坪単価見積もりで250万円失注した理由
築22年、延床38坪の戸建て。相見積もり3社の中で唯一、坪単価だけで出した会社が落ちました。積算根拠を示せなかった現場監督が、その後どう変えたかの記録です。
1. 見積書1枚、根拠ゼロで挑んだ現場
2. 施主からの一言で崩れた
3. 次の現場で積算をやり直した3時間
4. 積算を毎回3時間かけられるかという問題
5. 手計算からソフトに切り替えて変わったこと
見積書1枚、根拠ゼロで挑んだ現場
埼玉県内、築22年の戸建て住宅。延床38坪、外壁面積はおよそ150平米でした。
施主は3社に相見積もりを依頼していました。うちの現場監督は坪単価5.5万円で計算し、税込209万円の見積書を1枚だけ提出しました。
内訳は「外壁塗装一式」「屋根塗装一式」「足場一式」の3行だけです。使用塗料も缶数も、下地処理の範囲も書いていませんでした。
他の2社は日本ペイントのパーフェクトトップを使い、上塗り2回・下塗り1回の3回塗りで、使用缶数まで書いた見積書を出していました。1社は14缶、もう1社は16缶という具体的な数字が入っていたそうです。
施主からの一言で崩れた
施主から現場監督に電話がありました。
監督は答えられませんでした。坪単価で出しただけで、実際に足場面積から塗布面積を逆算し、標準塗布量(塗料1缶でどれだけ塗れるかの目安)から缶数を割り出す作業をしていなかったからです。
その場で「確認して折り返します」と言うしかありませんでした。折り返しの電話をする前に、施主は他社に決めていました。失注の連絡はメール1通で終わりました。
次の現場で積算をやり直した3時間
この失注の翌週、似た規模の築25年・延床35坪の現場が入りました。
今度は坪単価を使わず、面積から積算をやり直しました。外壁面積143平米、下塗りシーラー1回、中塗り・上塗りにクリーンマイルドシリコン2回の3回塗りです。
標準塗布量を1缶あたり約35平米として逆算すると、3回塗りで必要な缶数は13缶になりました。ここに軒天・破風の塗装、シーリング打ち替え30メートル分を別途足しました。
積算にかかった時間は約3時間です。人工(作業員1人1日分の工数)は塗装だけで6人工、足場架払いと養生を含めると全体で8人工と算出しました。
見積書には「クリーンマイルドシリコン13缶」「シーリング打ち替え30m」「足場面積180平米」まで書きました。この現場は3社中で唯一、金額ではなく工程の詳しさで選ばれたと施主から後日聞きました。
坪単価と積算根拠、施主が見ているのはどちらか
坪単価だけの見積もりは、施主から見ると「本当にうちの家に合わせて計算したのか」が分かりません。缶数・平米数・人工まで書かれた見積書は、多少高くても納得материал材料になります。値引き交渉が減ったのも、この現場からでした。
積算を毎回3時間かけられるかという問題
ここで新しい問題が出てきます。3時間かけて積算した現場は結果的に受注できましたが、月に10件見積もりを作るとしたら30時間かかる計算です。
現場が10件あれば、発注書と見積書の作成だけで月20時間は普通に飛びます。積算根拠まで毎回手計算していたら、現場に出る時間が削られていきます。
塗装工事業では2026年に入ってから倒産件数が前年より増えているという業界の動きもあります。職人不足と資材高騰が重なり、どんぶり勘定のまま利益が薄い受注を続けた会社ほど、体力を失っているのが実情です。
積算根拠を出せる会社が選ばれる一方で、その根拠を出す作業に時間を取られすぎても経営が持ちません。この矛盾をどう解くかが、次の課題になりました。
手計算からソフトに切り替えて変わったこと
うちが最終的に選んだのは、面積入力から缶数・人工・金額まで自動で積算する見積もりソフトでした。
開発したのは塗装会社を経営してきたイーテクノスの井上です。私たちも現場で同じ悩みを抱えていたので、坪単価の勘に頼らず、誰が作っても同じ根拠が出せる仕組みが必要だと考えて作りました。
Angaは外壁・屋根の面積を入れると、標準塗布量から缶数を自動計算し、人工と金額まで積算根拠付きで見積書に反映します。手計算で3時間かかっていた作業が、感覚的には30分程度まで縮む現場もあります。
積算根拠を毎回出しながら、時間も残す。その両立が、坪単価頼みの見積もりから抜け出す一番の近道でした。
よくある質問
Q. 塗装工事の見積もりソフトを導入すると積算根拠は自動で作れますか
外壁・屋根の面積、使用塗料の標準塗布量を入力すれば、必要缶数や人工数まで自動算出できるソフトがあります。手計算で3時間かかっていた積算作業を大幅に短縮でき、坪単価だけの見積書から脱却できます。
Q. 坪単価の見積もりだけでは失注しやすいのはなぜですか
施主は複数社を比較する際、缶数・工程・平米数まで書かれた見積書を根拠として重視します。坪単価一式の見積もりは工程が見えず、他社と比較された際に不信感を持たれやすく、失注や過度な値引き要求につながります。
Q. 見積もりソフトは小規模な塗装会社でも使えますか
社員数名の個人事業主規模でも使われています。積算根拠の作成にかかる時間を減らせるため、現場管理と兼務している一人親方や少人数の会社ほど時間的な効果を感じやすい傾向があります。
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