデータがありません。

監督が変われば発注量も変わります。同じ延べ床面積の現場でも、Aさんは余裕を見て多めに、Bさんはギリギリで発注する。会社としての基準がないので、在庫は個人差の積み重ねで膨らみます。

原因2:標準塗布量と希釈率が現場ごとに違って見える

下地処理の状態、気温、職人の癖によって、同じ塗料でも使用量は変わります。標準塗布量はカタログ値通りにいかないのが実情です。

この「ブレ」を数値化せず経験則のまま扱っているので、発注のたびに読みが外れます。多めに発注して余らせるか、ギリギリで攻めて欠品するか、極端な二択になりがちです。

原因3:原油高騰で「多めに買っておく」判断が裏目に出る

資材価格が上がると、監督は値上がり前に多めに確保しようとします。心理としては自然です。

ただしこの判断も現場ごとにバラバラなので、会社全体で見ると同じ色番を複数の現場担当者がそれぞれ多めに発注し、結果として重複在庫が生まれます。塗装工事業の倒産が2026年に入って前年より増えている背景には、こうした資材高騰と資金繰り圧迫が重なっている事情があります。

なぜこの問題は今まで放置されてきたか

理由は単純で、在庫の無駄が「見えない」からです。現場が10件あれば発注書だけで月20時間は飛びますが、その時間に見合うほど在庫ロスが可視化されてきませんでした。

決算で棚卸しをして初めて「こんなに余っていたのか」と気づく会社は珍しくありません。現場ごとの利益も決算まで見えないのと同じ構造で、日々の発注はブラックボックスのまま流れていきます。

さらに改正建設業法が2025年12月に施行され、人件費上昇への対応や契約内容の明確化が求められるようになりました。人手の面でも仕組みの面でも、これまでのやり方を見直す圧力が強まっています。監督の勘に頼った発注を放置する余力は、今の塗装会社にはもう残っていません。

仕組みで断つには何を変えるか

精神論で「もっと丁寧に発注しよう」と言っても解決しません。断つべきは仕組みの3点です。

  • 発注データを個人の記憶ではなく会社の記録として残す
  • 現場ごとの使用実績を色番単位で蓄積し、次回発注の根拠にする
  • 在庫の重複を人が気づく前にシステムが警告する

この3つが揃えば、監督が変わっても発注の精度は落ちません。逆に言えば、この3つが揃わない限り、余剰在庫と欠品は原油価格が下がっても繰り返し起きます。

私たちイーテクノスも塗装会社を経営していて、まさにこの発注のブレに悩んできました。色番を間違えて余分な1斗缶を抱えた経験もあります。その反省から自社の現場で使うために作ったのがAngaです。現場ごとの使用実績を記録し、発注の勘を数字に置き換える仕組みを組み込んでいます。まずは自社の在庫がどれだけ「見えていない」か、棚卸しの数字と発注履歴を並べてみることから始めてみてください。

倉庫の在庫と現場の在庫、頭の中でしか繋がってなかったんですよね

よくある質問

Q. 塗料の在庫管理はエクセルでも十分ですか?

現場数が数件なら十分機能します。ただし現場が10件を超えると、色番ごとの使用実績と発注履歴を手入力で追いきれなくなり、更新漏れが欠品や重複発注の原因になります。現場数が増えた段階で仕組み化を検討する目安になります。

Q. 監督の経験に頼る発注のどこが問題なのですか?

経験自体は資産ですが、個人差が会社全体の基準になっていない点が問題です。監督が交代した途端に発注精度が落ちたり、複数の現場で同じ色番を重複発注したりする原因になります。

Q. 原油高騰で在庫を多めに持つのは正しい対策ですか?

短期的には価格上昇の回避になりますが、現場ごとに判断が分かれると会社全体で重複在庫が積み上がります。値上がり局面こそ発注量を会社単位で管理し、色番ごとの必要数を可視化することが有効です。

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塗装発注は電話一本厳禁、改正建設業法対応3手順

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電話一本の発注でずっと回してきた会社ほど、2025年12月の改正建設業法で足元をすくわれます。塗装発注ミスをなくす手順を、下準備から確認まで具体的に示します。


目次

1. 発注前の準備でつまずく会社が9割

2. 発注のやり方――口頭を「文字」に変える3ステップ

3. ミスを防ぐ確認――出す前に見る3点

4. 業界の変化と、記録を残す仕組みの選び方

発注前の準備でつまずく会社が9割

口頭発注が悪いわけではありません。問題は「何を確認してから電話するか」を決めていないことです。

改正建設業法では、契約内容の明確化と著しく短い工期の禁止、天候や下地状況などのリスク情報提供義務が新しく求められます。つまり電話で「明日から3日でお願い」と伝えるだけの発注は、記録が残らない時点でアウトです。

