出面表がズレる本当の理由と5つの解決手順

出面表がズレる本当の理由と5つの解決手順

紙の出面表を毎月集計して、それでも給与計算がズレる。原因は手書きでも監督でもなく、集計の手順そのものにあります。直し方を手順で説明します。


1. 月末、経理担当が電卓を叩き直した理由

2. 手順1:まず今の出面表の「ズレやすい欄」を洗い出す

3. 手順2:職人・監督・経理、3者の入力タイミングを合わせる

4. 手順3:現場ごとの人工を「その日のうちに」経理と照合する

5. 手順4:紙からアプリに移すなら、まず1現場だけで試す

6. 手順5:給与計算の直前に「例外日」だけ再確認する

月末、経理担当が電卓を叩き直した理由

ある塗装会社の経理担当が、月末に出面表を見て固まりました。

同じ職人の名前が2枚の用紙に別々の字で書かれていて、片方は8時間、片方は7.5時間。どちらが正しいか、現場監督に電話しても「多分どっちかは休憩込みで書いた」としか返ってきません。

この手のズレは1人で終わりません。現場が10件動いていれば、出面表も10枚以上。集計担当は毎月、この突き合わせ作業に何時間も溶かします。

給与計算ミスの根っこは、監督の書き方が雑だからではありません。紙に手書きさせて後から集計するという段取りそのものに、ズレが起きる仕組みが埋まっています。

出面表2枚見比べて、どっちが本当か監督に聞いても覚えてないんですよ

手順1:まず今の出面表の「ズレやすい欄」を洗い出す

いきなりアプリ導入を考える前に、今の紙の出面表がどこでズレているかを特定します。

多くの会社で崩れているのは「入退場時刻」「休憩時間」「半日・1人工か0.5人工かの区分」の3欄です。

監督によって「8時開始」でも実際の作業開始が8時半だったり、雨で早退した日を「出面あり」と書いてしまったり。この揺れを放置したまま集計フローだけ変えても、ミスは消えません。

ここでつまずく

「アプリを入れれば解決する」と思って現状分析を飛ばすと、紙のときと同じ書き方の癖がアプリ上でも再現されます。まず紙の何が悪いかを1週間分見返すところから始めます。

手順2:職人・監督・経理、3者の入力タイミングを合わせる

次にやるのは、誰が・いつ・何を記録するかの取り決めです。

理想は職人本人がその日のうちに入力すること。監督が後からまとめて書く方式だと、記憶頼みになり、休憩時間や早退の記録が抜け落ちます。

具体的には「退勤時にスマホで打刻」「現場ごとの人工数はその場で入力」というルールを、口頭ではなく紙かLINEグループで一度文字にして共有します。

ここでつまずく

「そのうち覚えるだろう」で口頭指示だけにすると、1ヶ月後には半分の職人が元のやり方に戻ります。ルールは必ず文字で残します。

手順3:現場ごとの人工を「その日のうちに」経理と照合する

月末にまとめて照合するから、記憶が薄れてミスに気づけません。

週1回でいいので、現場監督が入力した出面データを経理担当がその都度チェックする流れを作ります。

例えば築30年マンションの外壁改修現場で、ケレン作業の日に台風で午前中しか動けなかった日があったとします。この日の人工を「1人工」で登録してしまうと、給与も原価も両方狂います。週次でチェックしていれば、この場でその日のうちに訂正できます。

月末の1回勝負にしないこと。これが集計時間を減らす一番の近道です。

手順4:紙からアプリに移すなら、まず1現場だけで試す

出面管理をアプリに切り替える会社が増えていますが、いきなり全現場・全職人で一斉導入すると混乱します。

まず動いている現場の1つだけで、職人の打刻・監督の人工確認・経理の給与連携までを通しで試します。ここで詰まる箇所があれば、全社展開する前に潰せます。

私たちイーテクノスも、自社が塗装会社として現場を回す中で、紙の出面表と給与計算のズレに何年も悩まされました。そこから生まれたのがAngaです。LINEで日々の出面や現場写真をやり取りしながら、そのまま出面データとして蓄積できるようにしています。

紙の出面表を1件ずつ突き合わせる作業自体をなくす方向で作った道具です。

手順5:給与計算の直前に「例外日」だけ再確認する

最後の砦は、給与計算の直前チェックです。

全件を見直す必要はありません。半休・早退・現場掛け持ちなど、通常と違う動きをした日だけをリストアップして確認します。

ここで業界の状況にも触れておきます。塗装工事業では2026年に入ってから倒産が前年より増えていて、職人不足と資材高騰が中小事業者の経営を圧迫しています。人手が薄い会社ほど、1人のミスが給与全体に響きやすくなっています。

例外日チェックを月末の習慣にするだけで、給与計算ミスの大半は防げます。

よくある質問

Q. 出面管理アプリを導入すると、紙の出面表は完全になくせますか

多くの会社は最初の1〜2ヶ月、紙とアプリを併用します。職人がスマホ操作に慣れるまでの移行期間と考えて、いきなり全廃止にしないほうが混乱が少ないです。

Q. 職人が高齢でスマホ操作に不安がある場合はどうすればいいですか

LINEで完結するタイプのアプリなら、普段使っているLINEの延長で打刻できるため、新しい操作を覚える負担が小さくなります。まず1人に試してもらい、感触を確かめる方法が現実的です。

