追加工事の書面漏れで是正指導、42日現場の実例

追加工事の書面漏れで是正指導、42日現場の実例

下請契約書に工期と代金しか書かず、追加工事の書面を省いた築28年マンション改修。1次下請への指導が入り、元請との関係が揺らいだ現場の記録です。


1. 築28年・14戸マンション、工期42日の下請契約

2. 追加工事が発生した瞬間、書面が追いつかなかった

3. 是正指導が入り、元請との信頼が揺れた

4. 是正後、書面のタイミングをどう変えたか

5. 書面化を仕組みにする、という選択肢

築28年・14戸マンション、工期42日の下請契約

舞台は郊外の分譲マンション、14戸、築28年の外壁改修です。

元請から一次下請として塗装会社Aが受注し、工期42日、人工にして延べ84人工、シリコン系塗料で下塗り・中塗り・上塗り合わせて計38缶(16kg缶換算)を発注する規模でした。

下請契約書は工期と請負代金だけ記載し、支払時期や検査完了日を明示していませんでした。

社長は「業界紙で改正建設業法の記事は読んだ」と話していましたが、条文の細部までは把握していませんでした。

追加工事が発生した瞬間、書面が追いつかなかった

足場を組んで下地処理に入った10日目、外壁のクラックが想定より深く、シーリング打ち替えの範囲が当初見積もりの1.5倍に広がりました。

現場監督は電話で元請の担当者に相談し、口頭で追加5日・追加人工12人分の了承を得ました。

ここが問題でした。

改正建設業法では、追加工事が発生した時点で工期・代金の変更内容を書面で明示する義務があります。

ところがAの会社は「あとで請求書にまとめて出せばいい」という感覚のまま、変更契約書を作らずに工事を進めてしまいました。

工期は最終的に47日まで延び、追加人工12人分、追加塗料4缶が発生しましたが、この時点で書面は一切残っていませんでした。

是正指導が入り、元請との信頼が揺れた

工事完了から2か月後、元請の定期監査で下請契約書一式の提出を求められました。

ここで追加工事分の変更契約書が存在しないことが発覚し、下請契約に関する是正指導を受けることになりました。

何が足りなかったのか

  • 追加工事発生時の書面による契約変更
  • 支払時期の明記
  • 検査完了日の記載

この3点が抜けていたことで、元請からは「今後の発注を見直す可能性がある」とまで言われてしまいました。

社長にとって一番こたえたのは、金額の大小ではなく「書面を残す文化がなかった」と指摘されたことでした。

84人工分の現場を回しながら、口頭の約束を後から書面に落とし込む余裕は、正直なところなかったというのが本音です。

追加の口約束、あとで書けばいいと思ってたのが甘かったです

是正後、書面のタイミングをどう変えたか

指導を受けたあと、Aの会社は追加工事が発生した「その日のうち」に変更内容を書面化するルールに変えました。

現場監督がその場でスマホから変更内容を打ち込み、工期・代金・支払時期の3点を必ず記録する形です。

次の現場、築15年の戸建て10棟の外壁塗装(工期21日・28人工)では、雨で3日工程がずれ込んだ際も、その日のうちに変更書面を作成し、元請にも即日共有できました。

結果として是正指導は一度も入らず、元請からの追加発注も継続しています。

書面を「あとでまとめる」から「その場で残す」に変えただけで、指摘される理由がなくなったというのが、この現場が教えてくれたことでした。

塗装工事業では2026年に入ってからの倒産件数が前年同期より増えているという業界の動きもあり、書面管理の甘さが元請との取引縮小に直結しかねない時期に入っています。

書面化を仕組みにする、という選択肢

現場を回しながら、追加工事のたびに契約書を作り直すのは正直しんどい作業です。

私たちイーテクノスも塗装会社を経営する中で、口頭の変更が積み重なって書面が追いつかなくなる感覚を何度も味わいました。

その経験から、現場ごとの工期・代金・追加内容をその場で記録し、書面として残せるツールAngaを作りました。

監督がスマホで入力するだけで変更履歴が残るので、是正指導のきっかけになりやすい「書面の抜け」を減らせます。

まずは今動いている現場の追加工事1件分だけ、書面のタイミングを見直すところから始めてみてください。

よくある質問

Q. 改正建設業法で下請契約に追加された書面明示の義務は何ですか

工期や請負代金だけでなく、追加工事が発生した際の変更内容についても、その都度書面で明示することが求められています。口頭合意のまま進めると、後日の監査で是正指導の対象になりやすい点に注意が必要です。

Q. 是正指導を受けるとどんな影響がありますか

直接の罰則よりも、元請からの信頼低下や今後の発注見直しにつながる点が実務上は深刻です。特に下請契約が多い中小塗装会社では、書面管理の甘さが取引継続に直結するケースが増えています。

Q. 追加工事の書面はどのタイミングで作ればいいですか

追加工事の内容が確定した当日、もしくは元請と口頭合意した直後に作成するのが安全です。まとめて後日作成するやり方は、記録漏れや日付のずれを招きやすく、是正指導の原因になりがちです。

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天候待ちで1日延びた現場。その人件費は誰が負担していますか。改正建設業法の施行を前に、工期変動コストを契約・原価・請求の三点で連動させる仕組みがない塗装会社は、雨の多い現場ほど利益が消える構造から抜け出せません。