準備の手順

  • 現場ごとに工期・仕様・数量をメモに落とす(頭の中だけで終わらせない)
  • 色番(日塗工・ND・SR)と希釈率、標準塗布量を仕様書レベルで確定させる
  • 天候リスクや下地の劣化状況など、事前に把握できるリスクを1行でいいので書き出す

ここでつまずく典型例は、職人の経験則に頼りすぎて「いつもの感じで」と伝えてしまうことです。新人職人が入った途端に仕様がズレて、手直しの人工(作業員1人分の工数)が丸1日飛ぶケースをよく聞きます。

発注のやり方――口頭を「文字」に変える3ステップ

電話やLINEでの発注自体は残して構いません。大事なのは、口頭で伝えた内容をその場で文字化する仕組みです。

実行の手順

  • 発注内容を口頭で伝える(従来通りでOK)
  • 直後に工期・金額・仕様変更の有無をテキストで送り返す(LINEでもメールでも可)
  • 相手からの「了解」の返信を必ず記録として残す

この3ステップを飛ばすと、請負代金の変更方法が不明確なまま工事が進みます。改正法では請負代金変更の方法を契約書に明記することが求められているため、後から「言った・言わない」になった時点で元請との信頼は一発で切れます。

ここでつまずく典型例は、追加工事の発注です。現場で「ついでにこの面もお願い」と口頭で頼み、金額の合意を後回しにしてしまう。この抜け漏れが、契約書明確化を求める元請から見ると「管理できていない会社」という評価につながります。

ミスを防ぐ確認――出す前に見る3点

発注書を出した後ではなく、出す前の確認で防げるミスがほとんどです。

確認の手順

  • 工期に無理がないか(職人の出面と天候リスクを突き合わせる)
  • 仕様書と現地調査の内容が一致しているか
  • 金額変更が発生しうる箇所に、事前合意の記録が残っているか

築30年のマンション改修現場で、下地処理の範囲を口頭だけで済ませたために、ケレン(下地の錆や旧塗膜を除去する作業)の範囲が現場ごとに職人の解釈で変わってしまった、という話も珍しくありません。

塗装発注ミスの多くは、発注の瞬間ではなく「確認を省略した瞬間」に生まれます。3点確認だけは、現場が何件重なっていても外さないやり方に変えておく必要があります。

業界の変化と、記録を残す仕組みの選び方

塗装工事業では2026年に入ってから倒産件数が前年より増えている状況です。職人不足と資材高騰、原油・ナフサ供給不安が中小・零細の経営を圧迫しています。

この流れの中で、後継者問題や経営基盤強化を目的にM&Aや事業承継が進む会社も出てきました。事業承継の相談窓口や専門家派遣は商工会議所経由で利用できる制度もあるので、選択肢として知っておいて損はありません。

ただ、倒産にせよ承継にせよ、根っこにあるのは「発注と契約の記録が残っていない」という同じ弱点です。改正建設業法後は、この弱点を放置したまま元請と取引を続けるのは難しくなります。

私たちイーテクノスも塗装会社を経営していて、まさに電話とLINEだけの発注で仕様の伝達ミスに悩んだ経験があります。そこから、職人とのやり取りをそのまま記録に残せる発注ツール「Anga」を自社の現場のために作りました。口頭のやり取りを消さずに、契約書に必要な項目へ変換できる仕組みです。

電話で伝えた話が、契約書には残ってなかった。それだけで元請の信用が消えた。

よくある質問

Q. 塗装の発注ミスが多い会社は何から直すべきですか

まず発注前の準備段階で、工期・仕様・数量をメモ化する習慣をつけてください。口頭発注そのものをやめる必要はなく、伝えた内容をその場で文字に残す仕組みを追加するだけで大半のミスは防げます。

Q. 改正建設業法で契約書に何を書けばいいですか

工期・請負代金とその変更方法、天候や下地状況などのリスク情報の明記が求められます。特に塗装は天候依存が大きいため、着工前にリスク情報を1行でも書き残しておくことが実務上の防御になります。

Q. 職人とのLINE発注はこのままでも大丈夫ですか

LINE自体は問題ありません。ただし発注内容と金額変更の合意を、口頭やLINEの流れの中に埋もれさせず、契約に必要な項目として残せる形にしておくことが今後は求められます。