Q. 出面データはそのまま給与計算に使えますか

人工数や時間データを給与計算ソフトに手入力する手間は残る場合があります。ただし紙の突き合わせ作業がなくなるだけで、月あたりの集計時間は大きく減らせます。

あわせて読みたい


月3日消える給与計算、現金払い塗装会社の罠

月3日消える給与計算、現金払い塗装会社の罠

職人への日当は現場で手渡し。この慣習を守る塗装会社ほど、毎月3日を給与計算に溶かしています。なぜアプリを入れないのか、その構造を分解します。


1. 月末になると経理より先に電卓が壊れる

2. 原因1:現金払いは信頼の証だから仕組み化しにくい

3. 原因2:出面の記録者と支払う人が分業されていない

4. 原因3:今のやり方で「回ってしまっている」から変える動機がない

5. 断つ方法:現金払いを変えずにデジタル化する

月末になると経理より先に電卓が壊れる

外壁塗装を専門にしている会社の事務所では、月末になると社長か奥様が電卓を叩きます。

出面(現場ごとの職人の出勤日数)を手書きの帳面から拾い、現場ごとの人工(1日あたりの人件費単価)を掛けて、日当を現金で用意する。

現場が10件動いていれば、この作業だけで丸1日は潰れます。締め日から支払日までの3日間は、ほぼこの計算に費やされている会社も珍しくありません。

症状はシンプルです。給与計算に時間がかかりすぎる。原因は「アプリを知らないから」ではありません。もっと根が深いところにあります。

原因1:現金払いは信頼の証だから仕組み化しにくい

塗装業の職人は一人親方が多く、その日暮らしで生活している人も少なくありません。

現場でその日の日当を手渡しする慣習は、単なる古い商習慣ではなく「その日暮らしの職人を待たせない」という現場監督の心遣いでもあります。

この現金払いを崩さずにアプリを導入しようとすると、多くの現場監督は身構えます。

「出面をアプリに打ち込む手間が増えるだけじゃないか」

この警戒心は正しい懸念です。デジタル化が現場の負担を増やすだけなら、導入しない方が合理的だからです。

原因2:出面の記録者と支払う人が分業されていない

現場監督が記録し、事務員が計算し、社長が支払う

本来なら、この3つの役割が分かれていれば負担は分散します。

ところが小規模な塗装会社ほど、現場監督が出面をメモし、その紙を事務所に持ち帰り、社長がまとめて計算する、という一人二役三役が普通です。

記録の形式もバラバラです。ある現場監督は手帳に、別の現場監督はLINEのメモ機能に、また別の人はノートの端に書きます。

この「記録フォーマットの不統一」が、月末の突合作業を地獄にしている本当の原因です。アプリを入れない限り、記録者が変わるたびに集計ルールも変わってしまいます。

原因3:今のやり方で「回ってしまっている」から変える動機がない

3日かかっても、給与は払えています。倒産もしていません。

これが一番厄介な原因です。痛みが「致命傷」ではなく「慢性的な消耗」だから、経営者は後回しにし続けます。

ただし今、この消耗を放置できない外部環境が重なっています。塗装工事業では2026年に入ってから倒産が前年より増えている状況があり、職人不足と資材高騰が中小・零細事業者の経営を圧迫しています。

事務作業に社長や監督の時間が3日取られるということは、その3日分、見積もり・受注・職人採用に使える時間が消えているということです。余力のない経営環境では、この3日の重みが以前とは違います。

断つ方法:現金払いを変えずにデジタル化する

結論から言うと、現金払いの慣習そのものをやめる必要はありません。

変えるべきは「記録の場所」です。現場監督がその場でスマホから出面を打ち込み、日当額が自動で計算される仕組みにすれば、事務所での突合作業は要らなくなります。

手帳・LINEメモ・ノートに分散していた記録が1つのアプリに集約されれば、月末は「確認するだけ」の作業に変わります。現金を手渡す運用はそのままで構いません。

私たちイーテクノスも塗装会社を経営していて、まさにこの3日間の集計作業に苦しんできました。自社の現場で使うために作ったのが出面管理アプリのAngaです。現金払いの慣習を崩さずに出面と人工計算だけをデジタル化できるよう設計しています。

月末の3日を、見積もりや職人採用に使える3日に変えられるかどうか。まずは自社の締め作業が何にどれだけ時間を取られているか、棚卸しすることから始めてみてください。

現金は今まで通り渡す。ただ電卓叩く3日間だけ、もう無理。

よくある質問

Q. 出面管理アプリを導入すると現金払いの慣習は変えないといけませんか

変える必要はありません。出面の記録と人工計算だけをアプリ化し、支払い自体は今まで通り現場での現金手渡しを続けている塗装会社が多くあります。運用を変えずに集計だけ効率化できます。

Q. 現場監督がアプリ入力を面倒がって使ってくれません

入力項目を最小限にし、その場で数タップで終わる設計かどうかが定着の分かれ目です。紙やLINEメモより早く終わる体験を最初の1週間で感じてもらうことが、定着の近道になります。

Q. 一人親方が多い会社でも出面管理アプリは使えますか

使えます。一人親方ごとに現場・日数・単価を個別管理できれば、日当計算のばらつきも減らせます。むしろ雇用契約が多様な塗装会社ほど、記録の一元化による恩恵は大きくなります。

あわせて読みたい


塗装業の丼勘定給料が利益率を下げる理由

塗装業の丼勘定給料が利益率を下げる理由

繁忙期なのに利益が残らない。原価管理をせず現場終了後に人件費を決める丼勘定が、その正体です。手順で直す方法を解説します。


1. まず自社の丼勘定っぷりを数字で確認する

2. 現場ごとの人件費を先に決めてから職人に伝える

3. 現場終了後にズレを確認し、次の見積に反映する

4. 仕組み化まで持ち込む、その先の選択肢

まず自社の丼勘定っぷりを数字で確認する

外壁塗装の現場が10件同時に動いている会社で、各現場の人件費が「だいたいこれくらい」で決まっているなら、それは丼勘定です。

手順は3つです。まず直近3ヶ月の完了現場を10件選びます。次に見積時に想定した人工(作業員1人の1日分の稼働)と、実際にかかった人工を並べます。最後に差分が2人工以上ある現場を赤マーカーで囲みます。

ここでつまずく

ここでよくある失敗は、日報が「今日も現場A、順調」しか書かれておらず、実際に何人工かかったか誰も記録していないケースです。日報の形式を変えない限り、この確認作業自体が始まりません。

塗装工事業の倒産が2026年に入って増えているという業界の動きもあります。職人不足や資材高騰に加え、原価が見えない会社ほど、繁忙期に人を増やしても利益が薄いまま倒産リスクに近づきます。

現場ごとの人件費を先に決めてから職人に伝える

丼勘定を止める第一歩は、現場に人を出す前に人件費の上限を決めることです。

  • 見積書の人工数から、現場ごとの「使える人件費の上限」を算出します。
  • 職人ごとの歩掛(作業1単位あたりの工数)を過去現場から拾い、その現場で何人工かかりそうか予測します。
  • 上限と予測が近い場合は、現場監督が事前に「この現場は3人工で仕上げてほしい」と職人に伝えます。

ここでつまずく

新人の現場監督が、この上限を職人に伝えず「とりあえず終わったら教えてください」で現場に送り出すと、丼勘定に戻ります。数字を先に渡すことが肝です。

ベテラン職人ほど「今までのやり方でいい」と抵抗することもあります。ここは監督が数字の根拠(見積書の人工数)を見せて説明するしかありません。

現場終了後にズレを確認し、次の見積に反映する

現場が終わったら、丼勘定に戻らないための確認作業が要ります。

  • 予測人工と実際の人工を突き合わせます。
  • ズレた原因を1行で書きます(下地処理が想定より荒れていた、雨で1日流れた、など)。
  • 同じ現場タイプ(築30年マンション改修、木造2階建てなど)の次回見積に、このズレを反映します。

ここでつまずく

ここでの典型的な失敗は、ズレの原因を「まあいろいろあって」で済ませてしまうことです。原因を1行でも書かないと、次の見積が永遠に同じ精度のまま丼勘定に戻ります。

2025年12月に施行された改正建設業法では、著しく短い工期の禁止や、天候・下地状況などのリスク情報を契約段階で明記する義務が加わりました。原価管理をせず口約束で工期と人件費を決めてきた会社ほど、この対応に苦労することになります。