Q. 天候待ちの人件費はなぜ原価に乗らないのか?

結論から言えば、「工期が延びた日の人工(にんく)を誰の費用にするか」が契約書に書かれていないためです。

外壁塗装の現場で下塗りを終えた翌日、雨が続いて中塗りに入れない。職人2名を段取り待機させたまま午前10時に引き上げ判断を出す。この「半日分の出面(でめん)」は、ほとんどの場合、会社が丸ごと被っています。

原因は見積もりの構造にあります。多くの塗装会社の見積書は「工事一式」で人工を括っており、天候による待機日が発生しても追加請求の根拠が契約書に存在しません。

  • 工期10日の外壁塗装で雨天待機が2日発生
  • 職人2名×日当2.5万円×2日=10万円の未回収コスト
  • 粗利率15%の現場なら、その案件の利益がほぼ消える計算です

現場監督が軽トラの中でスマホを開き、LINEで職人の行き先変更を調整しながら、頭の中で損益を暗算しているのが塗装業の夜明け前の風景です。

この「見えない赤字」を可視化する最初の一手が、工期変動コストを原価として記録することです。

Q. 改正建設業法は塗装会社の契約書に何を求めるのか?

2025年12月施行の改正建設業法は、塗装業の契約実務に直接影響します。改正の柱は三つです。

  • 著しく短い工期の禁止と、工期変更時の請負代金変更方法の明確化
  • 天候・下地状況などリスク情報の提供義務
  • 労働者の賃金水準確保を前提とした労働条件の改善

特に注目すべきは「請負代金変更方法の明確化」です。天候待ちで工期が延びた場合、どの条件で追加費用を請求できるかを契約書に記載することが、法令上の要件として求められます。

また2024年4月から建設業にも残業上限規制が罰則付きで適用されています。月45時間・年360時間以内という基準は、雨天で工期が詰まって突貫作業に入りがちな外壁塗装の現場と相性が悪いです。

夜21時の事務所で、社長が工期延長の連絡メールを元請に送りながら「この文言で追加費用を請求できるか」を確認できない状態が、今まさに法的リスクになっています。

改正法の施行前に、契約書の雛形に「天候待機費用の取り扱い条項」を入れておくことが最低限の対応です。

Q. 原価・契約・請求をどう三点連動させるか?

工期変動コストを回収するには、三つの仕組みを同時に動かす必要があります。

【契約段階】

天候待機が発生した場合の追加費用算定方法を契約書に明記します。「1日あたりの待機費用=人工数×日当単価」のような計算式を入れておくだけで、元請との交渉根拠が生まれます。

【原価記録段階】

待機日の出面を「天候待機費」として案件別に記録します。一式で括った原価では、どの現場がどれだけ天候で損したかが見えません。築30年マンション改修のような長期案件では、1シーズンで待機日が積み上がります。

【請求段階】

原価記録があれば、追加請求の根拠書類として使えます。「ケレン(さび・旧塗膜の除去)工程で雨天待機3日・人工6人工・合計〇万円」と明示できれば、元請も承認しやすくなります。

DX推進で営業利益率を5.5%改善した事例(株式会社結建装)が示すように、原価の見える化は利益改善に直結します。数字が見えれば、どの現場を優先的に改善すべきかの判断も速くなります。

この三点連動を手作業でやろうとすると、月に20〜30時間の管理工数が飛びます。ここにデジタルツールが入る余地があります。

Q. Angaは塗装業の工期変動コストに対応できるのか?

Angaは塗装会社の経営者が開発した業務支援AIです。開発者は株式会社イーテクノスの井上恭介氏。自社で塗装業を経営してきた経験から、「現場ごとの利益が見えない」「職人の呼び方(クリマイ=クリーンマイルドシリコン)が人によって違う」「色番(日塗工N80など)の発注ミス」といった、塗装業固有の課題を土台に設計されています。

一般的なAIツールが汎用的な業務効率化を語るのとは違います。Angaが解くのは「天候待機の出面が原価のどこに入るか分からない」「見積書の人工計算が担当者の頭の中にしかない」という、塗装会社の社長が毎週直面している問題です。

具体的には以下の用途に対応しています。

  • 現場ごとの原価・利益のリアルタイム把握
  • 天候待機費を含む追加費用の根拠資料作成
  • 見積書・契約書の作成補助(改正建設業法の記載要件にも対応)
  • 職人の言葉や略語を学習した自然な日報入力サポート

下請けから元請け転換で粗利益率を3倍に改善した事例(株式会社大橋美装)が示すように、経営の見える化は戦略転換の出発点です。

雨が降るたびに利益が削れる構造は、仕組みで変えられます。

雨で延びた日の人件費、どこに書けばいいか誰も教えてくれなかった

天候待機による未回収コストの目安

10万円/案件

工期10日・職人2名・雨天待機2日の外壁塗装現場での試算

残業上限規制の上限(月)

45時間

2024年4月から建設業に罰則付きで適用。違反は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金

DX導入による利益率改善事例

5.5%改善

株式会社結建装がデジタルツール導入で営業利益率を改善した実績


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