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塗料の二重発注が消えない理由、電話発注の設計ミス

塗料の二重発注が消えない理由、電話発注の設計ミス

職人からの電話一本で発注する塗装会社ほど、なぜ毎回同じ色番を二重発注するのか。原因は職人の不注意ではなく、発注という業務そのものの設計にあります。


1. 症状:現場が増えるほど発注ミスも増える

2. 本当の原因①:発注が「人の記憶」に依存している

3. 本当の原因②:発注記録と原価が別々の場所にある

4. なぜ今まで放置されてきたのか

5. どうすれば発注ミスを断てるのか

症状:現場が増えるほど発注ミスも増える

外壁塗装の現場が3件重なると、必ずどこかで塗料が足りなくなるか、逆に余ります。

築30年マンション改修で使う日塗工の色番を、職人が電話口で「いつもの色」と伝えて、塗料屋が別ロットを用意してしまう。希釈率の指示が抜けて、現場で職人が判断して薄めすぎる。こうした話は塗装会社なら一度は経験があるはずです。

現場が10件あれば、発注のやり取りだけで月に相当な時間が消えます。しかも同じ塗料を2回頼んでしまい、余った1缶が倉庫の隅に積み上がる。これが「発注ミス」という言葉の実態です。

本当の原因①:発注が「人の記憶」に依存している

口頭発注の会社では、発注の正しさが職人個人の記憶力に依存しています。

色番、希釈率、標準塗布量、必要缶数。これらは本来、現場ごとに図面と見積から機械的に決まる数字です。ところが電話一本で伝えると、聞いた側の解釈が入ります。「クリーンマイルドシリコン」を職人が「クリマイ」と略して伝え、聞いた事務員が別の商品と混同する、というのはよくある食い違いです。

人の記憶と伝聞に頼る仕組みは、現場数が少ないうちは何とか回ります。ですが現場が増えた瞬間、必ず破綻します。仕組みの問題であって、職人の注意力の問題ではありません。

本当の原因②:発注記録と原価が別々の場所にある

多くの塗装会社では、発注は電話かLINE、記録は紙の伝票かノート、原価計算はエクセルか決算時、とバラバラの場所に存在しています。

この分断があるせいで、二重発注が起きても誰も気づけません。気づくのは決算のタイミングで、なぜかその現場だけ材料費が突出している、というときです。原因を遡ろうにも、発注の記録が電話の記憶頼みなので、検証すらできません。

なぜ元請も気づけないのか

元請は工程と仕上がりしか見ていません。発注書という紙一枚が現場ごとの原価をズラしていても、外からは見えないのです。

なぜ今まで放置されてきたのか

理由は単純で、発注の仕組みを変えるコストより、今のやり方を続けるコストのほうが「見えにくい」からです。

二重発注で余った塗料代は、月次の損益では埋もれてしまいます。人手不足の現場で、発注システムの導入や運用ルールの整備に時間を割く余裕もありません。

ですがここに来て状況が変わりつつあります。2025年12月施行の改正建設業法では、契約内容の明確化や請負代金の変更方法の整理が求められるようになりました。人件費上昇への価格転嫁も含めて、どんぶり勘定の発注管理では立ち行かなくなる会社が増えていくはずです。実際、塗装工事業では2026年に入ってからの倒産件数が前年同期より増えており、資材高騰と職人不足に加えて、こうした管理の甘さが経営を圧迫している面もあります。

どうすれば発注ミスを断てるのか

発注ミスを個人の注意力で止めようとする限り、現場が増えれば必ず再発します。断つには、発注の記録と現場・原価を同じ場所で紐づける仕組みが要ります。

電話で色番聞き返しても、結局違う缶が届いたことあるよ

色番、希釈率、必要缶数を現場ごとに固定して残せば、職人の記憶に頼らず誰が発注しても同じ結果になります。二重発注も、記録を見た瞬間に気づけます。

私たちイーテクノスも、もともと塗装会社を経営する中で同じ問題に何度もぶつかりました。電話で聞き返しても発注ミスが減らず、現場ごとの利益が決算まで見えないという状態です。そこで自社の現場で使うために作ったのが、LINEで発注しながら現場・原価まで一本化できる「Anga」です。特別なアプリを覚える必要がなく、普段のLINEのやり取りがそのまま発注記録と原価管理につながります。

よくある質問

Q. 塗装の発注ミスはなぜ職人に注意しても減らないのですか

注意力の問題ではなく、発注の正しさが個人の記憶や伝聞に依存する仕組みそのものに原因があるためです。色番や希釈率を現場ごとに記録として固定しない限り、担当者が変わるたびに同じミスが再発します。