現場が終わってから給料計算じゃ、いつまでも儲かってる気がしねえんだよな

仕組み化まで持ち込む、その先の選択肢

3つの手順を1〜2ヶ月続けると、現場ごとの利益率が見えてきます。ここまでは紙とExcelでも可能です。

ただ現場が10件を超えると、突き合わせ作業だけで毎月20時間近く飛ぶ会社も出てきます。改正建設業法で賃金水準の確保と労働条件改善が必須になった今、人件費上昇分を価格に転嫁する仕組みも同時に整える必要があります。

私たちイーテクノスは塗装会社を経営しながら、この丼勘定の突き合わせ作業に何年も苦しみました。その経験から、現場ごとの人件費と実績をLINEから記録し、原価を自動で見える形にするAngaを作りました。

手順を仕組みに落とし込む段になったら、こうしたツールも選択肢の一つです。

よくある質問

Q. 塗装業の利益率はどれくらいが目安ですか

会社の規模や元請・下請の立ち位置で差がありますが、人件費と資材費を現場ごとに正確に把握できていない会社ほど、繁忙期でも利益率が伸びない傾向があります。まずは自社の現場別の人工ズレを数値化することが出発点です。

Q. 丼勘定をやめると職人のモチベーションは下がりませんか

人件費の上限を事前に伝えるだけでは下がりません。むしろ早く終わらせた分を評価する仕組みを合わせて作ると、職人側にも動機が生まれます。数字を隠さず見せる姿勢が信頼につながります。

Q. 原価管理を始めるのに何から手をつければいいですか

まず直近の完了現場10件で、見積時の想定人工と実際の人工を突き合わせる作業から始めてください。この差分を可視化するだけで、丼勘定の実態と改善ポイントが見えてきます。

あわせて読みたい


塗装業の原価管理、赤字が現場後にしか分からない理由

塗装業の原価管理、赤字が現場後にしか分からない理由

塗料の使用量も人件費も現場が終わるまで分からない。この状態を放置すると、儲かる現場と赤字現場の区別がつかず、会社全体の利益率が静かに削られていきます。


1. 決算書を見て初めて赤字に気づく会社

2. 紙・Excel・専用アプリ、どこで差がつくのか

3. 表で見る、3つの手段の違い

4. 改正建設業法で「後回し」が通用しなくなる

5. 記録の手間を減らした先にあるもの

決算書を見て初めて赤字に気づく会社

外壁塗装の現場が終わって請求書を出し、材料屋への支払いを済ませ、それでも「この現場、儲かったのか」と聞かれて即答できない社長は少なくありません。

理由は単純です。塗料の使用量は現場ごとにメモや職人の口頭報告に頼り、人件費は出面(現場ごとの出勤日数)を月末にまとめて集計する。どちらも現場が終わるまで、いや決算が近づくまで数字が出てきません。

築30年マンションの改修と新築の外壁塗装では、下地処理の手間も希釈率も歩掛もまるで違います。ところが原価管理を後回しにしている会社では、この2つの現場を同じ「工事」として売上だけで見てしまいます。結果、実は赤字だった現場を来期も同じ条件で受けてしまう。これが利益率を下げ続ける構造です。

紙・Excel・専用アプリ、どこで差がつくのか

原価管理をやろうとした会社が最初にぶつかる壁は「どの手段で記録するか」です。紙の現場帳票、Excelの原価管理表、専用アプリ。どれも「記録する」という機能は同じですが、現場目線で見ると差は歴然です。

紙は書く手間そのものが職人の負担になります。ケレン(下地の錆や旧塗膜を削る作業)や吹付作業の合間にメモを取る余裕がある職人は多くありません。結果、記録が抜けたり、後から記憶で埋めたりして、数字の精度が落ちます。

Excelは事務所に戻ってから入力する運用になりがちです。現場と入力の間に時間差が生まれ、色番(日塗工の番号など)や使用量の記憶違いが起きやすくなります。しかも複数現場のExcelファイルを社長が一つひとつ開いて見なければ、儲かる現場と赤字現場の比較ができません。

専用アプリは現場でその場に近い形で入力でき、社内の誰が見ても同じ画面で現場ごとの原価が並びます。共有のしやすさとミス率の低さが、紙・Excelとの決定的な違いです。

表で見る、3つの手段の違い

どの手段が自社に合うかは会社の規模や体制によりますが、まずは客観的に並べて比較してみます。

手段 手間 ミス率 共有のしやすさ コスト
紙の帳票 現場で書く負担が大きい 記憶頼りで高い 社長が集めて回る必要あり 印刷代程度で低い
Excel 事務所での入力作業が発生 入力時の記憶違いが起きやすい ファイルを開かないと見えない ソフト代のみで低い
専用アプリ 現場でその場に入力できる 入力ルールが統一され低い 全員が同じ画面をリアルタイムで見られる 月額利用料がかかる

改正建設業法で「後回し」が通用しなくなる

2025年12月施行の改正建設業法では、労働者の待遇改善が求められ、人件費上昇への対応が経営課題として明確になりました。契約書の記載事項も厳格化され、著しく短い工期の禁止や、天候・下地状況といった塗装特有のリスク情報の提供義務も新たに規定されています。

これは裏を返せば、原価を把握していない会社ほど価格転嫁の根拠を示せず、適正な請負代金への変更交渉ができないということです。人件費がいくら上がったのか、現場ごとの歩掛がどう変わったのかを数字で説明できなければ、元請との交渉の場に立てません。

倒産件数が増えている今の業界状況では、原価管理の後回しは単なる社内の課題ではなく、会社が生き残れるかどうかの分岐点になっています。

記録の手間を減らした先にあるもの

原価管理を仕組み化する目的は、社長の手間を増やすことではありません。むしろ逆で、記録の手間を減らしながら、儲かる現場と赤字現場を見分けられるようにすることです。

私たちイーテクノスは塗装会社を経営する中で、まさにこの「現場が終わるまで原価が分からない」状態に苦しみました。代表の井上自身が現場を回しながら、塗料の使用量や人件費をリアルタイムで把握できる仕組みが欲しくて作ったのがAngaです。

現場が終わってから儲かったか分かるんじゃ、遅すぎるんですよね

紙やExcelでの管理に限界を感じている会社であれば、現場ごとの原価をその場で記録し、社内で共有できるアプリという選択肢を検討する価値があります。

よくある質問

Q. 塗装業で原価管理が後回しになりやすいのはなぜですか

現場作業が優先され、塗料の使用量や人件費の記録は「後でまとめて」になりがちだからです。紙やExcelでは現場と入力の間に時間差が生まれ、記憶違いや記録漏れが起きやすく、結果として決算まで現場ごとの利益が見えない状態が続きます。

