一人親方への手渡し払い、改正建設業法で違反リスク
「あの職人とは10年の付き合いだから」。その口約束が、今は法律違反になるかもしれません。改正建設業法の下請取引ルールを、手順に沿って確認します。
1. Q. うちは一人親方に手渡しで払ってるだけ。何がまずいのか
2. 手順1|発注前にやること:一人親方との取り決めを書面化する
3. 手順2|発注のやり方:LINEでも記録が残る形にする
4. 手順3|支払い後の確認:未払いを防ぐチェック体制
5. それでも記録が回らない会社への選択肢
Q. うちは一人親方に手渡しで払ってるだけ。何がまずいのか
改正建設業法で焦点になっているのは「しわ寄せ防止」です。元請から下請、下請から一人親方へと下りるほど、支払い条件が曖昧になりやすい構造にメスが入っています。
口約束と手渡しの何が問題かというと、証拠が残らない点に尽きます。金額・支払日・工事内容を書面かデータで残していないと、未払いが起きたときに「言った言わない」で終わります。
実際、外壁塗装の現場で「今月は資材が高くて厳しいから来月まとめて」と口頭で伝え、そのまま3ヶ月延びたケースは珍しくありません。職人側は角が立つのを恐れて催促できず、関係が静かに壊れていきます。
手渡し自体が違法なわけではありません。ただし記録が残らない支払い方法は、改正法が求める「取引の適正化」と真逆の方向を向いています。
手順1|発注前にやること:一人親方との取り決めを書面化する
つまずきポイント:口頭で「いつもの単価で」と済ませる
最初の一手は、金額・支払期日・支払方法を発注前に文書化することです。長年の付き合いだから省略していい、という発想が一番危険です。
手順は次の3つです。
- 工事内容と単価(歩掛ベースの人工代か、平米単価か)を書面に落とす
- 支払期日を「月末締め翌月末払い」など具体的に決める
- 一人親方本人にも同じ内容を確認してもらい、控えを渡す
ここでよくある失敗が、単価だけ決めて支払期日を曖昧にすることです。「忙しくなったら払う」という運用は、下請代金の遅延を招く典型パターンです。改正建設業法は、この「期日の曖昧さ」自体を問題視しています。
手順2|発注のやり方:LINEでも記録が残る形にする
書面が面倒なら、LINEでもかまいません。大事なのは「後から見返せる形で残す」ことです。
- 発注内容(現場名・作業日・単価)をテキストで送る
- 一人親方から「了解」の返信をもらう
- スクリーンショットか自動保存で記録を残す
つまずきポイント:電話で発注して記録が一切残らない
雨で工程が崩れ、急遽別の現場に振り替えるとき、電話一本で済ませてしまう会社は多いはずです。急ぎだからこそ、後から「あの日は何て言ったか」で揉めます。
電話で発注した場合も、直後に「先ほどの件、〇〇現場・〇日・単価〇円でお願いします」とLINEを1通打つだけで、証拠が残ります。この一手間を惜しむかどうかが、未払いトラブルの明暗を分けます。
手順3|支払い後の確認:未払いを防ぐチェック体制
支払って終わりにせず、月次で「誰に・いくら・いつ払ったか」を突き合わせる仕組みが要ります。
- 月末に発注記録と支払記録を並べて確認する
- 差異があれば翌月頭に本人へ連絡し、その場で解消する
- 半年に一度、支払いサイト(支払いまでの日数)が延びていないか見直す
現場が10件を超えると、発注書と支払いの突き合わせだけで月に何時間も溶けていきます。手作業でExcelを追いかけていると、1件の記録漏れに気づかないまま数ヶ月経つこともあります。
塗装業界では今、資材高騰と職人不足で資金繰りが厳しくなり、倒産件数が増えている状況も報告されています。支払いの遅れが連鎖すると、下請だけでなく元請自身の信用にも響きます。だからこそ、支払い管理を「後回しにできるタスク」から外す必要があります。
それでも記録が回らない会社への選択肢
ここまでの手順、正直「わかってはいるけど回らない」という会社が大半だと思います。私たちイーテクノス自身、塗装会社を経営する中で、発注と支払いの記録がバラバラになって困った経験があります。
払う気はあるんだよ。でも忙しいと、いつ・いくら払ったか自分でも分からなくなる
代表の井上が「これなら現場が使える」と思って作ったのが、LINEで発注・進捗・支払いまで一本化できる管理ツール「Anga」です。LINEで送るだけで発注記録が自動で残るので、手順2で紹介した「発注内容をテキストで残す」作業がそのまま仕組み化されます。
改正建設業法への対応は、特別なシステムを入れなくても、書面化とLINE記録の徹底だけである程度カバーできます。ただ、現場数が増えて手作業の限界を感じたときは、こうしたツールも選択肢の一つです。
よくある質問
Q. 一人親方への支払いは現金手渡しのままでも改正建設業法に違反しますか
手渡し自体は違法ではありません。ただし金額・支払期日を書面やデータで残していないと、未払い時に取引実態を証明できず、行政指導のリスクが上がります。振込や記録が残る方法への移行が望ましいです。
Q. 口約束で決めた単価を後から一人親方に否定されたらどうすればいいですか
発注時のLINEやメールの履歴が証拠になります。今後は発注のたびに金額と作業内容を一言テキストで送り、相手から「了解」の返信をもらう運用に変えると、同じトラブルを防げます。
Q. 改正建設業法の対応で、まず何から手をつければいいですか
最初にやるべきは、現在の発注・支払いの流れを紙に書き出して可視化することです。口頭発注が残っている箇所を洗い出し、そこから書面かLINE記録に置き換えていくのが現実的な順番です。
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