Q. 二重発注が起きているかどうか、どう気づけばいいですか

発注の記録と現場ごとの原価が同じ場所で紐づいていれば、余った缶数や重複した発注がすぐ見えます。逆に電話やノートだけで管理していると、決算時まで気づけないことがほとんどです。

Q. 改正建設業法は塗装会社の発注管理にも関係ありますか

直接は契約や工期、価格転嫁の明確化が主眼ですが、どんぶり勘定の原価管理では請負代金の変更根拠を示しにくくなります。発注記録を整えることは契約対応の土台にもなります。

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「あの現場だけ材料費が低い」原価が合わない本当の理由

「あの現場だけ材料費が低い」原価が合わない本当の理由

外壁塗装の現場で余った塗料、次の現場に回していませんか。その一手間が、御社の原価を永遠に一致させない元凶かもしれません。


余り塗料の使い回しは「善意」から始まる

職人が余った塗料を次の現場に持ち込むのは、悪気があってのことではありません。

むしろ「もったいないから」という善意です。1斗缶に3分の1残った日塗工N-80を、翌週の別現場のシーラーに回す。これは塗装業では日常的な光景です。

しかし会計上は、この塗料は最初の現場の材料費として計上されています。使い回した瞬間、2つの現場の原価はどちらも「実態と違う数字」になります。

夜21時の事務所で、社長が今月の粗利を電卓で叩きながら「あれ、この現場だけ材料費が異常に低いな」と首をかしげる。これがまさにその瞬間です。

  • 現場Aの原価は実際より高く見える
  • 現場Bの原価は実際より安く見える
  • 積み重なると会社全体の損益がぼやける

善意の使い回しが、経営判断を狂わせる最初の一歩になっています。

歩掛と希釈率が「見えない在庫」を生む

塗装業の原価管理が難しい理由は、標準塗布量と実際の使用量が現場ごとにズレるためです。

下地処理の状態、気温、湿度によって希釈率は変わります。ケレン(下地の錆や旧塗膜を落とす作業)が甘ければ吸い込みが増え、同じ坪数でも使用量が変わってきます。

築30年マンションの改修現場では、ベランダの劣化具合が住戸ごとにバラバラです。1住戸で余った塗料を、隣の住戸や別現場に流用するケースは珍しくありません。

  • 発注書には「1現場=1回分」の数量しか書かれない
  • 実際は複数現場をまたいで塗料が移動する
  • 在庫と原価がどんどん乖離していく

LINEに溜まった日報を見返しても「余った分は次で使います」としか書かれておらず、どの現場にいくら使ったのか誰も追えません。これが「見えない在庫」の正体です。

改正建設業法で原価の甘さが許されなくなる

2025年12月施行の改正建設業法では、契約書の記載事項が厳格化されます。請負代金の変更方法も明確化が求められています。

つまり「なんとなくの原価」で見積もりを出す時代は終わりつつあります。塗料の使い回しで原価が不明瞭なままだと、価格転嫁の根拠すら示せません。

加えて、職人不足と資材高騰が重なり、2026年に入ってからも塗装工事業の倒産が前年同期比で増えている状況です。原価が見えない会社ほど、値上げ交渉の場面で言葉に詰まります。

元請から「なぜこの現場は材料費が高いのか」と聞かれたとき、答えられる社長は多くありません。

  • 契約書に塗装特有のリスクを明記する義務が発生
  • 原価の根拠を求められる場面が増える
  • 使い回しの慣習がそのまま経営リスクになる

現場監督が電話口で色番を確認する声も、実は原価管理の一部です。

Angaが現場ごとの原価を「勝手に」揃える理由

Angaを開発したのは、塗装会社を実際に経営する株式会社イーテクノスの井上恭介です。自身も現場で「色番N-80を発注し間違えた」経験があります。

汎用の発注ツールでは、塗装業特有の「余り塗料の使い回し」を前提にした設計になっていません。だからこそAngaは、現場ごとの使用実績をLINEでの日報や写真から拾い上げ、原価に自動反映します。

職人の癖(「クリマイ」と呼べばクリーンマイルドシリコンと自動変換するなど)も学習し、発注ミスと使い回しの両方を減らす設計です。

  • 現場Aで余った塗料を現場Bで使っても記録に残る
  • 原価が現場ごとに正確に積み上がる
  • 元請への説明資料もそのまま使える

「余ったら次で使えばいい」という現場の当たり前を否定せず、記録だけを正確にする。これがAngaの立ち位置です。

余った塗料、次の現場で使うのは普通のことです

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塗料残量を原価化しないと粗利が溶ける理由

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1斗缶の余りを「もったいないな」で終わらせていませんか。缶単位発注のまま残量管理をしないと、粗利は現場ごとに静かに削られ続けます。


Q1. 塗料が余っても大した金額じゃないのでは?