Q. 原価管理を始めるなら紙・Excel・アプリのどれがいいですか

現場数が少なく職人も限られる会社なら紙やExcelでも運用できますが、現場が増えるほど共有の手間とミス率が課題になります。複数現場を並べて儲かる現場と赤字現場を比較したい会社は、専用アプリの方が向いています。

Q. 改正建設業法は塗装会社の原価管理にどう関係しますか

2025年12月施行の改正建設業法により、人件費上昇への対応や契約内容の明確化が求められます。原価を把握していないと価格転嫁の根拠を示せず、元請との請負代金の交渉が不利になるため、原価管理の仕組み化が急務になっています。

あわせて読みたい


残業代80万円未払い!塗装現場の日報崩壊実話

残業代80万円未払い!塗装現場の日報崩壊実話

築28年マンション、外壁改修32日間の現場。職人ごとに手書き日報がバラバラで、誰も工数を把握できていませんでした。気づいた時には残業代の未払いが積もっていた実話です。


1. 32日間・職人5人・缶数180缶の現場で何が起きたか

2. 問題が見えたのは決算の2ヶ月後

3. 翌現場からアプリで日報を統一した結果

4. 制度が変わる今、記録を残す会社が生き残る

32日間・職人5人・缶数180缶の現場で何が起きたか

神奈川県内、築28年の10階建てマンション大規模改修です。外壁と屋上防水を含む工期32日間、職人は塗装3人と防水2人の計5人体制でした。

下塗り・中塗り・上塗りでシリコン系塗料を計180缶発注。歩掛(作業1単位あたりの工数)は足場面積から逆算して、1人1日あたり外壁120平米が目安でした。

ところが2週目に入って、雨で3日流れました。工程を組み直した結果、後半の10日間は毎日残業が発生。ここから日報の記録が崩れ始めます。

職人ごとに使うノートも書き方も違いました。ベテランの一人は現場の裏紙にメモ程度、若手はスマホのメモ機能、防水の2人は口頭で監督に報告するだけでした。

問題が見えたのは決算の2ヶ月後

この現場が終わって2ヶ月後、決算の準備で人件費を集計した時に監督が違和感を覚えました。

5人分の出面(現場に入った日数と時間)を突き合わせると、残業時間の記録が3人分しか残っていませんでした。ベテランの裏紙メモは現場終了と一緒に処分されていて、後半10日間の残業がどこにも記録されていなかったのです。

水増しか未払いか、判断すらできない

困ったのは、これが「水増し」なのか「未払い」なのか判断できなかったことです。若手のスマホメモには実際より多い時間が書かれていて、逆にベテランの記憶ベースの報告は少なめでした。

裏紙のメモが捨てられてて、残業代いくら払ったか分からんかった

労働基準監督署が入れば、記録がない側が不利になります。会社側が「払っていなかった」と見なされるリスクの方が高いという判断で、結局この現場だけで残業代の未払い分として約80万円を追加で支払うことになりました。

翌現場からアプリで日報を統一した結果

この経験から、次の現場では日報アプリを導入しました。職人がスマホで入力する形に統一し、開始時刻・終了時刻・使用缶数をその場で記録するルールに変えました。

結果は分かりやすく出ました。次の築22年の外壁改修(工期18日間、職人3人)では、残業発生日が5日あったものの、全員分の記録が当日中に残りました。月末の集計作業も、以前は日報を手で突き合わせて3時間かかっていたのが、40分ほどに縮まりました。

記録が残ることで、水増しの疑いも未払いの不安も両方消えました。監督が「言った言わない」で悩む時間自体がなくなったのが一番大きな変化でした。

制度が変わる今、記録を残す会社が生き残る

2025年12月に施行された改正建設業法では、労働者の賃金水準確保と労働条件改善が必須化されました。長時間労働に依存した現場運営が難しくなり、価格転嫁の仕組み整備が急務とされています。

記録がなければ、価格交渉の材料も労務管理の証拠も手元に残りません。日報アプリの導入は、残業代トラブルを防ぐだけでなく、この先の法対応にもつながる話です。

私たちイーテクノスも塗装会社を経営していて、まさに同じ悩みを抱えていました。職人ごとに書き方が違う日報を突き合わせる作業に疲れて、自社の現場で使うために作ったのがAngaです。

入力はスマホで数タップ、缶数と時間がそのまま集計に残ります。次の現場から、日報の食い違いに悩む前に試してみてください。

よくある質問

Q. 現場日報アプリを導入すると本当に残業代トラブルは減りますか

記録が全員分同じ形式で残るため、後から「言った言わない」になるリスクは大幅に減ります。ただしアプリだけでなく、開始・終了時刻をその場で入力するルール運用が定着しないと効果は出ません。導入初月は監督が入力チェックを行うと定着しやすいです。

Q. 職人がスマホ操作を嫌がって定着しないのでは

最初の1〜2週間は抵抗があることが多いです。缶数や時間の入力を3タップ程度で終わる設計にし、紙の日報を完全に廃止すると自然に移行しやすくなります。ベテランほど紙に戻りたがるため、監督が率先して使う姿を見せるのが効果的です。

Q. 日報アプリ導入のコストは現場のどこで回収できますか

月末の日報突き合わせ作業時間の削減が最も分かりやすい回収ポイントです。3時間かかっていた集計が40分程度になった例もあります。加えて残業代未払いや水増しの発覚による追加支払いを防げる点も、実質的なコスト回収につながります。

あわせて読みたい


月末請求書待ちが赤字現場を生む理由

月末請求書待ちが赤字現場を生む理由

月末に請求書が揃って、初めてその現場が赤字だったと分かる。この順番を変えない限り、赤字現場は止められません。現場ごとに都度原価を見る手順を、明日から使える粒度で解説します。


1. なぜ「月末に分かる」が手遅れなのか

2. 手順1:現場ごとに「原価の箱」を作る

3. 手順2:発注・出面のたびに「その日」入力する

4. 手順3:現場が7割終わった時点で一度見る

5. 手順4:赤字傾向が見えたら、次の受注前に止める

6. 手順5:月1回、全現場を並べて振り返る

なぜ「月末に分かる」が手遅れなのか

外壁塗装の現場が同時に8件動いていると想像してください。塗料の使用量、下請けの人工(1日あたりの作業量)、資材の追加発注。これらの請求書が事務所に揃うのは早くて現場完了の2〜3週間後です。

つまり赤字が確定するのは、その現場がもう終わった後です。次の現場の見積りは、赤字の原因が分からないまま同じ歩掛(作業1単位あたりの工数)で組まれます。赤字現場を止められないのではなく、止める判断をする材料が届く頃には現場が終わっているのです。

塗装工事業の倒産は2026年1月〜4月で前年同期より増えています。職人不足と資材高騰、原油・ナフサ供給不安が重なり、どんぶり勘定の会社ほど利益が薄い現場を積み重ねて資金が持たなくなっています。原価管理は経理の作業ではなく、会社を続けるための手順です。

手順1:現場ごとに「原価の箱」を作る

最初にやることは、案件番号や現場名で原価を分ける箱を作ることです。塗料代、シンナー・希釈材、足場代、養生材、下請け人工、自社人工、諸経費の7項目で十分です。

Excelでもノートでも構いません。ここでつまずくのは、複数現場の資材をまとめて1回で発注してしまい、後からどの現場にいくら使ったか分からなくなるパターンです。まとめ買いする場合は、発注メモに現場名と数量の割合を必ず書いておきます。

手順2:発注・出面のたびに「その日」入力する

月末にまとめて入力するのをやめて、発注した日、職人が現場に入った日にその都度入力します。塗料屋に電話した直後、現場監督が出面(誰が何日入ったか)を確認した直後がタイミングです。

つまずきやすい入力ミス

色番(日塗工・N80など)の読み違いや数量の書き間違いは、後から見返しても気づきにくいものです。発注した本人がその場で入力すれば、値段と数量の記憶が新しいうちに正確な数字が残ります。

入力を後回しにする会社の多くは「まとめて入れた方が早い」と考えますが、実際は1件ずつ思い出す作業のほうが時間がかかります。

手順3:現場が7割終わった時点で一度見る

完成を待たず、進捗7割の時点で使った原価と請求予定額を並べます。ここで見積り時の予算と実際のズレが初めて見えます。

雨で3日工程が流れて、下請けを別日程で入れ直した現場は、この時点で人工が予算超えしていることが多いです。7割で気づけば、残り3割の工程で仕上げ品質を落とさずコストを抑える判断ができます。月末に気づいても、もう打つ手がありません。

手順4:赤字傾向が見えたら、次の受注前に止める

7割時点で赤字傾向の現場が出たら、その原因を次の見積りに反映するまで新規受注の見積り条件を変えません。これが「赤字現場を止める」の実態です。止めるのは現場ではなく、同じ条件での受注です。

2025年12月施行の改正建設業法では、請負代金の変更方法の明確化と、著しく短い工期の禁止が新たに規定されています。人件費が上がっている前提で価格転嫁の仕組みを契約書に落とし込んでおくことが、これからの受注条件になります。

労働条件改善で人件費が上がる以上、従来の歩掛のままの見積りは赤字の温床になります。原価管理で気づいたズレを、契約書の記載事項にまで反映させる会社が、法改正後も生き残ります。

手順5:月1回、全現場を並べて振り返る

月末は集計の場ではなく、振り返りの場に変えます。7割時点で見た現場の実績と、完成後の最終原価を並べて、どの項目でズレたかを確認します。

ここでのつまずきは、赤字の原因を「資材高騰のせい」で終わらせてしまうことです。同じ現場条件でも、発注のタイミングや職人の割り付け次第でズレは縮められます。原因を項目単位まで分解して初めて、次の見積りに反映できます。

この手順を紙とExcelでやろうとすると、入力する人の手間が結局月末に集中してしまいます。私たちイーテクノスも塗装会社を経営していて、現場ごとの利益が決算まで見えない状態に長く苦しみました。その経験から、LINEで発注や出面を送るだけで現場ごとの原価が都度分かるツール「Anga」を作りました。

手順2の「その日入力」を仕組み化したいなら、まず7日間無料で試してみてください。

完成してから儲かったか分かるんじゃ、次の見積り直せないんだよな

よくある質問

Q. 塗装業の原価管理は何から始めればいいですか

現場ごとに原価を分ける箱を作ることから始めます。塗料代・足場代・人工などの項目を決め、発注や出面のたびにその日入力する習慣をつければ、月末集計に頼らず現場の途中で赤字傾向に気づけます。

Q. どんぶり勘定から脱却するのに大がかりなシステムが必要ですか

最初はExcelやノートでも構いません。重要なのは入力のタイミングを月末からその日に変えることです。仕組みが定着してから、LINEなど普段使う手段で入力できるツールに移行すると負担が減ります。

Q. 改正建設業法は原価管理にどう関係しますか

2025年12月施行の改正で請負代金の変更方法明確化や工期に関する規定が強化されました。原価のズレを見積り条件や契約書に反映する仕組みがないと、価格転嫁ができず人件費上昇分を吸収できません。

あわせて読みたい


職人が余るのに現場を断る、稼働率不可視の罠

職人が余るのに現場を断る、稼働率不可視の罠

職人が2人余っているのに、隣の現場からの応援要請を断る。そんな矛盾が塗装会社では珍しくありません。原因は気合いではなく、稼働率を数字で見る仕組みがないことです。


1. 「手が空いてる」のに断る、という矛盾

2. 本当の原因は3層に分かれています

3. なぜこの問題は何年も放置されてきたのか

4. 断る理由を数字で潰していく

5. 後継者不在という、もう一つの断る理由

「手が空いてる」のに断る、という矛盾

外壁塗装の現場を3つ抱える会社があるとします。Aは下地処理待ちで職人が半日暇、Bは吹付待ち、Cは応援が欲しいと電話してくる。

この状況、社長の頭の中には「なんとなく」の感覚しかありません。誰が今日どこで何時間動いているか、リアルタイムで数字にした表がないからです。

結果、「Cさん、今大丈夫か聞いてみるわ」と現場監督に電話を1本入れる手間を惜しんで、Cの要請はそのまま断られます。人が足りないのではなく、足りているのに見えていないだけです。

本当の原因は3層に分かれています

1層目・稼働率が可視化されていない

出面(現場ごとの職人の出勤・稼働状況)は日報や職人からの電話報告でしか把握できません。日報は現場が終わった後に上がるので、当日の空き時間には使えないデータです。

2層目・人件費が現場別に紐づいていない

どの現場にどれだけ人工(作業員1人1日分の稼働単位)がかかったか、決算のタイミングまで見えない会社は珍しくありません。応援に回した職人の人件費をどの現場のコストにつけるかが曖昧なら、応援を出す判断自体が怖くなります。

3層目・断る方が心理的に安全という現場文化

応援を出して失敗するより、断って何も起きない方が現場監督は責められません。仕組みがないから、個人の判断力と勇気に頼るしかなく、結局「今回は見送ります」が積み重なります。

なぜこの問題は何年も放置されてきたのか

塗装業は現場が分散していて、職人も一人親方や外注が混ざります。エクセルや紙の日報で管理していても、業界の景気が良ければ「断っても次の現場で回収できる」感覚で済んでいました。

ところが2026年に入り、状況が変わりました。塗装工事業の倒産は今年1〜4月で前年同期より増えています。職人不足に加え、資材高騰と原油・ナフサ供給不安が重なり、余裕のあった経営体力が削られているためです。