1現場あたりは数千円でも、年間では大きな金額になります。

外壁塗装の現場では、下塗り・中塗り・上塗りごとに標準塗布量から必要缶数を計算しますが、実際は下地の状態や希釈率の調整で誤差が出ます。1現場で16kg缶の残量が3kg出るとして、これを毎回廃棄や放置していると、月10件こなす会社なら月30kg分、金額にして数万円が消えている計算になります。

夜21時の事務所で、井上さんは片付けながら「この余った塗料、次のクリマイ(クリーンマイルドシリコン)の現場で使えるのに」とつぶやきますが、在庫表に反映されないまま棚の奥にしまわれます。

  • 残量を記録しない → 次回発注時に「念のため」でまた1缶多く頼む
  • 色番(日塗工・N80など)ごとの在庫が見えない → 使えるはずの塗料を眠らせる
  • 現場ごとの原価に反映しない → 粗利が実態より低く見える、または高く見える

この積み重ねが、缶単位発注を続けるほど粗利を溶かす構造そのものです。

Q2. なぜ「缶単位」の発注がそもそも問題なのか?

塗料は缶単位でしか買えないのに、使用量はkg単位で決まるからです。

築30年マンションの改修現場で、外壁面積から必要量を計算すると「184kg」と出ても、16kg缶なら12缶発注します。実際は192kgになり、8kg余ります。この8kgが次の現場で使い切れる色番であれば無駄になりませんが、色番が違えば倉庫の肥やしです。

多くの塗装会社では、この余剰分を「現場A」の原価としてそのまま計上し、次の現場では新たに満額発注します。つまり同じ塗料代を二重に払っているのと同じ状態です。

  • 発注書だけで月20時間近く飛ぶ会社もある(現場10件規模の体感値)
  • 色番の確認電話が現場から事務所にかかるたび、在庫の記憶を頼りに答えている
  • LINEに溜まる日報を見返しても、残量までは書かれていない

改正建設業法(2025年12月施行)で人件費上昇への価格転嫁が求められる中、原価が見えない状態で見積もりを出すこと自体がリスクになっています。

Q3. 残量管理をやろうとしても続かないのはなぜ?

紙の発注書と現場の記憶に頼っているからです。

塗装会社の多くは、発注も在庫管理も「現場監督の頭の中」か「事務所のホワイトボード」で完結させています。これは属人化そのもので、監督が変わったり忙しくなったりすると、残量記録は真っ先に省略されます。

軽トラで現場から帰る途中、監督は「あの現場、N-70(日塗工色番)がまだ2kgあったな」と覚えていても、事務所に着く頃には別の現場の段取りで頭がいっぱいになり、記録し忘れます。

  • エクセルで管理しようとしても、現場ごとに入力する人・タイミングがバラバラ
  • 色番と製品名(クリマイ、SR系など)の呼び方が職人ごとに違う
  • 結局、在庫確認の電話が一番早いという状態に戻る

業界では倒産件数が増加傾向にあり、職人不足と資材高騰が重なる今、こうした「なんとなくの発注」を続けられる余力がある会社は減っています。

あの色番、まだ倉庫にあったはずなんだけどな

Q4. どうすれば残量を原価に確実に戻せるのか?

現場ごと・色番ごとに残量を記録し、次回発注に自動で反映させる仕組みが必要です。

Angaは、この「塗料の残量を原価に戻す」という一点に特化したツールとして開発されました。開発者は塗装会社経営者である株式会社イーテクノスの井上恭介さんです。自身が現場で色番N80を間違えて発注した経験や、職人ごとに呼び方が違う塗料名(クリマイ→クリーンマイルドシリコン)に振り回された経験から、塗装業にしか刺さらない設計にしています。

  • 現場ごとの残量を色番単位で記録し、次の現場で使える塗料を自動で提案
  • 発注書作成にかかる時間を、現場監督の記憶頼みから解放
  • 現場ごとの原価が見えるようになり、見積もり精度が上がる

M&Aや事業承継が業界で進む今、原価管理ができている会社ほど、事業の見え方(=会社の価値)が明確になります。細かい粗利の積み重ねが、5年後の経営体力の差になっていきます。

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