加えて2025年12月施行の改正建設業法では、労働者の待遇改善が求められ、長時間労働で穴埋めする従来のやり方が難しくなりました。人件費は上がる一方で、現場を断れば売上が減る。両側から締め付けられる構造に、可視化の甘さが放置できる余裕はもうありません。

断る理由を数字で潰していく

まず必要なのは、日報が上がる前に「今日、誰がどこで何時間動いているか」を見られる状態にすることです。紙やLINEの報告を後から集計するのではなく、リアルタイムで拾う仕組みに変えます。

次に、現場ごとの人件費を人工単位で紐づけます。応援に回した職人のコストがどの現場につくかが見えれば、応援の可否を感覚ではなく数字で判断できます。

改正建設業法では請負代金の変更方法や契約内容の明確化も求められています。稼働実績が数字で残っていれば、追加費用の交渉材料にもなり、価格転嫁の根拠づくりにも直結します。

私たちイーテクノスも、もともと塗装会社を自社で経営していて、この「断る理由が数字で見えない」状態にずっと悩んできました。現場ごとの利益が決算まで分からず、応援を出す判断がいつも勘頼りだったからです。そこで生まれたのがAngaです。現場ごとの出面と人件費をリアルタイムで見える化し、稼働率を数字で判断できるようにしています。応援を出す・断るの判断を、感覚ではなく数字に戻したい会社に向いています。

手が空いてるの分かってても、断る方が楽なんですよ。

後継者不在という、もう一つの断る理由

稼働率が見えないまま社長が高齢化すると、次の選択肢はM&Aや事業承継です。塗料業界でも後継者問題を背景に、中小企業と大手企業の統合が進んでいます。

中小企業庁や商工会議所には事業承継やM&Aの相談窓口があり、専門家派遣やマッチング支援を受けられます。自治体独自の事業承継補助金もあるので、所在地の制度は一度確認しておく価値があります。

人材確保等支援助成金のような採用・育成向けの助成金も、職人の採用や職場環境改善に使える可能性があります。断る理由を減らす打ち手は、社内の仕組み改善だけでなく、外部の支援制度にも広がっています。

よくある質問

Q. 塗装業の人手不足対策として、まず何から始めればいいですか

職人を増やす前に、今いる職人の稼働率を数字で把握することから始めてください。現場ごとの出面と人件費が見える化されると、応援に回せる人が実は社内にいたと分かるケースが多くあります。採用より先に手を打てる部分です。

Q. 現場ごとの人件費を紐づけるのは大変そうですが、紙の日報でもできますか

紙でも不可能ではありませんが、集計に時間がかかり当日の判断には使えません。リアルタイムで拾えるツールを使うと、その日のうちに応援の可否を判断できるようになります。まずは1現場から試すのが現実的です。

Q. 改正建設業法は塗装会社の人手不足対策にどう関係しますか

労働者の待遇改善が必須化され、長時間労働で人手不足を補うやり方が難しくなります。人件費上昇分を請負代金に転嫁する仕組みづくりが急務になり、そのためにも現場別の人件費把握が欠かせません。

あわせて読みたい


塗料在庫が自己申告で破綻する理由

塗料在庫が自己申告で破綻する理由

築28年マンション、外壁塗装480㎡、職人3人。原油高の中、自己申告の在庫管理が招いた欠品と過剰発注の実話から、塗料在庫管理の見直し方を考えます。


1. 月曜7時、シリコン塗料が2缶足りない

2. 「自己申告」が壊れる仕組み

3. 欠品の翌週、今度は過剰発注が起きた

4. 数字を「人の記憶」から外した結果

月曜7時、シリコン塗料が2缶足りない

現場は築28年、3階建てマンションの外壁塗装です。延床480㎡、工期14日、職人は3人。日曜の夕方に主任が「上塗り用のシリコン、残り3缶あります」とLINEで報告していました。

月曜朝、実際に倉庫から出したのは1缶。棚には空き缶が2つ転がっていました。前の現場で余った分を別の職人が使い切っていたのですが、誰も在庫表に反映していませんでした。

上塗りは2日間で8缶使う計算です。足りない分は塗料店に電話しましたが、原油高の影響で入荷が週2回に減っていて、その日の配達には乗りません。結局、午前中の3時間、職人3人が現場で待機することになりました。3人×3時間=9人工分、約3万円弱がそのまま空費です。

「自己申告」が壊れる仕組み

この会社では、塗料の残量は職人の目視と記憶に頼っていました。缶のラベルに残量を書く運用はあったものの、忙しい現場では後回しになります。

在庫がズレる3つのパターン

  • 使い切っていない缶を「残りわずか」と大まかに報告する
  • 別現場から借りた缶が在庫表に反映されない
  • 色番(日塗工)が近いものを混同して数える

この現場でも、ND色の外壁用と付帯部用の缶が倉庫で混ざっていて、担当者が数え間違えていました。原油高で1缶あたりの単価が上がっている時期に、この手のズレは在庫金額のブレとしてそのまま経営を直撃します。

欠品の翌週、今度は過剰発注が起きた

欠品を怖がった主任は、次の週の発注で「多めに頼んでおこう」と判断しました。本来必要な数は上塗り用8缶、下塗り用6缶の計14缶です。実際に発注したのは20缶。

工期が終わって余ったのは5缶。原油高で塗料価格が上がっている中、使い切れない在庫を倉庫に抱えることになりました。倉庫の保管スペースも埋まり、次の現場で別の色番を置く場所がなくなるという副作用も出ています。

欠品を恐れて多く発注し、余って資金を圧迫する。この往復を、この会社は過去1年で少なくとも4回繰り返していました。1回あたりの空費は3万円から5万円程度で、年間で見ると決して小さな額ではありません。

缶が足りないと分かった時の、あの3時間の待機が一番こたえます

数字を「人の記憶」から外した結果

この会社が変えたのは、報告のタイミングと記録の仕方でした。使った缶数をその日のうちに現場ごとに記録し、色番・希釈率とセットで残量を管理する形に変えています。

次の現場、築15年の戸建て2棟同時工事(外壁200㎡×2)では、上塗り分の発注を7缶に絞り、実際の使用量は6.5缶でした。欠品も過剰在庫も出ませんでした。発注書を作る手間も、以前は現場ごとに紙とLINEを見比べて20分かかっていたのが、記録が一元化されたことで5分程度に減っています。

改正建設業法の施行で、資材高騰分の価格転嫁や契約内容の明確化が求められる流れも出ています。在庫の数字が曖昧なままでは、原価がぼやけて価格交渉の材料も作れません。

記録を人に頼らない仕組みとして、私たちイーテクノスが自社の現場で困った経験から作ったのが在庫管理アプリ「Anga」です。現場ごとの使用量と残缶数をLINEで報告するだけで自動集計され、発注の判断が「記憶」から「数字」に変わります。欠品と過剰発注の両方を減らす選択肢のひとつとして、試してみる価値はあります。

よくある質問

Q. 塗料の在庫管理はどこまで細かくやるべきですか

色番・希釈率・用途(上塗り/下塗り)ごとに残量を記録するのが目安です。現場単位ではなく缶単位で追わないと、複数現場を行き来する塗料の移動で必ずズレが出ます。原油高の時期は特に金額インパクトが大きいため注意が必要です。

Q. 職人の自己申告をやめて何を導入すればいいですか

紙の在庫表からLINE報告+自動集計への切り替えが現実的です。報告のハードルを下げつつ、その日のうちに記録する運用に変えるだけで、欠品・過剰発注の往復はかなり減らせます。

Q. 過剰発注と欠品、どちらの対策を先にすべきですか

多くの現場は欠品を恐れて過剰発注に振れる傾向があります。まず使用量の記録を正確にして、必要缶数の計算精度を上げることが先です。精度が上がれば欠品対策の在庫バッファも最小限で済みます。

あわせて読みたい


塗装業の人手不足|求人費倍増でも辞める会社の共通点

塗装業の人手不足|求人費倍増でも辞める会社の共通点

求人広告を増やしても職人が辞め続けるのはなぜか。給料と休日を数字で出せない会社ほど若手に選ばれず、人手不足が悪化する構造を分解します。


1. 求人広告費を倍にしても応募が減る理由

2. 本当の原因は「数字を出せない」ではなく「数字を持っていない」

3. なぜこの問題は何年も放置され続けたのか

4. 数字を出せる会社に変えるための3つの断ち方

5. 記録を仕組み化した先にある選択肢

求人広告費を倍にしても応募が減る理由

求人媒体の担当者に「掲載枠を増やしましょう」と言われるままに予算を積んだ経験がある社長は多いはずです。

ですが応募数はほとんど変わらないか、むしろ減っていくケースが目立ちます。

理由は単純です。今の若手は求人票の「アットホームな職場です」「頑張り次第で稼げます」を信用していません。

見ているのは月収の実数、休日の実数、残業の実数です。これを出せない求人票は、内容以前に読まれずに終わります。

広告費を増やす行為は、壊れた蛇口の下にバケツを増やす行為に近いです。水漏れそのものは直っていません。

本当の原因は「数字を出せない」ではなく「数字を持っていない」

多くの塗装会社が抱える問題は、数字を隠しているのではなく、そもそも数字を計算できる状態にないことです。

原因1:現場ごとの人工と歩掛が個人の頭の中にある

見積書には金額が書かれていても、その現場に何人工(1人が1日働く単位)かかったか、歩掛(作業1単位あたりの工数)がどうだったかは、社長や職人の感覚に残るだけです。

年間の総人工を集計していない会社では、平均残業時間も、現場ごとの実質時給も出せません。求人票に書ける数字がそもそも存在しないのです。

原因2:休日は「決めていない」ではなく「天候で崩れる」

塗装は雨で工程が流れる仕事です。晴れの日に詰め込んで、雨の日にまとめて休む運用が当たり前になっている会社ほど、月の休日数が読者に説明できません。

本人たちは「そこそこ休めている」と思っていても、平均を数値化すると年間休日が90日を切っているケースも珍しくありません。数字にしていないから、悪化に気づくのも遅れます。

原因3:見えている数字が「会社全体の売上」だけ

決算書には売上と粗利は載っていますが、それは会社全体の数字です。どの現場が儲かって、どの現場が赤字だったかは決算のタイミングまで分からない会社が大半です。

現場別の利益が見えなければ、給料の根拠となる人件費配分も説明できません。

なぜこの問題は何年も放置され続けたのか

塗装会社の多くは、忙しい時期ほど数字を整理する余裕がなくなります。雨で工程がずれた翌週は現場が渋滞し、事務作業は後回しになります。

「今期は忙しかったから」「来期落ち着いたら集計しよう」という言い訳が毎年繰り返され、集計の仕組み自体が一度も作られないまま10年が過ぎる会社を、何社も見てきました。

さらに構造的な問題として、2025年12月施行の改正建設業法があります。労働者の待遇改善が求められ、人件費上昇への対応と、請負代金の変更方法の明確化が経営に直結する要件になりました。

従来の「長時間労働でなんとか回す」現場運営は、この改正で通用しにくくなります。価格転嫁の仕組みと同時に、労働条件を数字で示せる体制を作らないと、法対応そのものが後手に回ります。

加えて2026年に入り、塗装工事業の倒産が前年同期比で増えているという業界動向もあります。資材高騰と職人不足に加え、原油・ナフサ供給不安が中小・零細事業者を圧迫している状況です。体力のない会社ほど、数字の整備を後回しにする余裕がなくなっています。

数字を出せる会社に変えるための3つの断ち方

精神論で「情報公開を頑張ろう」と決めても、翌月には元に戻ります。仕組みとして断つ必要があるのは次の3点です。

  • 現場ごとの人工・工期・利益を、現場が終わった時点で自動的に記録する仕組みを持つ
  • 月間・年間の休日実績を天候要因も含めて集計し、求人票に転用できる形にしておく
  • 求人票の数字は「平均」ではなく「直近12ヶ月の実数」で更新する

これらは特別な設備投資ではなく、日々の記録の取り方を変えるだけで実現できます。ただ紙の帳票や口頭の申告に依存している限り、記録は必ず抜け漏れます。

国や自治体の支援策も知っておくと選択肢が広がります。厚生労働省の人材確保等支援助成金は、採用や職場環境改善に使える制度で、建設業でも要件を満たせば活用できます。事業承継やM&Aで基盤強化を検討する場合は、商工会議所の相談窓口や専門家派遣制度も利用可能です。

対応 従来のやり方 仕組み化した場合
人工の記録 職人の口頭申告・記憶頼み 現場ごとに日々記録し集計
休日実績 天候で崩れた分は把握せず 年間実績を数値化して開示
求人票の数字 感覚的な表現で記載 直近12ヶ月の実数で更新

記録を仕組み化した先にある選択肢

現場の記録を職人のLINE報告や紙の日報に頼っている会社では、集計そのものが月末の作業になり、結局は後回しにされます。

休日、実は何日あるか聞かれて答えられなかった。数えたことがなかった。

私たちイーテクノスも塗装会社を経営してきた中で、同じ悩みを抱えていました。現場ごとの人工や利益が決算まで見えず、求人票に書ける数字が最終的に一つも残っていなかった経験があります。

そこから自社の現場で使うために作ったのが、塗装業向け業務管理ツールのAngaです。LINEでの発注・報告をそのまま記録に変換し、現場別の人工と利益を日々の運用の中で残せるようにしています。

求人広告費を増やす前に、まず社内に「出せる数字」があるかどうかを確認する。そこから始める会社が、結果的に若手に選ばれる求人票を書けるようになります。

よくある質問

Q. 求人広告を増やしても応募が来ないのはなぜですか

求人票に書かれている待遇が具体的な数字でないため、若手から信用されていない可能性が高いです。月収や休日の実数を直近12ヶ月分で示せる会社ほど応募が集まりやすくなります。

Q. 現場ごとの利益を把握するには何から始めればいいですか

まずは現場ごとの人工と工期を終了時点で記録する運用を作ることです。紙やLINE任せだと抜け漏れが起きやすいため、記録を自動的に残せる仕組みを併用すると集計の手間が減ります。

Q. 改正建設業法は塗装会社の何に影響しますか

2025年12月施行の改正で、労働者の待遇改善や請負代金の変更方法の明確化が求められます。長時間労働に依存した運営が難しくなり、人件費上昇分を価格に反映する仕組み作りが急務になります。

あわせて読みたい


資材高騰なのに旧単価で見積る塗装会社の末路

資材高騰なのに旧単価で見積る塗装会社の末路

シーラーが1缶800円上がっても、去年の見積のまま出す。その積み重ねで粗利が消えていく手順のズレを、発注前・発注時・確認の3段階で洗い出します。


1. 塗料屋の値上げ通知を放置した3ヶ月後に起きたこと

2. 手順1:発注前にやる「原価の棚卸し」

3. 手順2:見積を出すときの「価格転嫁」の入れ方

4. 手順3:現場ごとの利益を「決算前」に確認する仕組み

5. 確認作業を「人力」から離すという選択肢

塗料屋の値上げ通知を放置した3ヶ月後に起きたこと

取引先の塗料店から「来月からシリコン系1缶2,200円アップ」のFAXが届いても、多くの現場監督はそれを見積の根拠に反映しません。

理由は単純です。過去の見積テンプレートをコピーして使い回しているからです。

ある会社では、この通知を放置したまま半年で12件受注しました。決算で粗利率を見たら、去年より4ポイント下がっていました。原因を追うと、資材費の値上げ分がそのまま会社の持ち出しになっていたことが分かりました。

2026年に入って塗装工事業の倒産件数が前年同期より増えている背景には、こうした「値上げを知っていたのに見積に載せなかった」ケースが少なくありません。職人不足と資材高騰、原油・ナフサ供給不安が同時に重なり、原価管理の甘さがそのまま資金繰りを直撃しています。

値上げのFAX、見積に反映するの忘れてたわ。半年分まとめて損してた。

手順1:発注前にやる「原価の棚卸し」

まず塗料単価を今月の数字に更新する

見積書のテンプレートに入っている塗料単価は、いつの数字ですか。3ヶ月前、半年前のまま固まっている会社がほとんどです。

手順はシンプルです。

  • 主要塗料(下塗り・中塗り・上塗り)の現在単価を塗料店に確認する
  • 希釈率と標準塗布量から1㎡あたりの実コストを再計算する
  • 見積テンプレートの単価欄を上書きする

ここでつまずくのが、「前回と同じ現場だから単価も同じだろう」という思い込みです。同じ塗料でも仕入れ時期が違えば単価は変わります。月初に一度、単価だけ確認する習慣がない会社は、ここで確実に原価を見誤ります。

手順2:見積を出すときの「価格転嫁」の入れ方

資材費が上がった分を、そのまま元請けや施主にぶつけると角が立つと思っていませんか。

実はやり方があります。

  • 見積書の内訳に「材料費(○月時点単価)」と明記する
  • 資材高騰分を別項目で切り出す(本体価格に埋め込まない)
  • 「単価改定のお知らせ」を一枚添付する

ここでつまずくのが、値上げ分を材料費に混ぜ込んで総額だけ上げてしまうパターンです。元請けから見ると「何が上がったか分からない値上げ」に見え、値切り交渉の材料にされます。内訳を分けるだけで、交渉の土俵が変わります。

2025年12月施行の改正建設業法では、請負代金の変更方法の明確化と契約内容の強化が求められています。契約書に価格転嫁の根拠を残す仕組みは、今後は努力目標ではなく実務上の必須項目になります。

手順3:現場ごとの利益を「決算前」に確認する仕組み

多くの塗装会社が抱える最大の弱点は、現場ごとの利益が決算まで見えないことです。

  • 現場が完了するたびに実際にかかった材料費・人工を記録する
  • 見積時の想定原価と実績原価を突き合わせる
  • 差異が5%を超えた現場は理由を書き出す

ここでつまずくのが、「忙しいから決算期にまとめてやろう」という先送りです。10現場分をまとめてやろうとすると、どの現場でどれだけ資材費が上振れしたか記憶が飛んでいて、結局ざっくりした数字しか出せません。

1現場終わるごとに5分でいいので数字を残す。これができている会社とできていない会社で、粗利率の差は如実に出ます。

改正建設業法では長時間労働に依存した運営も難しくなります。労働者の待遇改善で人件費が上がる分、原価管理の精度を上げないと利益はさらに薄くなります。

確認作業を「人力」から離すという選択肢

ここまでの手順を紙とExcelでやろうとすると、現場が10件あれば単価更新と原価突き合わせだけで月15〜20時間は飛びます。しかも属人化しやすく、担当者が辞めると仕組みごと消えます。

私たちイーテクノスも、塗装会社を経営する中で同じ壁にぶつかりました。現場ごとの利益が決算まで見えず、資材の値上げ分をどこで見積に反映したか追えなくなった経験から、原価と見積を1つの画面で管理できるツールAngaを作りました。

単価更新も現場別の実績原価も、LINEで送るだけで記録が残る仕組みにしています。

手順を覚えるより先に、まず今月の塗料単価を1回だけ見直してみてください。それだけで来月の見積の精度は変わります。

よくある質問

Q. 塗装業の原価管理は何から手をつければいいですか

まず塗料単価の見直しから始めてください。見積テンプレートの単価が古いままだと、どれだけ丁寧に工数計算をしても原価はズレます。単価更新→原価再計算→現場ごとの実績記録という順番で、小さく回すのが確実です。

Q. 資材高騰分を見積に反映すると元請けに嫌がられませんか

内訳を分けずに総額だけ上げると値切られやすくなります。材料費を別項目にして単価改定のお知らせを添付すると、根拠が明確になり交渉しやすくなります。改正建設業法でも価格転嫁の仕組みが求められています。

Q. 現場ごとの利益を把握する簡単な方法はありますか

現場が終わるたびに実際の材料費と人工を5分で記録する習慣をつけることです。決算期にまとめて計算しようとすると数字の記憶が飛びます。Angaのようなツールを使えばLINE送信だけで記録が残り、突き合わせが楽になります。

あわせて読みたい